33.地下二階大部屋
そのまま、地下二階を探索する。
正直な所外の鹿よりHPが低く、苦戦する相手ではない。
鹿の皮色違いがどんどん手に入りホクホクだ。
そして、念願の剣鉈〔黄紙の剣鉈〕を手に入れた。
紙って書いてあるけど、ちゃんと金属だ。
数値を見る限り〔粗鋼の剣鉈〕よりはずっといい物だ。
かなりSLASH高めに設定されているし、斬りつけるのには、頼りになるな。
更には<剣鉈>のテクニック『スライサー』を手に入れたが、使い方が良く分からないから、コレは地上に戻ってからだな。
あとは<戦闘鞭>のテクニック『ネックハンター』を覚えたがコレもなんかよく分からない。
まあ、しかし余裕余裕と進んで行くと羊を前衛に後ろに引き篭もる鹿に会う。
取り敢えず羊を倒してしまおうと、足止めを駆使しながら殴っていると。
急に緑色のエフェクトが鹿と羊を取り巻くが、何も起きない。
気にせず、羊を殴るが、また緑のエフェクトが発生し、何も起きない。
しかし、いくら殴っても羊が倒れないのを不審に思い<診察>すると、HPが回復している。
少量づつだが、じわじわと回復している。
羊を殴っても回復が途切れないので、試しに鹿を殴れば、回復が止まる。
つまり鹿版の手当てなのか?
羊はかわしながら、先に鹿を倒しにかかる。
時折羊に攻撃をくらうも我慢して、鹿を倒しきり、その後じっくり羊も倒す。
つまり、ダンジョンの色違いの鹿は縁の下の力持ちタイプって訳か。
他の魔物と一緒に出てくると厄介なタイプだ。
どんどん魔物が強くなっている事、そしてそれに対応できている自分に自信が増していく。
何も分らずにはじめたゲームだが、何だかんだうまくやっている気がする。
ちゃんと人の話しを聞いて一個づつ進めた成果だな。
しかし<処置>にしても<治癒>にしても、本当に助かるな。
戦闘後の回復がどんどん早まっている気がする。
コレで、戦闘中も使えたらな~。
まてよ?敵の攻撃さえ受けなければいいんだから、使えなくも無いのか?
でも、包帯くるくる巻いてる時に避けろって言われてもそれは無理だな。
あれ?でも待てよ?
鞭の他にも相手の動きを止めるような術かテクニックを手に入れれば、何とかなりそうだな。
でも、あれか、どっちか片方の手は武器をしまって、あけなきゃいけない訳だし、結構面倒だ。
やっぱり、戦闘前に軟膏を使っておくのが便利だな。
そんなこんな、今後の事に思いを馳せながら、ダンジョン地下二階を巡る。
取り敢えず、鹿の役割も分った事で、焦らず対処できるようにもなったし、万事うまくいっている。
宝箱の中身はぱっとしないが売ってしまえばいいだろう。
そして、地下二階の大部屋。
前回は全部で4体の魔物が自分を待っていたが、今回はどんな相手がいるか、そっと扉を開け中を覗くと
マッチョな鹿がいた。
これは完全に無理だと悟り、街へ引き返す。
いらない物をさっさと売り払い、一息つく。
街の真ん中の噴水の縁に腰掛頭を抱える。
流石にあれは駄目だろう。
「あれ?元気ないですね何かありました?」
ココはいつもいいタイミングで話しかけてくれる。自分が今直面している危機について相談しよう。
「実はさ、ダンジョン地下二階の大部屋に着いたんだけど」
「へ~それは凄いですね!長足の進歩じゃないですか!」
「でも、そこにマッチョな鹿がいて、逃げてきちゃった」
「へ~?そんなにムキムキな鹿だったんですね?」
「そう、ムキムキだった。黒光りするムキムキに鹿の頭ついてた」
「黒光りするムキムキ?黒い鹿だってことですか?」
「いや、頭は普通の鹿だったんだけど、体が黒くて、てかてかして、サイドチェストしてた」
「人の体に鹿の頭が乗っていたんですか?」
「そう、せめて山羊だったら、バフォメットかと思えたんだけど、鹿だったから、ただの変態にしか見えなかった」
「それは、確かにそうですね。変態ってことは相当露出が高かったんですね」
「うん、露出の高いムキムキに鹿の頭が乗ってた」
「それは、どうしましょう?」
「分んない、どうしよう」
そんな話しをしてたら夜も更けた。
話しをしている内に少し気が紛れたが、ダンジョン攻略どうしたものか。




