27.鹿皮新装備からの
鹿を地道に狩って行く。
どうやら、丘は奥に行けば行くほど木が増えて、森が深くなるようだ。
そして、大穴と、川へとつながる道を見つける。
大穴の方の魔物は、よく分からないが川は対岸に熊がうろついていて……、
うん、今までとは比べ物にならない位大きい。ちょっと怖いので川には近づかない。
大穴も結構急な坂道を下る形になっていて、結構怖い。
降りることは可能だろうが、いざという時に逃げてこれるかって言うと、坂道で魔物に追いつかれるイメージを抱いてしまう。
まずは、サクサクと鹿を狩れる様になるまでがんばろう。
もう、一旦あえてダメージを貰いに行く必要も無いし、少しでも効率良く狩って、お金を貯める。
そう!お金が必要だ。羊の街にもバザーがあった。
そして、前よりいい武器が売っていたのだが、当然高い。
その名も〔鋼の剣鉈〕!カッコイイ!!
しかし、80Kだ。鞄程じゃないけど高い!
すぐに買えないかもしれないけど、お金は貯めていかねば!
しかし、何だかんだ鹿のおかげで回避がうまくなった気がする。
と言うのも、正面に立ってしまうと鹿角の範囲が広いので、攻撃モーションに入った瞬間に横に逃げる他無いのだ。
さらに<戦闘鞭>で『スイング』を覚えたが、これは頭上で一回軽く振ると次の一撃が重くなる。
しかし、『スイング』して打たずにいると鹿が突進してくるので、使うタイミングが微妙。
鞭で拘束して刺すか、ガンガン殴るかしかない。しかし<字術>で攻撃力と防御力が上がっているので、狩り速度は上がり調子。
そして、狩り込む事数日。
「相変わらずS.S.さんはずっと同じ獲物を地道に狩り続けますね」
「え?だって羊と鹿しかいないもん。はい!〔鹿の毛皮〕!」
「ありがとうございます。まあ、生産職としては本当に助かりますけど」
「誰かが魔物狩って、それを使って色々作るんじゃないの?」
「その通りなんですけど、普通はそういう単純作業って飽きちゃうから皆色々やるんですけどね?」
「草とかも刈ってるよ!薬も作るし、鹿からダメージを貰ったら<採集>、夜は<調剤>って感じ、やることいっぱいあるよ」
「それなら、いいんです。本当に楽しそうにゲームしてて、僕も見習います」
「ゲーム楽しくないの?」
「いや、楽しいんですけど、スキル上げの為に同じ物をいくつも作るのって、しんどくなってきちゃって」
「うーん、でも前に入門抜ければ結構自由に色々作れるって言ってたじゃん?会社の新人でもそうだけどわざと最初は単純作業をやってもらったりするんだよね」
「え?そうなんですか?」
「うん、理由は色々あるけど、単純に会社の空気に慣れるまでは、単純な事をしてもらってプレッシャーを感じさせないとか」
「うんうん」
「あまりに早いうちにミスすると、自分は駄目なんだって思ったりしちゃうからね。他にもあるけど、モチベーションに関する事であれば、例えば仕事に直接関われずに仕事に関する資格取得の勉強ばかりさせられたらどう思う?」
「え?会社が資格取得にお金出してくれてありがたいなって」
「本当に?自分は戦力になってないんじゃないかな?とか、いても意味無いんじゃないかな?とか思わない?」
「思いますね、でもそれいじめじゃ?」
「うん、やりすぎたらね。でも程々のところでチラシ配り頼まれたら、外にも出れるし、少しでも会社に貢献できるし、自分は新人だからまずはチラシ配りからだよねってならない?」
「うーん、もっと凄いことできると思ったのにってなるかもです」
「いわゆる4月病ね。最初からずっとチラシ配りだったら、多分なるよね。もちろん新聞社に勤めたのなら別だけど。営業職について毎日初日からチラシ配りとかね。多分心折れちゃう。でもそういうのが必要な会社もある。だから最初にちょっとつまらない仕事をさせてちょっとづつ新人が色々できる様になってるって言う実感を与える様に仕事を振っていくの」
「なんかうまい事使われてるみたいで、アレですね」
「まあね、でも結局は人ってうまく使われたいんだよ。いいように利用されたいって言う意味じゃなくて、極力ストレスの無い状態で使われて尚且つ実績を上げつつ利益になりつつ人や社会に貢献したい。そういう物」
「それで、結論どういうことです?」
「うん、モチベーションを保つには少しづつ色々出来るようになるのを楽しめばいいんじゃない?って事。あとはどうしたら人のためになるのかな?とか。最初の街のバザーで利益にならなくても安くポーション売ってるのもそう言うことじゃないの?後は、次これ出来るようにしたいな目標を決めるとか」
「は~なるほど。色々考えてみます」
「後は、あまり追い込まずのんびりやる事だよ。ちゃんと休まないとやる気無くなっちゃうから。焦らずに続けてればその内繰り返しにも慣れちゃうかもよ?」
「分りました!ところで鹿の皮で一個思いついたんで、作ってみてもいいですか?」
「急にモチベーション上がったね。いいよお金貯めてるところだし」




