26.殴られよう
羊のいる丘に行き、
早速、左手での中指人差し指をそろえて伸ばし、上向き矢印を書く。
ダメージ量を増やした所で、速攻羊に攻撃を仕掛けていこう。術効果が切れるまでの時間が有るしもったいない。
相変わらず、鞭で殴っても大したダメージにはならないが『リーフカット』でダメージを与え、更に拘束系のテクニックで動きを止め、剣鉈でダメージを与えていく。
そして、時折手で丸を作り覗けば<診察>で相手の残りHPを確認。
<診察>に合成したおかげで、<看破>並みの距離で<観察>並みの情報が入るという便利この上ない状況だ。ありがたい!
そして、羊のHPがぎりぎりまで減った所で、今度は自分がダメージを貰うことにする。
<服>と<ローブ>を上げるにはダメージを貰う必要があるので、今回本来の目的はこっち。
ボッコンボッコン突進をくらい、時にはね飛ばされ、そろそろ危ないなという所で、羊にとどめを刺す。
軟膏と包帯で回復しながら、適当に丘に生えてる植物や虫なんかを<採集>タイム。
ダメージさえ貰わなければ、勝手に回復していくので、HPが十分回復するまでは<採集>に没頭。
丘にも蜂の巣は所々にあり〔蜜蝋〕が手に入るのはありがたい。コレで心置きなく軟膏が作れるぞ!
そんなこんな、知らないうちに丘の奥の方まで来てしまった。
いつの間にか木々が増え、
そして、初めて見る鹿と目が合った。
角が立派な所から多分牡鹿なんだろうなと思っていると、完全にこちらに向き直る鹿。
すぐに武器を構えて、効果の切れていた<字術>をかけ直し、集中。
相手の動き出しに合わせて『ハードヒット』を当てていくと鹿にはちゃんとダメージがあるのか動きが止まる。
すかさず『バインドウイップ』で、完全に拘束し『ダブルスタブ』でダメージを与え一旦距離を開け様子見。
鹿が再び動き出し、角をこちらに向けて突進してくるのを確認し、
タイミングを合わせて『浮打』をしようとして間合いが合わず、吹っ飛ばされ、転がることになってしまった。
木にぶつかり止ったが、一発で結構削られてしまう。
どうやら、丘の奥はまだ自分に早かったのだろうか?しかし距離が開いたついでに<診察>すれば、鹿もHPの半分は削られている。
やってやれない事もないのかと腹を決め。歩いて近づいてくる鹿に『リーフカット』を使用、そのまま鞭で連続攻撃を当てていく。
首を一つ振るって、嫌がる鹿。走って横に回り『ネックハング』で捕まえ、とにかく動けない内にと剣鉈でひたすら突き攻撃。
そして、倒れる鹿から<採集>し〔鹿肉〕×4と〔鹿皮〕×2を手に入れ、
さっさとその場を後にする。
いくらか離れた場所に鹿が見えて、いつ攻撃されるか分らない。
当分はもう少し羊を相手にしておいたほうが良さそうだ。
鹿はあの角の間合いの分剣鉈で正面から攻撃するのは不利だし、羊は鞭で殴ってもダメージにならない。
相手によって戦い方を変えていかねばならないと言うことだろう。
流石入門のゾーン!到底一筋縄ではいかないな……。
羊を相手にしつつ慎重に慎重を重ねてダメージを貰い、
地味にダメージを貰うことを繰り返している内に<服>と<ローブ>が上がりきる。
何気にこの二つが上がるだけでSP,MPも大分上がり戦いやすくなったのはありがたい。
さらに貯まったお金で、新たな<字術>文字が一個2kだったので、一個だけ追加してみた。
今度は上下矢印だ。とは言え矢印の三角が上下半分づつ、上は右側半分下は左側半分。呼び方は『エイワズ』だそうな。
これは防御力が上がるので、ダメージを貰うのが大分気楽になり、どんどん戦いやすくなっていく。
そして、スキル屋さん。
「<服>と<ローブ>上げきってきました」
「あらあら、流石ね。相当集中して上げてきたのね」
「二つ上げたってことは合成ですかね?」
「その通りよ。ちょっと中途半端になっちゃうけど、術技ならこれって言うのがあるの」
「へー、多分<服>だとテクニカル<ローブ>だと術専門になるから、中途半端でがんばるしか無い訳ですね」
「まあ、スキルの取り方なんて人それぞれだし、仕方ないわよ。何がその人に合うかなんてやってみなきゃ分からないのだし」
「分りました。そのお勧めにします」
「そう?じゃあ<外衣>よ!基本的にロングの外着にしか効果が乗らないのが残念なんだけど<服><ローブ>は引き継ぐから今まで通り、中は<服>外は<ローブ>に当たるものにしておくと良いわね」
「今まで通りでいいなら、何の問題も無さそうですね。それで、行きます」
そうして、スキルの合成を済ませ、更にもう一段戦いやすくなった所で、今度は鹿をターゲットに狩りをはじめることにする。
何故なら、鹿の方が皮も肉も高いから。
そして、羊は狩り過ぎて、ココもモコもそろそろ新しい素材が欲しいって言い出したので、ちょっとがんばる事にする。




