20.次の街へ
ダンジョン周回の日々が続く、最早かなり雑な戦闘でも鎧袖一触で兎を倒せてしまう。
たまに平原に行ってウルフドッグを倒すのも余裕だ。
<採集>をしに森に行っても、兎は鞭一発で倒せるようになってしまった。
なんとかお金を貯めようと何か売れるものは無いかと思ったが、結局冒険者事務所の依頼を受けるのが一番早そうだ。
因みに先日バザーで知ってしまった驚愕の事実がある。
〔初級ポーション〕は50ゴールドだった。
冒険者事務所の〔初心者ポーション〕ですら500ゴールドだったのにだ。
なんでも、プレイヤー同士が協力してポーションだけは低価格で大量流通できるようにがんばっているらしい。
自分も何か力になれないか聞いたら〔薬草〕と〔赤香草〕と〔青茸〕が必要らしいので、寄付した。
正直な所最近の戦闘では怪我をしないので、作りすぎた薬類がいっぱいだ。
しかもダンジョンに篭りすぎて〔初心者ポーション〕もいっぱいだ。
〔初級ポーション〕も結構貯まってきたし〔初心者ポーション〕は放出したいと思い。
バザーのポーション屋さんに一個10ゴールドで買い取ってもらった。15ゴールドで売るらしい。
初心者の為と割り切って高く買い安く売る健全な商売だ。つぶれないか心配だ。
そうやっていらない物はどんどんお金に変え何とか溜め込んだり105k
なんで5kかと言えば、<観察>が上がりきったから。
<看破>と違う点は近くの物しか見れない事。でもアイテムバッグに入れたときと同じような情報が見れるし、近くに寄って<観察>を使うだけであれこれ情報が出るのはありがたい。
テクニックのモーションは<看破>も<観察>も同じなのでとにかく片手で輪を作って覗きながら歩いてた。
と言うわけで、久しぶりのスキル屋。
「<観察>上げてきました」
「あら、よくやったわね<診察>は2000ゴールドよ!」
「想定の範囲内です!」
<戦闘鞭><服> クラススキル <剣鉈><解読>
<解除><治癒><診察>
<調剤><地図>
控え:<採集><処置>
とまあ、こんな感じだ。
<服>はダメージを貰うと上がるらしいが、最近は変わらない。
<解除>は宝箱開けたり罠を外したりすると上がるがコレも時間がかかりそうだ。
<解読>は本を読んで地味に上げてる。
<地図>はなんか最近完全に止まったな。行けるところ行きつくしちゃったからかな。
そして、少年と約束していたバッグ拡張だ。
「どうにかこうにか貯めてきたよ100k」
「お疲れ様です。ありがとうございます。このクエストクリアできれば次の段階に進めるので助かります」
そうか、仕事で次の段階に進むのに必要だったのかバッグ。もっと早くお金貯められればよかったんだがな。
一先ずバッグを預けると<裁縫>用の工房というのがあるらしいので、一緒に行き、お邪魔する。
そこでは、何人かが作業をしている。
自分には何をしているかは分らないが、糸や布を作っているのだけは辛うじて分かった。
「そっちは<紡績>ですね」
と言って更に奥に向かい。鋏とかが置いてある作業台に自分の鞄となめされた皮を置く。
そのまま鋏で分解したと思ったら、糸で縫い始める。
何だかよく分からないうちに、皮紐でパイピングの様に補強したり、あっという間にショルダーバッグが出来た。
自分の会社はものづくり系ではあるが、完全手作業の職人芸と言うのは凄いものだ。
「装備品の生産は予め設計図等を作って、生産を始めれば後は勝手に手が動いてくれますので、僕が特別器用なわけではないですよ?」
なるほど、若くしてこんな技術どこで手に入れたのかと思ったけど、少年は別に職人だった訳ではないようだ。
更に続いてベルトを作ってもらう。ポーションケースや剣鉈の鞘、鞭を巻いて留められるホルダーがついた奴だ。
腰周りが賑やかになるが、まとまりが出て悪くは無い。ちなみにこのベルトはなめし皮をそのまま使っているので、茶色だ。
凄く気に入った!コレで自分もいっぱしの冒険者じゃなかろうか?
「このベルトの名前は何にしようか?」
「一応ウルフドッグの皮を使って、ケースや鞘なんかはダンジョン兎の皮ですからね・・・」
「狼と兎か『食うものと食われるもの』とかは?」
「良いですね!じゃあ『角と牙』も入れたいですね!」
〔天に焦がれる白き獣は角を隠す〕
〔疾駆する群れる獣〕
〔群れる獣は纏わない〕
〔綿シャツ〕
〔藍綿パンツ〕
〔暴牛のハット〕
〔縞蛇の戦闘鞭〕
〔粗鋼の剣鉈〕
NEW〔食うものは牙を食われるものは角を折られ連鎖する帯となる〕
「うん、気に入った!コレでダンジョン攻略捗るぞ!」
「そこで相談なんですが」
「ん?何だろう」
「多分僕達これ以上ここにいても、もうスキル上がらないんじゃ無いかと思うんですよね」
「うん?最近確かにスキル上がらなくなってきてるね」
「なので次の街に行ってみませんか?」
「次の街???」
「ええ、最初の街はあくまで基本的な部分を学ぶ場所ですから、次に行ける街はいくつか候補がありますよ」
「そうか、街ってここだけじゃなかったんだ」
「あっそこからですよね。ゲームと言えど世界は広いので、前に言ってた遺跡なんかは別の街になりますよ」
「そうか、世界は広いのか・・・じゃあ遺跡に行くね!」
「いや、多分まだ早いです。まだ行っても死ぬだけですから、次の街で更に力を付けましょう」
「なるほど!理解した。なんでも一歩一歩進めていくしかないもんね。そりゃあそうだ」
「ええ、それでいくつか候補があるんですが、個人的には羊の街に行きたいなと」
「へ~羊の街か~兎の次は羊狩りか!」
「そうですね<裁縫>系の街になってしまうのですが、ダンジョンもあるようですし、もし良かったら一緒に行きませんか?」
「行きます!」
「それじゃあ、明日まちの正面門で会いましょう。そこから馬車が出てますので」
「そうなんだ~じゃあ、また明日ね」
そう言って少年とわかれる。
一応お世話になった場所には顔を出し、次の街に行く事を報告し挨拶する。
皆口々にがんばれよと声を掛けてくれて、本当に温かい街だったが、自分は冒険をする為にこのゲームをはじめたのだ。別れは寂しいが致し方なし。




