13.お鎌生活
スキルを取得し、冒険者事務所に向かう。何故なら今の自分にはお鎌が必要だからだ。
いつもの初心者用のカウンターに向かい、
「すみません!お鎌一つ欲しいんですが」
「鎌ですね。それではこちらの〔初心者鎌〕が100ゴールドです」
世知辛い!何をするにもお金が必要だ。もっと仕事しなければ!
「ありがとうございます!じゃあ、行ってきます」
早速久しぶりに森に行って薬草を刈ろうと思ったら待ったがかかる。
「上級スキルを手に入れたようですし、そろそろ初心者のダンジョンに向かってみてはいかがですか?」
「いや、自分はお<鎌>スキルを10にしなくてはならないので」
「そうですか、ダンジョンは危険な所ですから十分な準備をしてから挑むのも良いでしょう。行ってらっしゃいませ」
そして初心者の森で<採取>をし続ける。
最早兎など敵ではない。
邪魔しにきたと思ったら、鞭で叩けばあっという間だ。流石<戦闘鞭>あの頃とは戦力が違うのだよ!
薬草、フキを刈取る。
初めこそ物足りなかったが、みるみるうちに取れる量が増えていく。
更には、野草山菜ハーブ類が採れる様になっていく。
それらの内、食べられるものは全て少年の知り合いの料理人に渡し、自分の『体力溢れる兎汁』が豪華になっていく。
初心者に配給されるパンと水と体力溢れる兎汁で、お腹を満たし、草と言う草を刈りつくす。
〔毒草〕〔毒消草〕〔麻痺草〕〔解痺草〕は<調合>に使用し、スキルレベル上げをしていく。
少年に〔綿花〕の採取も頼まれたので、刈れるだけ刈って渡せば〔包帯〕とシャツにしてくれた。
〔綿シャツ〕は最初から着ている初心者服に次ぐ基本の洋服らしく、防御力は無いに等しいらしいが、ベストにあってて、気に入った。
もう、それから数日昼は<採取>草刈と夜は<調合>ばっかりやっていたが、遂にお<鎌>と<採取>と<調合>がレベル10になる。
再びのスキル屋。
「お<鎌>レベル10にしてきました!」
「あらあら、早かったわね。よっぽど集中してお<鎌>使った証拠ね」
「<剣鉈>下さい。あと<採取>と<調合>の上位下さい」
「もちろんよ!スキルを売るのが仕事ですもの!
<採集>薬草類と材料になる虫類、枝やくもの巣や蜂の巣や茸や湧き水と言った雑多な物を集められるわ。ナイフと相性が良いわ
<収穫>植物関係を集めるのに特化しているわ、因みに芋のような土に埋まっている物も手に入るわ。お鎌と相性が良いわ
<伐採>木を集めるのに向いているわ。杖や弓や槍の柄や棍棒を作る時はとても大事!斧と相性が良いわ
<採掘>鉱石や土を掘るのに向いているわ。武器の生産の基本中の基本ね。もしくはアクセサリー用の貴金属を彫るのにも絶対必要よ。つるはしと相性が良いわ」
「<採集>をランクアップと<剣鉈>合成お願いします」
「3000ゴールドよ!」
「高すぎる!!」
血涙を流しながら支払う。
「後は<調合>ね。
<調薬>様々な薬を作れるわ!直接飲める様な物は無理だけど、代表的なもので<裁縫>に使う染料や料理に使う〔活力薬〕や盾に使って防御力を上げる〔硬質薬〕なんかね。
<調剤>は<手当て>や<処置>に使える薬剤を作るスキルね〔薬草液〕よりももっと回復量が上がるわ」
「じゃあ<調剤>にします」
「1000ゴールドよ」
「きつい!」
搾り出すようにお金を払いスキルをランクアップする。
<剣鉈>
レベル1・・・採集量上昇<ナイフ><鎌>
<採集>
レベル1・・・魚採取制限一部解除<採取>
<調剤>
レベル1・・・回復剤、調剤可能<調合>
がんばって溜め込んだお金だったが、素寒貧である。
しかし、コレで準備が出来た、いよいよダンジョンに潜ろうと思う。
気合をいれて、街を歩けば少年に話しかけられる。
「こんにちは、スキル屋から出てきたって事は上位のスキルを手に入れられたんですね?」
「うん、おかげ様で欲しかったスキルは集まったし、ダンジョンに挑もうかと」
「???その装備でですか?」
「そうだね!売ってもらった服のおかげで、防御力も前よりあるし、行ってみようかと」
「いや、武器の方が初心者武器のままですけど?」
「そうですけど?」
「いや、折角スキル更新したんだから、武器も替えた方がいいんじゃ?」
「でも、冒険者事務所でこれしか売ってないし」
「いや、バザーに行けば有志が初心者用に値の張らない武器とか売ってくれてますよ?」
「バザー?あの家にある物とか持ち寄るやつ?自分は仕事ばっかりで、あまりそういった催しに参加した事なくて、小学校の時のお祭りが最後かな?」
「そのバザーなんですけど、このゲーム内での話だとスキル屋の裏の広場で開かれてますよ」
「そうだったんだ。知らなかった」
「一応このゲームだとプレイヤーは店を出したり、販売できる場所はある程度決まっているので、この街ではそのスキル屋の裏の広場だけですね。一部はNPCが手数料を受けて販売代行してくれる出店もあります」
「NPC?」
「あっそこですか、ノンプレイヤーキャラクター、本当は魔物もNPCに当たるんですが、人が動かしてないキャラクターですよ」
「人が・・・動かしてない???」
「最初に説明してくれた人やスキル屋さんや冒険者事務所のお姉さんの様なAIの事です」
「ああ、Kさん!なんか物をすぐ落とす人AIだったのか、それは凄いな~」
「納得していただいた所で、バザー一緒に覗いてみますか?」
「行く!行く!!」