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L.L.~迷宮人生~  作者: 雨薫うろち
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90.刃心術

 翌日いつも通り定時退社してログイン。


 雑踏には未だ苦手意識があるが、酒場にぱっと行って戻ってくるだけなら何とかなるだろう。


 そんな事を考えつつ冒険者事務所の方へ向かうと、何となく見覚えのある通り?


 記憶を頼りに進むと、酒場があった。


 どうやら酒場も大通りから一本入った道沿いにあったようだ。コレなら当分疲れることもないな。


 とりあえず、酒場に入ると<心術>の師匠が今日もお酒を飲んでいた。


 「こんにちは!」


 「おう!来たか!」


 「ええ、でもなんか連日お酒飲んでますけど、何か用があってこの街に来たんじゃないですか?」


 「ああ、さっきもオークション覗いてきたぞ。私はステータスの心を上げたいから掘り出し物が無いか探してるんだけど、中々いい物はでないね~」


 「成る程!オークションの街に来るだけあって、オークションで売られる品に用があったんですね。良く来るんですか?」


 「お金に余裕が出来た時はね。無駄使いはしたくないけど<心術>使いとして心の高さは生命線だからね!ふっふっふ!ところで聞きなよ!」


 「え?何をですか?」


 「いやいや、そういうあんたは何で今日もここに来たのさ!」


 「ああ<忍術>の進捗状況を知りたくて」


 「だろ!それが一番最初じゃん!出来たよ!基本だけだけど。サイキックアームとサイキックアーマーの応用で術を使って防具と武器を作れるようになった」


 「おー!噂のステータスの心を使った具現化!」


 「そういう事!コレで私の研究はまた一歩進んでしまった」


 「じゃあ早速教えてください!」


 「良かろう!この術の名は<刃心術>と名づけた」


 「あ~忍を別けたんですね。妖魔の使う<忍術>とは似て非なる物だから、オリジナルに対するリスペクトみたいな」


 「正解!それに元々私の術は<心術>だから一段階進んだって感じがするじゃん!ちなみに具現化した装備の能力値は微妙だ」


 「微妙なんですか……失敗術を元にしたから」


 「違うよ!普通の装備品より強い物が術で作れるなら装備はいらないんだよ!だから装備を補正する術の意味があったんじゃん!」


 「じゃあ<忍術>の方が欠陥品だったと」


 「そうとも言い切れない。例えば防具に関してはアンタ服装備なんだから物理に対しては紙同然じゃん」


 「まあ、皮装備していくらかはマシになりましたけど、鎧よりはかなり弱いって認識はしてます」


 「うん、間違いない。心の分だけ物理に強くなる防具があれば、このまま順調に心をあげた場合、軽甲位にはなると思うよ」


 「軽甲がどれ位強いのか分からないですけど、多分服よりは強いんでしょうね」


 「ああ、でも術で作れる服の部位は限られるし、ステータスの体も上げてない分、純粋な軽甲使いには防御力で劣ると思うよ」


 「それは、そうでしょうね。それでも今の自分よりはだいぶマシになるんだったら、微妙って事もないかな」


 「うん、ただ武器に関しては完全に買うなり作るなりした方が後々強いだろうね」


 「ふーん、でもそれなら何で妖魔はワザワザ術で作った武器なんか使うんだろう?」


 「妖魔は術を使った武器を強化したり、特殊なテクニックを付加したり出来るらしい。だから武器にせよ防具にせよ。強くしたかったら妖魔達と仲良くして、術武器強化クエストを受けるんだね」


 「ああ、そう言えば心の力で縛れば拘束時間を伸ばせるって聞いてました。それが特殊なテクニックなのかな」


 「そういう事だろうね。さてここで問題になるのが、武器や防具は作れるんだけど、形をどうしようかって事なのさ」


 「なるほど。鞭にするのか鎖にするのか……」


 「防具もどうするかと思ったけど、防具は白衣にしようか?なんかあんたのトレードマークっぽいし。変にシャツとかよりもいい気がする」


 「でも<忍術>なのに白い服作るって、全然忍べてない気がしますけど?」


 「あんたそもそも忍ぶ気無いでしょ?それともリバーシブルで、表は白、裏は黒とかにする?でも黒は黒で目立ちそうだもんね。白のままの方が医者っぽくて、まさか忍の者とは思わないんじゃない?」


 「確かに!じゃあ防具は白衣でお願いします。問題は武器か……でも最初から攻撃力は微妙って分かってるんだから、拘束に特化してもらった方がいいのかな」


 「うん、私もまだ研究中だからアレだけど、拘束用の鎖はありかもね。攻撃はその腰の鞭使えばいいんだからさ!拘束用の忍び武器だと、鉤鎖がいいのかな~。鎖鎌も出来るけど?」


 「鎖鎌だと両手塞がっちゃうんで、やめておきたい所ですね」


 「うん、分かった!じゃあ一先ず今回は忍白衣と忍鉤鎖にしよう!この術に関しては巻物を持ってきてくれたから無料だよ!臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」


 師匠の手から出た光が自分の中に吸い込まれていく。


 「いつの間にか完全に<忍術>をマスターしてたんですね」


 「掛け声は昔忍者好きだったから、そこから勝手に使っただけだよ」


 そして、いつの間にか<心術>が<刃心術>に変化していたので、早速白衣を脱いで、使用。


<刃心術> 忍白衣


 普通の白衣なんだが、それでも最初の街で集めた綿の白衣よりは物理防御力があるということなのだろう。


 重くは感じないし、悪くないな。


 「ありがとうございます。鎖の方は戦闘で使ってみます」


 「おう!そうしな!また来なよ。アンタがその術使い込んだら、更に使える武器を増やしてやろう。次からは有料だけど」


 「分かりました!では、また!」

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