夢の少女漫画、現実の週刊誌物語
「りんごちゃーん?
...だめだ、返事がないや」
ティヲが指で突いても反応が返ってこない
彼女のことだからどうせ狸寝入りだろうとティヲでも察しがつくが
「ほっとけほっとけどうせ目を覚ましてもうるさいだけだし」
「そうよどうせ大したことないんでしょうし」
「なんか二人ともりんごちゃんに対して扱いが雑じゃない?
ミーアはともかくリブまで」
「これくらい普通よ
...それよりも」
目を伏せてチラチラとリブースがティヲの方を見る
「?」
「...ほら」
「?
...あぁ!」
何かに気づいたティヲの様子に満足げにうんと頷くリブース
「このマント、サイズを合わせてくれたんだよね
ありがとう!
裏地も綺麗に出来てるよ」
「...。」
「少年クン、外れネ♡」
あからさまにリブースの表情が変わる
折角デパートで買えたアイスクリームを落としたような落胆の表情だった
「そうじゃなくて...姉さんが誰と添い遂げるかってことよ...」
「...小声で話しても多分ミーアには聞こえてると思うよ」
「せーかい」
「!それで!誰なの!?」
「いや、さっきのはりんごの冗談だ」
「えー...。」
「リブってシスコンなの?そうじゃなくてただの冷やかししたかっただけなの?」
「リブは恋愛とか好きらしいから
それとネネちゃん、語尾がなくなってるよ」
恋愛が好きと聞いてグラスを拭いていたママさんの動きがピタリと止まる
「へぇ、恋愛話...好きなの?」
「え、えっと...ちょっとだけ、ちょっとだけです
ピンチの時に颯爽とやって来る王子様っていいなって思ったりしちゃって...」
「あら、なら私のコレクション見ていく?
オススメのがあるわよ」
「いいんですか!?」
「ふふ、全然構わないわよ~
ちょっと席外すわね」
キャッキャと盛り上がる二人
それを見守る三人
そして地に倒れ込んでいる一人
「ようこそ、我が夢の籠城へ」
「うわ~...すごい
これ全部そうなんですか?」
壁そのものが愛で彩られており、年頃の少女にとっての夢の世界そのものだろう
表紙をなぞりみると小説、漫画、絵画集と多種多様なことが分かる
「暇になったらいつでも見に来ていいわよ
ただし破ったり、汚したりしないでね」
「もちろんです!大事にします!」
「ふふっよろしくね
私以外にも読者がいるならこの本達も報われるってものね」
「ネネちゃんはこういうのを読まないんですか?」
甚平姿の少女もお年頃のように見受けられる
「ん~そうみたいね
どっちかというと面白いジャンルが好きらしいから」
「なるほど...」
「昔っからあぁなのネ♡」
「へぇ~色々可愛い所あるんだな」
「ネネちゃんも好きなの?」
「...ああいうのはあんまりネ♡
だってかっこいい人が助けに来るなんて普通ないのネ♡」
「なるほど、リアリズムか」
「りありずむ?」
「リアって人が考えたリズムネ♡」
「なるほど」
「...いや嘘だからネ♡
感情的に生きない人って意味だからネ♡」
「そうなんだ」
「...この子が詐欺に会わないように見ておいてなのネ♡」
「ジンジャー」
「じんじゃあ?」
「神社っていう建物があるのネ♡」
「なるほど」
「...もう突っ込み疲れたのネ♡」
「そんなあなたのために!このりんごちゃん!」
唐突にりんごちゃんが起き上がった
「お前絶対起き上がるタイミング見計らってただろ」
「ふふん、そんなのどうでもよろしいのでござる
ジンジャーというのは別名生姜であり、料理で使われる植物なのですよ」
「なるほど」
「というか!この純粋無垢なティヲ君に嘘を教えないで下さいよ!!」
「アホかわっていうジャンル知ってるか?」
「それで騙していいことにはなりませーん!」
「りんごちゃん、間抜け友達だからって...まさか自分もそのアホ分類に入ってると思ってるのネ♡...?」
「ちゃ!ちがっ!!」
「あ、でもりんごちゃんまだおでの年齢調べていないよね」
「...あっ」
一瞬体が固まり、フレグラントアップルコットを手の中でクルリと回し
「ではではー!!嬉し恥ずかし!ティヲ君の年齢披露会☆」
口に咥える
「やっぱり忘れてたのか」
「じゃかじゃかじゃかじゃか...じゃん!!」
ミーアの言葉を無視し、開示する
[Name:Two Sex:♂ Age:13 Stature:146.9cm Weight:39.5kg BMI:18.3
Detail:mammal devil incubus Blood pressure:100/69 mm Hg Underwear:beige plain]
「うっひょひょい!
ティヲ君は驚愕の13歳なのでした!」
「本当に下着の情報も出るのネ♡...。」
「ふふん、フレちゃんを舐めてはいけませんよ
なんと言ってもこれは魔法少女戦隊の知恵、我が親友タリーちゃまが作った傑作ですから!!」
「りんごの友達か...可哀想に」
「なんで哀れんでいるんですか!?」
「勝手に親友認定されてるのかって意味ネ♡」
「いや、こいつの尻拭いに毎度付き合わされてると思うと不憫だなって意味」
「なるほどなのネ♡」
「その悪口言われる私が一番可哀想じゃないですか!?」
「いや、一番可哀想なのは...」
少年の方に視線が集まる
「...りんごちゃんはデリカシーがなさすぎだよ」
「流石に下着晒しとかないわー」
「タリーって子を下着晒し共犯者に巻き込むとかないのネー♡」
「頭いい優等生が面倒くさいタイプの子に付き合っただけなのになー」
「そうじゃなくても親友なのにネー♡」
「なー/ネー♡」
「綺麗にハモらないで下さい!!」
やいのやいのと騒いでいるうちに
「さっきからどうかしたの?
随分と楽しげだけど」
モンスターペアレントが帰ってきた
「いやなに、このりんごちゃんが急にティヲの下着を晒してさ
多感な時期の子に対して流石にキツいギャグじゃないかなって」
「うーん...」
「いやいや事故です!事故!
年齢を調べようとしてて」
「今更言い訳とかサイテー」
「まぁ、薬ヤッてるしねぇ...」
「やってませんて!!」
「ん~...事態がよく飲み込めないわね
とりあえずりんごちゃんに聞きたいんだけど」
人は追い込まれている時、理由がどうであれ自分の味方が正義に感じる
「実はですね
ティヲ君の年齢を調べようと思いまして、この機械は何でも分かっちゃう優れものなんですが」
「それで調べたのね」
「はい!そうですそうです!」
冷静に聞いてくれるリブは天使に見えただろう
「それでなんで年齢を調べようと思ったの?」
「ふぇ?」
「唐突に年齢調べようとか考えないでしょう?」
「あー...そのですね...」
「なんで?」
「えー...とー」
「なんでなの?」
りんごちゃんの顔に冷や汗がだらだら垂れる
「言い訳するの下手くそか」
「言い訳...?」
何かを察したリブが黙って手を合わせる
そして手を開くとそこには氷でできたメリケンサックがあった...それぞれの指先が尖っており、殴られればただですまないことはギャングの方々でなくとも理解できるだろう
「おぉ...やっぱり俺の妹は優秀だな
デザインも綺麗だし洗練された美しいフォルム
流石だわ」
「ふーん...これだけ器用なら新刊描いてもらいたいわね」
「そうですね~こういう技術はもっと生産性のあることに使って欲しいですよね~」
「リブ、GO」
「ティヲ君が!?GOサイン出すんですか!?」
「友達は共感で作った所で意味がないことがよく分かったよ
ありがとう、りんごちゃん」
「お前って度々ティヲに見捨てられてんのな」
「...なんかごめん
段々怒りが収まってきた」
「いやいっそもう殴って!!」
氷で出来たメリケンサックの使い道がなくなり、かき氷と化したのは五分後の出来事である
ギャグばっかりで恋愛方向に舵きれない
...ま、いっか!(脳死)




