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アース襲来

「それにしてもお姉さん

どうしてミーアさんがシュウドンにいるって分かったの?」

「いや、ミーアの居所はつかんでなかったよ

ただ手がかりがあっち側にあるからそこに行こうとしただけ」


手間が省けたけど...


「へ~手がかり...もしかしてミーアさんってシュウドン人?」

「さぁね、大人をこき使う生意気な坊主に答える解はないよ」

「ひっどい

僕、一応パーティーの中で一番ちっちゃくて可愛い存在なのに!」


何が小さいだ

例え小さかろうが確実に40はあるだろうが

...確か前世の世界で漫画とかいう奇妙な文明の産物でそんな感じがあったような...?


「にしても、お姉さん」


なんだっけ...少女漫画といったかな?


「お姉さん?」


あ、思い出した


「お姉さん!」「こいつ、軽すぎだろ...飯食ってんのか?」


「....は?」

「え?あ、ちがっ!」

「あ~...一応僕毎日もりもり食べてるんだけどな~

そっか...軽いんだ...は、ははは」

「違う!

さっきのは...調子に乗りすぎだという意味の軽すぎるだ!」

「うんうん、そうだねそうだね...それ以上フォローしないでくれるかな?心にくるから」


地雷踏んだわ


そういえばこの世界線ってぽっちゃりの方がモテるんだったっけ?

富の豊かさを主張できるからとか単にデブ専が多いとかなんたらこうたらだったような


「そうそう聞きたいことあるんだけど...いいかな?

あ、でもだめか

大人をこき使う生意気なガリガリ栄養失調坊主には答える気ないんだよね...」

「あーー!!もう忘れろ!

今なら大体のこと答えてやるから

とにかく私が悪かった!」


これから旅を続けるかもしれないやつがずっとこの陰険さを持っているのは苦痛でしかない

いいの?いいの?と何度もきく度にいいよと返すとそれじゃあと続ける


「ミーアさんがシュウドン国にいるのが分かっててどうして街の方にいくの?」

「あの国境を越えるためにだよ

私のスキルは強力だけどちょっとクセが強くてね

一度に二つのものを破壊はできないんだ

一度破壊したら次に使えるのはある程度時間が経ってからなんだ」

「へ~確かにあの国境は二国からの魔術と魔法がかかっているもんね

...てことはドルーワ国の魔術陣を無効化するってこと?」

「話が早くて助かるよ」

「ちょ、ちょっと待ってよ!

まさか魔術陣の源を絶つ気...?

そんなのできっこないよ!

だって...あの魔術陣を張ったのはアース率いるドルーワ最強の魔術師最強傭兵パーティーだよ!」





所変わってここはムルトパーティーの集会所

アミは普段よりも固いベッド、角張った布団に疑問を抱きつつ目をこする


「ふわぁ~...あれ?アラームない?」

「おはよう、ねぼすけさん」

「へぅあ!?わ、私!寝てしまっ!?」


意識が覚醒し、薬草の調合の途中で居眠りしたことに気づく

床の上で眠っていたらしく肩には上着がかけられていた


「どう?疲れはとれた?」

「す、すみません!

今すぐに薬草の調合手伝います!」

「もう終わってるから大丈夫よ」


見ると瓶詰めされてラベルも貼られている

相当長い間眠っていたようだった


「...すみまっ!」

「はい、謝るの禁止~

罰のでっこぴん」


威力は強くないが猫だましを食らったかのように怯む


「もうそろそろお昼だし食べに行きましょ」


ね?というとぐ~と鳴るお腹

アミの音だった


「!...。」

「ほらほら、体は正直じゃない

早く行きましょ」

「ぅ...はいっ!」

「はい禁止」


右手で引っ張られて、左手でデコピンされる


「おいおい、後輩弄りか?

見過ごせないな」

「あ、総長」


恐らく来ない二人を心配して食事中にきたのだろう

口元にソースがべっとりついている


「そー言うムルトこそ間接的にいじめてるじゃない!

書類整理とかはできたの?」

「む...多分」

「大丈夫ですよ!総長

さっき寝てしまった分、私がやりますので!」

「アミ、人を甘やかしてばかりが正解じゃないの

時に突き放すのも愛よ」

「そうだ、俺を甘やかすな

ビシバシしごけ」

「総長、どうしたんですか!?

...はっまさか被虐性欲に目覚めたのでは...?」

「お前らの中の俺は一体どんなやつなんだ...。」

「大丈夫です!総長

私、人の数だけ個性もあるってお母様から学びましたから!」

「アミちゃん...そうね、私も受け入れなきゃ」

「待て、アミ

暴走するな

ムレミアも乗っかるな」


とにかくだ、と頭をかく


「アミ、もっと俺らに甘えろ

お前が生きてきた貴族の世界ってのは俺にはよく分からん

でも、今お前がいる世界ってのは俺がいてみんながいて飯があって...って飯は貴族も食べるか

ん~なんというか、人って他の人と生きてるから人だろ

協力結構、任せるの結構、任されるの結構...甘えるってのは他の人がいるからできることなんだ

それともアミは俺らが甘える相手には不十分だと思うか?」

「そんなはずありませんっ!」

「じゃあ存分に甘えろ

なんでもいいんだ

小さなことから甘えていけ」

「甘える...」


蹴破られたドアからまた一人入ってきた

その人は甘えろと言う

今度は空間自体が柔らかくなりそうで、とても怖い


「ま、甘えづらいわね~

誰かさんが甘えさせてくれないから」

「ぐっ...善処する」


心が温かく、柔らかくなっていく


食堂に着くとみんな楽しげに談笑している


「はい、これ今日の分です」


食事が手渡される


『小さなことから甘えていけ』


「あの!」

「はいっ!?」

「ピーマンの量減らしていいですか!」


今まで受け取るとありがとうございますと言って終わらせていた

初めて言った


食堂がシンと静まり、気まずくなる


「あの、少しだけ減らしてください」

「...あ、あぁ!はい!」


時が止まったように固まった給仕の少年が弾かれたように動き出す


(言わなければ良かった...)


後悔の念が押し寄せる



と、


「アミさんってピーマン苦手なんっすね...」


びっくりと声に感情がこもっている


「そっか~、アミもまだ女の子なんだなぁ」

「ま、失礼ね

あんたらおっさん共とご縁がないぐらいピッチピチの少女になんてことを」

「なにをぅ!?」

「それにさっきの言い方変態くさいわよ~

アミ、私の隣に来なさい

ばっちりこの変態野郎から守ってあげるから」

「はぁぁあ!?この俺を変た」

「あ、はい」

「ちょっとアミ!?」

「やーいやーい、変態~」

「おぉん!?女性陣に紛れて何言ってんだ~?ア・ル・トく~ん?」

「ちょちょちょ、耳引っ張らないで!

朝のダメージ残ってますから!

本当にとれちゃいますから!


てかアミさん笑いすぎですよ!

俺、芸人でも何でもないっす!」

「ごめんなさっふふ...面白くて、あはは!」


こんなに笑ったのは初めてだ

あぁ、怖がる必要なんてなかった

柔らかくなった空間がひもとけていく

空間なんていらない

初めてのものばっかりだから

今までの物が詰まった空間なんて必要ないんだ


卵から雛が孵るように

空間からでて足を踏み出す



ムルトは皆の様子を微笑ましく見守る

が、朝から見かけない小さな影が未だに姿を現していないことに気づく

最年少ながらも優秀な働きをする治療士、ブハ

彼は賢い上、どこかいたずらっ子なところがあるため安易に怒らせることができない子供だ

朝は寝過ごしていると思い、そっとしておいたが昼まで起きてこないというのは妙な話だ

腹の下が妙にグルリとする


明らかに

(...おかしい)


すると突然扉が大きな音を立てる

二人の青年が同時に扉に駆け込んできたようだ


「おい!ブハの机にこんなものが!」

「おい!表にアースパーティーが!」


ブハの手紙にはこう綴られていた


[すみません、少し休養いただきます

僕がいなくなると大変だと思いましたのでアースパーティーに協力要請を出しました

説得は大変だと思いますが頑張ってください]


「ブハの野郎めぇ!」

「騒いでも仕方がない、アースを中に通せ」


今更騒いだところでしょうがないのだ

とにかく穏便に事を済ます他ないだろう


「は、はい

僕がお連れします!」

「その必要はない」


リンと響く青年の声

毛皮のついたマントを羽織った豪華な身なりだ


「よぉ、アース

こんな所までご足労さん

華王の名はここまで届いているよ」

「狼王ムルトほどではないさ

疾風をまといし狼...おっと、今ではただの狼だな」

「新たな風ならここにいるさ」


ムルトはアミに目配せする

とっさにアミは頭を下げ、後ろに下がる


「アース...?」

「...傭兵パーティーの中でも魔術師だけで構成された変なパーティーの頭よ」


小声で憎々しげに放つムレミア


「あいつのせいでミーアは困ってたんだから...」

「お前みたいな馬鹿な女がいる方が困ってそうだがな」


ふんっと鼻を鳴らすアース


「自分の立場が分かっていないようだな

オレは今ここで断ることもできるんだぞ」

「うちの団員が変なことを言った

すまん」


ムルトが頭を下げる


「だが、この協定はお前にとってもうまい条件だろう?」

「ほう?何故だ」

「お前たちのパーティーはほとんどが魔術師でその魔術師を守るために護衛を雇っているらしいな

それを俺たちと協定を結べばただみたいなもんだからな」


ブハの手紙には裏に続きがあった


[ただ、アースパーティーに近距離の攻撃を凌ぐ人は少なくて護衛を他のパーティーから雇っているらしいよ

そこを僕らが無償で守るって言えば僕らも少しは優位に立てるよ

後は彼次第だね]


「ふーん...これ考えたのは誰だ?」


お前かと問うようにアミを見つめる

それを否定するように頭を横に振る


「ブハだ

お前の所に協力を要請したのもな」

「なるほどな」


元々ブハを勧誘していたのである程度は交流があったのだろう

合点がいったという表情をしている


「ならば、断る」

「な」

「これを考えたやつはいない、ミーアもいない

そうなればオレからしたら必要ないんだ

別に護衛を雇う金がないわけでもないし」


椅子から立ち上がり興味を失せたように目の光が消えていく


「それに前から敵に襲われるよりも後ろから味方に襲われる方が危険だと思っただけだ」


ムレミアの方を見据える


「嫌ってもかまわない

だが、その分だけオレが断るのに疑問を抱くんじゃねぇぞ」


後ろで控えている人に帰るぞと声をかけて、扉へ向かう


「あの!」


アースはピタリと足を止める


「なんだ

オレは暇じゃな」


いと言いかけて声の主に気づく


「お前、ミーアに勝ったんだってな

おおよそあいつが手を抜いたんだろうけど」


アースがつかつかと歩み寄る

逃げ出したくなる


でも、逃げてはだめだ


「おんぶにだっこ状態だった赤ん坊に興味はないと言っているんだが、まだ分からないのか?」

「私がミーアさんの代わりになります」

「あのな、お前じゃ無理だ

オレはあいつのレベルじゃなきゃ興味も...」


突然言葉が止まり、目をのぞき込まれる


怖い

嫌だ

逃げ出したい


だめだ

逃げては


ぐっと見つめ返すと

ふはっと気の抜けた笑いが漏れてきた


「へぇ...あいつも面白い置き土産してったな」

「...?」

「おい、ムルト

こいつを隊長に任命したのはミーアか?」

「いや、俺だ」

「そうか...偶然か」

「なにか?」

「いや、なんでもない

それとさっきの返事だが撤回だ」


体を向き直らせる


「アース様!?」

「今後、アースパーティーはムルトパーティーに協力する」


よろしく頼むと握手を交わす


「ネプチューン、誓約書を」

「は、はい」


両者ともに二枚サインする


「それではまた戦場にて会おう」


アースはマントを翻し表に待機させた馬に乗りムルトパーティーを後にする





「アース様、よろしいのですか?」


少し離れたところでそばに控えていた男性が話しかける


「あぁ、あいつはミーアに代わる逸材だ」

「もしや彼女も特殊生命体ですか?」

「あぁ、それもただの特殊生命体ではない


あいつは開花しているスキルが二つある」

絵つかれた

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