エンターテイナー
「育ての親なのか知らないけど彼女はもう僕らの仲間だ!
君が来たことは黙っておくから...ここからさっさと出て行ってくれないか、僕の気が変わる前に」
「へぇ...」
フードの人物は少しばかり驚いた表情を浮かべる
が、すぐさまニヤリと気味の悪い笑みを浮かべる
「じゃあ、君は分かってて一緒にいたわけだね
自分は敵に対して甘いよって言って油断させて
自分だけが彼女の秘密を握ってると思わせたかったのかな
唯一秘密を知っている人なら好いてくれるとでも思ったの?」
あわれな子
耳元で囁いてやるとギリッと音がするものだからたまらない
「そうやって騙したのに小鳥は去ってしまったんだね
この鳥籠に君を残して」
「...。」
「私に協力すれば小鳥を連れ戻してあげる」
もっとも帰ったときには死体だけどねと心でつぶやく
「どうかな」
「断る」
「...どうしてかな?」
「彼女が望んでいるのは自分の平穏な暮らしじゃない
僕が心底彼女を好きなのはそのどこまでもお節介なところなんだ
帰ってこない限り僕があの子に会うことはない
それに」
まっすぐな瞳
「彼女が自由に生きるからってそれが僕が彼女を束縛していい理由にならないだろう」
恋情で暴走しない人を見たのはいつぶりだろうか
「...君って本音を言うときに僕って言うんだね」
「え、あ...」
「君の強さに免じて一つ言っておくけど私は君が思っているような育ての親でもないよ
彼女の親であり、仲間であり、兄弟だよ」
「...それはどういう?」
「これ以上は言えないな
彼女とまた会えるといいね、それじゃあ」
バタンと閉じた扉
崩れ落ちる青年の体
そして、その音を聞き悦に浸るフードの人物
「...く、くくくふふふふふ....さいっこうだよ
まさか平凡で能力もないやつの中から私に噛みついてくるものが出てくるなんて...。」
笑い声が誰もいない草原に染みこんでいく
「私の作ったシナリオとは違うが、もしも彼がこの先成長すれば考えていたシナリオ以上に面白い駒となる...は、はははは!
そうすれば...私も...私も...!」
蛇
人をそそのかし、罰を下された
終わらない生と死
意識の始まりと終わりには必ず苦痛が与えられる
(私でもなれる...!)
『それは...誠ですか?』
覚えきれないほど転生を繰り返した頃に
『あぁ、ただ人が死ぬのを見ても余興にもならん
やつらを使い、この我を満足させてみよ』
与えられた
『さすれば褒美をやろう...何でも叶えてやる』
チャンス
『...あなたのもとに戻ることも、可能なのですか?』
『当然だ』
これは神がお与えした試練
私が魅せるのだ
世界を作り、駒を放り込み、自身も身を投じて
見てるもの全てに魅せてやる
(例え今生傷を抉られても、いつかの時のような夢の世界へ戻るためならばなんだって...!)
蛇はマントの中の自身の隠された力を見る
大きな手袋
それを抜き取るととても人とは思えないゴツゴツとした大きな手が出てくる
「...この力で」
この与えられた力で
「私は、また...」
「おねーさん、どうやら振られたらしいね?」
誰もいないはずの草原に後ろからかけられた声
「おねーさんって、ミーアさん探してるんでしょ
僕もそうなんだ
一緒に行こうよ」
そこにいたのは治療士、ブハだった
「にしても君、その年で戦場にいたの?
治療ができるとはいってもさすがに小さすぎやしないかな?」
「確かに僕が最年少だけど、能力は他の人にも劣らないよ
なんならさっき言ってた治療がお得意なパーティーの人に声かけられたし
...ところでさ、ずっと気になってたんだけどあの境界線はどう越えるつもりなの?」
「ふふ、ちょっと私のスキルは特殊でね
強力なんだよ」
「てことはあなたも特殊生命体なんだ」
「まぁね」
本当は違うけど
私の神に与えられた力は二つ「初期設定」「編集」
初期設定はこの物語という世界観、個人の設定、人間関係
編集はこの物語という世界を編集する能力
この物語にいる人、物、現象全てが対象
ただ、一つだけ厄介なところがある
それは物語となり得ない部分ではこの力は発動しない
神の目という第三者の目があってこその能力だ
私の能力は
私という存在は
神だより
神という媒体物がない限り
私は生きていない
だから
そのためにも
(もっと面白く)
(もっと注目を)
(私を見「ちょっと、聞いてる?」
思考に浸っているとぐいっとフードを引っ張られる
「ぐっ...な、な、に」
「いや、ちょっとお願いがあって」
フードをやっと離してもらい大きく咳き込む
「ゲホッ...お願いって?」
「おんぶして?」
「は?」
「だめ?」
随分と礼儀知らずな子もいたものだ
「そもそもマント被ってるからおんぶは無理でしょう?」
「じゃあ、だっこ」
「そもそも自分の足で歩きなさい!」
わがまま坊主に付き合う暇はないのだと睨みをきかせるが、その坊主の顔にはお面が張り付いており表情が読めない
「だっこ~」
「知らないですよ」
勝手についてきたやつなんて知るか
「僕、ミーアさんの位置を正確に探れるのになぁ」
「なに...?」
「あ、やっとこっち見た」
表情が読めないはずなのになんとなく笑っている気がして、なんとなく苛付かせる
「ずっと見てくれなかったよね」
「嘘ならこの場で八つ裂きにしますよ」
「本当だよ」
ほらっと言いながらぺらりと巻物を器用に片手で開いてみせる
どうやらシュウドンの地図のようだ
その地図の中心に赤い斑点があった
「はい、見せられるのはここまで
ここからは有料だよ」
どうする?と首をかしげ、手をこちらに伸ばす姿は小悪魔に見えた
「あ、ちなみに僕が死んだらこの魔法も力を失うよ
いやぁ、こういう所は治療士と魔法使い便利だよね
魔術師は周りの魔力を操ってるだけだから魔術師が死んだところでそういうのってすぐに消えないんだよね」
ぺらぺら豆知識を披露する子供の前で唇を噛むフードの人物
「で、どうする?
僕の足になる?それとも君の足を棒にする?」
選択肢は一つだった
今までiPadで絵を描いていたんですが、つい先月ペンタブ様が届いたのでそっちで新たに描き始めています
という言い訳と素直に絵を描きたくない&小説の続きをしたいとなり続き更新しました
すんまそん




