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能力発掘りんごちゃん

「これの発音はズィーですよ

ほら、像さんって発音するときの初めの音が濁っているでしょう?

あの音ですよ

分かったところで書き練習あるのみです!」

「うん!」


腰掛けるのにちょうどよい大きさのものに座り、二人きりでの授業が始まる

灯りはカンテラの光しかないがそれでも十分だった


「そういえば、ティヲ君ってお姉様以外に家族はいないの?」

「う~ん?

えっとね、他にはお母さんとお父さんがいるよ

おでが出来損ないだからいっつも怒ってたけど…。」

「あらら、でもティヲ君は努力するだけ十分えらいですよ?」


そうかなぁと困ったような笑顔を浮かべる少年


「そうですよ!もっと自分に自信を持ちましょうよ!

この私のように!

自分は賢い!

自分は可愛い!

自分は正義!

自分はさいアンドこう!」


言葉を放つたびに奇妙なポーズをとるりんご


「うーん…ちょっと遠慮しようかな」

「はにば!?」

「でも、ありがとう

りんごちゃんって優しいんだね……ちょっと変だけど」

「ティ~ヲ~く~ん?聞こえてますからねぇ~?

小声のつもりでしょうけどこの0.000001Hzの音も逃さぬりんごちゃんの耳でばっちり聞こえてますからねぇ~?」

「わ~ごめんなさい!」

「んもう、文字は覚えきったのでこれでよしと致します!」

「え?あ、ほんとだ!これで全部なんだ」

「ティヲ君はおぼえがいいですね

すぐになんでも吸収する辺り子供は頭が柔らかいんですね~

…そういやティヲ君って何歳なんですか?」

「うーん…ごめん、そういうのはわからない

多分10は越えていると思うけど…

ここにある誕生日っていうのも初めて見るし、おではいつ生まれたかとか知らないんだ」

「へぇ…そうなんですか」

「七五三っていうのは終わってそうだし、次におでに来るのは成人の日だね

なんか素敵だなぁ

大人になったことを祝う日って

おでも大人になったら二人みたいに立派になれるかなぁ?」

「…なれますよ、あの人みたいに」


元気にはしゃぐ少年の顔をまともに見れる気がしない


「…あっ!もちろんりんごちゃんみたいになりたいよ!

りんごちゃんみたいに優しくて頭のいい人になりたい!」

「ふふふ、とってつけたような言葉ですね」


(成人をむかえたら、あなたはなんて言うんでしょうね)


ティヲはミーアと同じ異世界転生者…の器だ

彼は20を超えたら消え、彼女がやってくる

そうしたらこの二人は…


「そういえばこの辺りって何か妖怪いるのかな?

ボルマー君のノートによるといっぱいいるみたいなんだけど」

「うん、いると思うよ

さっきから木が揺れる音がするし、微かに足音もするよ」

「え…?」


シン…と静まる中微かな木の葉の音が聞こえる

が、足音は全くしない

彼女は冗談ではなく本当に小さな音も聞こえるのだろうか


「…この音、上?」


おそるおそる木々が生い茂る空を見上げると


「ぽ…ぽ…ぽ…」

「え?」

「え?!?!?なんですかこいつぅ!?」


木々よりも手前に宙に浮いている物体がそこにいた

大きなたてがみ

大きな顔からはみ出そうな眼球

頭部以外はいくつかの球体が幼子がつくったビーズのアクセサリーのように離れ離れになっているまるで蛇のような体だ

またその球体のいくつかが赤くなっていることもわかる


「ぽ…ぽ…ぽ…」

「音もなく近づくなんて卑怯ですよ!?

えーい、このりんごちゃん様が成敗してくれますよ!」


そういうと声高らかに歌い始める


「甘いりんごが喉をころころり〜よ♩

胸温まりぽっかぽ」

「ぽぽぽ!」


りんごの歌を聴くと突然妖怪はあばれだす


「ちょ!?」


妖怪は己のしっぽをリスのように丸めて大きく回転したかと思うと地面にしっぽをたたきつけてきた

周りの木々から先ほど言っていた足音の正体がキーキーと声をあげながら逃げ出していく


「りんごちゃん大丈夫!?」

「えぇ、なんとか」


長いしっぽだが水平方向に伸ばしていないのでたたきつけてくる一直線上にいなければどうということはなさそうだ


「困りましたね…私の魔力は歌唱のエネルギーを利用したもの

最後まで歌い切らなければ真に美しい音色か判断できないから空気中にある魔力は集まらないのよ」

「え、あ、あの」

「ティヲ君、あなたは何か特別な魔力ありますか?

あなたならとんでもない魔力を持ってるはずなんだけど」

「持ってないよ!?そ、それに」

「持ってない!?

そんな馬鹿な」

「なんで期待されてるのか知らないけどさ…あの妖怪さんを倒すの?」

「当然ですよ!いきなり近づいてきたんですよ

あの見た目完全に悪役じゃないですか!

これが小説なら主人公であるあなたが秘められた力をここで発揮してコイツツエーって粋がるところですよ!」

「え?小説?え?…とにかくなんだけど…あの妖怪さんから悪い気がしないんだ」

「なんですかそのふわふわした感情表現!?

そういうのってヒロインが言うべきセリフじゃないですか!

あぁ、そうですか!

ミーア君が主人公で俺ツエーしてティヲちゃんがキャーシュキシュキ~ってなる感じですか

じゃ~登場してもらいましょう!ミーアかもん!!」


シーン…


「ミーアさ~ん妹君との熱い抱擁も終わる頃でしょう?」

「…というか妖怪さん攻撃してこないよ?」

「…ほえ?」


物陰から顔だけひょこっと出すと


「ぽ…ぽ…ぽ…」

「ほら、何もしてこないよ」

「いや、んな馬鹿な」

「りんごちゃんが先に攻撃したからびっくりしちゃったんだよ」

「だ、だって~急に真上にいるし~…ぽぽぽとか言ってるし~…確実にアウトそうなにおいを本能的に感じ取っただけだし~…その~…誠に申し訳ありませんでした!」

「ぽ…ぽ…ぽ…」

「あ、あった!

この子についての記載!」


ほらと見せてくるページに書かれていることは


「なになに~…『普段暗く静かな所で生きているためかうるさい音楽を嫌う性質を持ち、歌った対象に尻尾を使った攻撃を仕掛けてくる』?

…。」

「うるさい…音楽…。」

「…ぐすん」

「りんごちゃん、おではいい声だと思ったよ!」

「慰めなくて結構ですよ…。」

「それにりんごちゃんの歌声よりもおでの声のほうが明らかうるさいし、もしかしたらここに書いてある内容が間違っているかもしれないよ」

「…確かにそうですね!」


りんごちゃんの復帰は早い


「なんてったってこのりんごちゃんの美声は主様が認めてくださった美しさを秘めてますから!」

「ぽ…ぽ…ぽ…」

「だよね!おでもそう思った!」

「ふふん、もっと言ってもいいんですよ?」

「ぽ…ぽ…ぽ…」

「うんうん、そうだよね!」

「…え?」

「ぽ…ぽ…ぽ…」

「あ、でもそういうのってつけものだよね?」

「ティヲ君!?」

「?どうかしたの?」

「あなた一人で何をぶつぶつ…」

「え?一人?」

「ぽ…ぽ…ぽ…」

「あぁ、彼女はりんごちゃんだよ

ちょっと変だけど優しくていい人だよ」

「…まさか」


こういう展開で主人公の意外な能力がわかることがありますが

まさかのまさかです


「ティヲ君、この妖怪のしゃべっていることがわかるんですか!?」


「え?うん

さっきからずっと話してるよ、ねー?」

「ぽ…ぽ…ぽ…」

りんごちゃんがいると長いタイトルがつけやすいです

アリガトウ…。

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