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なにやってんだ、あいつ

投稿遅れてすみませんでした(多分三回目)

「リブ…!」


隣にいた少年がもうずっと後ろにいる

にも関わらず妹の姿が見えない


そのまま引き返したつもりだがもしかしてさっきと違う道なのか?

もしくはりんごに連れ去られたのか?


とにかく自分にできることは少しでも早く足を動かし周りの気配を探るだけだ


「…!」


そこにいた


特徴的な髪形

青白い肌

幼いころ、自分がプレゼントしたワンピース


薄暗い中、ぼんやりと淡い光を放っている



そして固まったように動かない彼女



「リブ!」


妹の目の前にはりんごが


「大丈夫か!?」

「あ、うん


私はね…?」


そう言いながらりんごの方をちらりと見る


そこには文字通り固まったように動かないりんごがいた


「見事に凍らせたものだな」


そう、氷漬けされたりんごが


「感心してないで!

どうしよう、どうしたらいいんだろう…」

「いやいや驚いた表情の細部まで凍らせるとは…これは見事なものだよ

わが妹ながら立派」

「ちょっと!このままじゃりんごちゃんが危ないのよ!

私…どうやって、溶かせば…」


必死に体温で溶かそうとするが、彼女の体質が状況の悪化を招いている

しかしそれに気づかず、分厚くなる氷の壁を手にべそをかいている


「多分リブの氷で死ぬようなやつじゃないから安心しろ

むしろ長持ちすると思う」

「それは本物のりんごの話でしょ!?それにそうやったら味落ちるからしちゃだめよ!」

「とにかくこいつのことは心配すんな

こんなんで死んだらむしろ足手まといだからここで脱落してもらうわ」

「へ?な!?」


途端にパシンと鋭い痛みが走る


(最近よく殴られるなぁ…。)


「俺、疾風だから攻撃を回避して反撃するタイプなんよ

攻撃くらってオッケーなタイプじゃないんよ」

「本気で言ってるの、ねぇさん!

人のこと…駒のように扱うなんて…

りんごちゃんは曲がりなりにも助けようとしてくれたのよ!?

どうして…そんな態度」

「とういうかぶっちゃけさ…


おい、りんご

お前聞こえてんだろ

盗み聞きしてないではよ出てこい」

「何を言って」


ピキ…


「…え?」


ピキピキ…シュー…


手のひら越しに感じる氷からの熱


「アッツ!?」


氷はたちまち水に

水はたちまち蒸気に

そして


「えへへ…ばれてた?」


驚いた表情はたちまちペロっと舌を出したウザい顔に


「あんなんで死んだら宿主が報われねぇよ」

「ふふふ…そもそもりんごちゃんのパワーがすごいのですよ

ささ、ほめたたえるがよろしいですわ!」

「宿主かわいそー」

「えーなになにー?りんごちゃんすごいですってーきゃーうれしー」

「…ちょっと待ちなさいよ」

「およよ、どうかなさいましたか?」

「じゃあさ、あなたは一芝居うったってこと?

私を騙したってこと?」

「ふ、ふよよ?」


リブの額には青筋がたっている


「…私が慌てるさまを笑ってたってことかしら?」

「笑ってないです!

ただ、ナチュラルにりんごちゃんって言われてうれしかったのはあります!」


りんごちゃんはぴしっとまた何かのポーズをとる


「……あなたとは金輪際話さない」

「えぇ!?ちょっと~ごめんなさいです~!」

「賢明な判断だよ、リブ」


やっと追いついたティヲがリブとしがみついているりんごちゃんを交互に見る


「ハァ…えっと、ハァ…仲良くなれた?」

「!…やっぱり、あなたは間抜けね!!」

「ふぇ?」

「ねぇさん、さっきはごめんなさい

この氷で冷やして」

「わ~、ありがと~

ついでにちゅーも~」


リブがちょっとそっぽを向いたかと思うと頬にそっとキスをする


「りんご、お前最高の友達だわ」

「なんか嬉しくないです!」

「ごちゃごちゃ言ってないで早く酒場に行きましょうよ」

「リブ、顔赤いけど大丈夫?

盲人の能力って自分に負担かかるみたいだから気を付けてね?」

「…あなたは大間抜けね!」

「え、えぇ?」






ところかわってムルトパーティー内では…


「この薬草はね、しっかりと摺っておかないとね、いけないから!」


ムレミアがアミに調合について教えていた


「はい!」

「調合はね、早ければいいってものじゃないの

時間をかけたほうがずっと優れたものができるのよ」


大きな鉢で薬草を粉々にしていく


「はい」

「…最近だと魔術とか魔法を使って即興で作る調合士も少なくはないわ

でも、使ったらなんとなーくわかる!ことなんだけど」


鉢をアミに手渡し、自分は次に摺る薬草を切れ味のよい刃物で切っていく


「はい…」

「…こういう時間をかけて作ったやつの方が効果あるのよ

なんでも作っている時にゆっくりと魔術にかかっているとかなんとか」


辺りに薬草の香りが充満している


「はい?」

「……ほら、焼き魚料理の時に強火で短くやったら中が生だったとかあるでしょ?

あれと一緒なのよ」

「!はい」


なるほど!とばかりに頭をブンブン振るアミ


「…。」

「…。」

「…あのさ」

「はい」

「はい以外の返事を知らんのか、この若造がァ!?」

「は、はい!?」


叫んだ調子のまま、勢いよく刃物をまな板に突き刺す


「あんた、今何歳!?」

「じゅ、15ぐらいです…」

「はぁ?その年でこの返事!?」

「す、すみません

気に障ったのなら改善します」

「そういうもんじゃないでしょ!?」


ビクッと体を震わせる少女に呆れる


「あー…別に私は驚かせるつもりで言いたいんじゃないのよ

たださ、その…一応私達パーティーメンバー…でしょ?

もっと気楽にしなさいよ

近衛兵の人っぽいの私嫌いなのよ」

「…すみません」

「…あーもう!こういうのガラじゃないのに~

とにかく!その謝んのやめなさいよ」

「は、はい」

「はいも禁止!」

「え、えっと」

「私はね普通に喋って欲しいのよ

ずっっっっっと思ってたんだけどね、あんたの喋りかたは固いのよ」

「…。」

「私ら底辺はそんな上っ面みたいなのが嫌いなの

多分、朝いたあいつもそういうの嫌いだと思うよ

口には出してないけどね」

「…。」

「あんたがね、ここのパーティーで浮いてる理由それだと思うわ

ミーアも色々と普通の人じゃなかったけどだいぶ親しみやすいタイプだったわ」

「…。」

「育ててくれたとかは尊敬している理由

妹さんのことがありながらも会った時には気さくに話してくれたところは信頼している理由

あんたには信頼できる理由がないのよ」

「…。」

「だから~つもり、その~…とにかく!もっと私と話しなさいよ!

メンバーの一人だからとかじゃなくて、私だからっていう理由で話しかけなさいよ」


自分は話してもいいのか?

きっと彼女はミーアさんを退けて入った私の存在が疎ましいはずなのに

…いや、絶対にそうなのに


「こちとら、ミーアとあんたの差をみたいわけじゃないのよ

ふっつーにあんた自身と話したいってのに

あんたときたらさ、ミーア魔術ミーア剣術ミーア

たまに来たと思えば報告だけ

私から話しかけようとしてもなんかしらやってて隙もないんだから困っちまうんだよ」


自分は馬鹿だ

パーティー制度を導入したのに自分が…一番…


「…あたしも悪かったよ

だからそんな泣くな」

「…っ!…っ…。」


首を振る

彼女のせいじゃない

全部自分のせいだ

馬鹿だ、私は大馬鹿だ

全てから逃げて、ムルトさんのところに来て

それでも人を困らせて


「…これ、嗅いでみ

ラベンダーの香りは落ち着かせる効果あるからきくとおもうよ」


そっと抱きしめられる

生きててこんな体験ははじめてだ

なのに自分は返せてない

どこまでも努力不足で考えたらずだ

今もこうやって人に迷惑をかけてる


「あ…だし」

「うん」

「…ど、ぉくぜんぜ…だめっで」

「違うよ、あんたは頑張りすぎなぐらい頑張ってる」

「…っ!…」


違う

違う

お母様に頭を撫でられなかったのも

お父様から誉め言葉がなかったのも

全て私の努力不足


「…ちょっとは休もうよ

皆さ、普通休んで生きているんだもん

あたしなんか休みまくってるのよ?

なーんにも目標もしたいこともないまま休んでてさ

探す気もないのよ

そんな中あんたはさ、頑張りすぎだよ

ずーっと隙がないくらい頑張ってる

何があんたをそこまで動かすのかはわかんないけど、もうちょっと休んでもいいんじゃない?

こうやってさ」


涙をすくわれる


「体と心が悲鳴あげてるわけだし」


赤子を相手にするように背中をぽんぽんとたたかれる


「せめていまこの瞬間だけは休ませてあげな

あたしも付き合ってあげるから

大丈夫、何も考えずにいればいいだけ

過去のことも未来のことも

なーんも考えずに、ね

あたしのお休みに付き合ってよ」


そう言ってムレミアは大きな赤子を抱きかかえたまま天井を見る



何も動かない空間のなか、アミに新しい変化が訪れていた

記憶にある人が彼女の心のドアにノックしたしたかと思うといつのまにやらドアをバンバンと叩き、最終的には自分で蹴破って入ってきた

そしてその人は休もうと誘っている

すごい人だ

私はドアの修理をしなければいけないのに

そう思ってドアを見ると蹴破られたドアはどこにも見当たらない

すごいことだ


と、動けないなりに何か考えて過ごそうとした結果へんてこりんな想像をしてしまった


そして同時に思った


きっと私はこれからもっとたくさんのすごい人達に会うんだ、と

さっきから月並みの言葉しかでてこない

でもいいんだ

私に飾った言葉なんていらない

ここには母も父もいない


目の前にいる人とその周りの人だけだから

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