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魔法少女・りんごちゃん、お友達できたのですよんよん!

お詫びの二連投

「あっぽ~あっぽ~おぅおぅお~ぅ~」

「…。」

「あっぽっぽっぽ~お~」

「…。」

「…なんで静かなんですか!?」

「私は元々無口よ」

「そんなことないですよね!?

なんか三人で仲良く話してたじゃないですか!」

「それは…」


いつも話の起点となる人物を見る

三人がこうして話している間も会話に割り込むことなく進んでいる

どうやら何か考えているらしく、先ほどから黙りこくっている


「私の歌声は魔法少女戦隊の中でも愛らしくよく通るものだと主から褒めてもらってるのに~…」

「…その主って何よ」


その言葉は何か確信めいた答えを持った上で訊いているようだった


「ふふん、主様の話をききた~い?」


わざとらしい彼女の態度に冷めた目線を送る


「きいた私が馬鹿だったわ」

「ちょちょちょ!」

「あ、ごめん

話した私が馬鹿だったわの間違いね」

「ちょちょーん!

距離を離すのが一番の間違いだよ!」

「ちゃんと隣にいてあげてるじゃない」

「いや、物理的にじゃなくて心的な距離!

目が!

目が冷え切ってるよ!ひえひえさんだよ!」

「あら、ごめんなさい

私雪女だから仕方ないことなの

凍傷しちゃまずいし物理的にも離れたほうがいいわよ」

「えーっと…いいすぎだよ?リブ」


チーン…という効果音が似合うほどの落ち込んだ少女の背中をさする


「うぅ…妹ちゃんが冷たいです…」

「だ、大丈夫だよ!

おでもあんな風に言われたことあるから」

「少年君…!」

「おではティヲ

いつかは仲良くなれるよ、りんごちゃん」

「ティヲ君…!」


ガシッと差し出されたティヲの手をつかむ


と、


「おい、手は出すな」

「あらあら、仲良しこよしちゃんはダメなんですか~」


先ほどまで静かだったミーアがこちらに振り返っていた


「…付いてくんのは構わねぇけど、こっちはお前と仲良くする気はない」

「随分な感じね

こっちはあなた達を守りたいのよ?」

「守るのはお前の勝手だろ?

それで変に干渉すんならこっちも追い出すぞ」

「やれやれ~…

…わかりましたよ、わかったから睨まないでよ~」


ひらひら手を振り降参のポーズをとる

「おしゃべりくらいならいいよね

こんな不気味な森でずっと静かだったら怖いじゃない?

ね、妹ちゃん」

「妹ちゃんじゃないわ、リブースよ」

「…次、変なことしたら追い出すからな」

「ほーむほむ…お姉さんってばカリカリしてるねぇ

ちょっといたずらしようとしただけなのに」

「…ねえさんだけじゃないわ」

「およよ?」

「私もあなたのことを信用してないから

こんな茶番劇するくらいならさっさとあなたの言う主様のところに帰ったらどう?

三人の侵入者が現れましたって報告を土産にして帰ったらいいじゃない?」

「…何か勘違いをしているみたいっぽそ~だね」

「何が勘違いよ、このシュウドン人が。」

「むむ~…私は本当に違うんだけどにゃ~…」


ここでやっとりんごちゃんはリブースが自身のことを敵国の守り兵であること、主は国王だと考えていることに気づく


「主様は王様じゃないんようよう」

「国王じゃなくても、貴族だってなんだっていいわ

とにかくあなたのことは一切信じてないから」

「…まぁ、あなたにならそう思われても別に構わないですっす~」

「随分と意味ありげね?

まさかティヲには何かあるとかいうんじゃないでしょうね」

「ピンポンピンポーン!!…です。」


前方でミーアがこちらをにらみつけてきたのでりんごちゃんは声を落とす


「ティヲちゃそはできることなら一緒にきてほし…何でもないからね~」


何か言いかけていたが、ミーアの眼光に怯み後ろのほうへと逃げていく

何かあるのは確かだが、ミーアはリブ相手には警戒心が高い

それならば…


「…ティヲ、ねえさんと話してきて」

「え、おで?」


二人のやり取りに困った顔をのぞかせていた少年の顔に困惑も刻み込まれる


「私相手じゃねえさんは話してくれないわ

ティヲならねえさんも油断すると思うから」

「…それっておでが馬鹿ってこと?」

「その質問が馬鹿よ、あなたが馬鹿だからじゃない」

「!」

「あなたが間抜けだから油断するのよ」

「…。」

「ほら、はやく行って

私がりんごを相手にしておくから」


微妙な顔を浮かべた少年兵を前線へ送り出す


(さて、私は…こいつか)


「ちょっと、そこの憂鬱そうなの」

「うぅ…憂鬱そうなのじゃないです、りんごちゃんです」

「そう、りんご」

「ちゃん」

「でね、りんご」

「ちゃん」

「さっきのはな」

「ちゃん」

「…。」

「ちゃ」

「あー!はいはい、りんごちゃん!」

「ハイ☆」


あっちの方は無理だが、こっちはこっちでめんどくさそうだ


「さっきの話に出てた主様って誰?シュウドン国王じゃないんでしょ」

「そうだよ、リブース

それとさっき言ってた貴族ってやつでもないと思う」

「貴族じゃない?」

「うん、人間社会特有の階級とは無縁の場所で暮らしている人だから

リブース達の常識にのらない人だよ

そもそもここの国は階級制度による縛りも薄いしね」

「リブでいいわよ」


ニックネームで呼んでいいと言った途端、りんごちゃんは静かにだがしかし確かにうれしそうに跳ねる

そんな奇行をよそに主と言われる人物に考えを巡らせる

彼女の言う主とはいわゆる賢者のようなものだろうか


「ねね、リブ

私あなたとお友達になりたい!」

「えー…」

「そんな目しないでよ~

ねぇ~おねが~い」

「一緒にいたら馬鹿が移りそうで嫌」

「えぇ~それなら一緒に馬鹿になろうよ~ね~

おそろしようよ~」

「い・や・だ」

「ぷるるる…いじわる」

「なんとでも言いなさい」


…一番の謎はねえさんがこの子をいれた理由よね

この子がティヲを狙っている理由は…ティヲの家庭環境が関係ありそうね

大方その主って人から捕まえるように言われたのかしら

今はねえさんがいるから様子見ってところかしら

でも


「どうしてねえさんはこの子を…」


「知りたい?」



思考にふけいっていると目の前に




「は…ね…?」


先ほどの少女の背中からは紅く縁取られた黄色の羽がはためいていた




「ねぇ、あなた


あなたは『転生』を信じる?」


「てんせい…?」


天性

展性

天成

転成


いくつかの言葉が出てきて一つの言葉が出てくる



転生


生まれ変わること


何故彼女は突然そんなことを言い出すのか

何故今自分の体はこわばっているのか

何故自分は

彼女を恐れているのか

あぁ、考えてもわからないということは

本能が体に訴えかけているのだ

彼女はまずいと


「賢いあなたなら輪廻でも通じるかな?」


異常事態を先頭の彼らに伝えたくても震える声帯

かすれる吐息

自由に動かない体


彼女からは何の拘束も受けていない

動けないのは


「えへへ、あなたって意外と怖がりさんなんだね

別に怖がらせる気はないのに」


自分の弱い部分は虚勢を張ることすらできない


「怖がらないで、私の可愛いお友達さん」


「ぉ…ぁ…ぃ…?」


『お友達』


声にならなかったが唇の動きで分かったのかりんごちゃんは笑みを深める


「えぇ、お友達よ」


クルリと気持ちよさげに宙を舞う

目線が離されわずかに前に進めるようになったが、ひざが笑っている上前の二人との距離は遠ざかるばかりだった。


「我が主様の他の魔法少女ともお友達はいるけどね」


また目が合うとビクンと体が震え行進が止まる


「下界はあなたが初めてよ!」


下界…?


「っ…っ!…。」


主って…まさか


「あぁ、そんなに怖がらないでよ

私はあの子たちの味方よ

そして、」


するりと頬を撫でられる


「あなたはあの運命の子たちに巻き込まれただけの哀れな子」


喉がはくはくとひきつる

過呼吸の時にも似た生理的な涙があふれ、それを掬い取られる


「大丈夫

あなたには悲劇の災害が降りかからないわ

エバの…少年の悲劇は違うところで起こる」


目の前の少女の紡ぐ言葉がわからない


個々の言葉の意味は辞書で知ってる

ボルマーに習った知識もたくさんある


だが


「魔法少女りんごちゃんが言うから間違いないわ

私はあのお方の魔法少女…ヘッドだもの

…それになにかあっても私が守ってあげる


私達お友達、だもの」



この時ほど自分のもつ知識というものがいかに無力なのかが思い知らされた

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