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少年、少女の思考回路は少し違う

「うっへぇ〜急に雨が降るとは思わなんだわ…。」


突然雷が落ちた次には街に雨が降り注がれていた

背中に背負った少年が風邪をこじらせないためにもいくつかの候補の宿へと足を早める


あんなことがあった決闘の後だ

いい顔はされないだろうが、営業をしている身である彼らはきっちり仕事はこなすはず

もっとも興味がない奴もいるだろうし


「ん…んん?」

「お、目が覚めたか?」

後ろのお寝坊さんに声をかける


「うん、ミーア…。


…あれ!?なんでおでここに!?」

「ハハッティヲ、寝ぼけてんのか〜?

ティヲの能力発動しなくて良かったよ、ほんと

あそこでお前がドルーワ国の子供だってバレてたらおっ死んでたぞ」

周りに人の気配がないことを確認し、話しかける

「え、えぇ!?」

「何で来たんだ〜?

無事で済んだからいいものの少しでもミスったら


俺らの首が吹っ飛んでたぞ。」

「!

…。」

真面目なトーンに叫び声をあげていたティヲは黙りこくる


「…助けに来る気持ちは嬉しいんだがな、お前にとってはここは戦場だ。

敵とみなされなければ助けてくれる

同情してくれる

だがな、敵とみなされたら一巻の終わり

その場で嬲り殺される。」

「…。」

…他人に説教なんて嫌なんだけどな〜…。


でも、

「そして、今処刑台の首吊りロープに首引っ掛けられてるのはお前だけじゃない」

君だけじゃない

「俺たちにも掛かってるんだ」

リブにも

ボルマーにも

そして何も知らないパーティーメンバーにも


関わった人は全員等しく、敵国の子供を見逃した罪人

「頼むからやっと延びたリブの寿命を、全ての命を

奪わないでくれ。」

最後にドスをきかせる

この国は敵に対する殺意が高い

それと同時に敵に肩入れするものたちに対する殺意も高い


それをこの子にもわかってもらわなければならない

「…さぁ〜て!説教は終了!

腹減ったし飯食うか?」

「………。」


返事なし、か

ま、そりゃそうだな

普通の子供なら理解した途端怖くなるか

自分が数人の命を刈り取る、諸刃の剣的な死神の鎌を振り回していたってことだし

「君は俺を助けに来たんだろ?

ならもういいよ、気にすんな!」

「………なさい。」

ごめんなさい

雨音が声をかき消そうとしたが、わかった

「そういや、ティヲはひたパン気に入ってたよな?」

「…うん……なさ」

「じゃあ、ちょっと時間かかるけど作ってやるよ

今日は2日目のボーナス、夜更かししときな。」

「……うん。」

チクッ


聞こえないフリは得意だ

昔からそうでもしないと胸が張り裂けそうだったから

いつのまにかうまくなっていった

長い長い時間の中で

うまくなっていた…なのに

なんでだろ


「スープは魚介か?」


ティヲ相手だとなんでこんなに胸が痛い?


「それとも肉系か?」


出会ったばかりの子供なのに


「君はよく食うからなぁ」


何故こんなにも懐かしい?


解らない


分からない


わからない


わかr

「ねぇさぁあん!!」

「?…!よぉ!ただいま、リブ」

いつのまにか着いていた宿の窓から妹が身を乗り出して手を振っている

…今日の俺はおかしいな、疲れてんのか?


「ティヲ!大丈夫なの!?」

リブはそう言うとダダダと階段を駆け下り、宿屋の玄関口まで駆けてくる

「う、うん大丈夫」

「急にいなくなるから心配したじゃない…それ…に…。」

「それに…?」

ここでリブはティヲと仲直りしたわけじゃないことを思い出す


謝ろうとした矢先に出ていったティヲ

心配が先走ったが、今は怒りのようなどうしようもない感情が沸いてくる



「…特にこれといったことじゃないわ、さっさとお風呂入ったら?」

「え、うん…。」

自分に怒る資格はない

ちゃんと今、謝れば丸く収まる

でも素直になりきれない自分がいる


「じゃあ、先にお風呂入ってもいい?ミーア」

「おう、ゆっくりしろよ〜」


ミーアがティヲを見送る


「…馬鹿みたい。」

「どうされました、お嬢様。」

こんな自分がいるなんて知らない

「ねぇ、セバスチャン

人はどうしたら賢くなるのかしら」


ねぇさんなら、わかってくれるのかしら

どうしようもなく素直じゃないダメで


馬鹿な私を。


「そうですね…人は馬鹿でいいんじゃないですか?」

ねぇさんはエスコートするように手を差し伸べる

「…なんで」

その手に指をそっと重ねる

「その方がずっと素敵だからです。

今の貴方のようにね」

『…馬鹿みたい。』の主語を添えてなかったが、姉にはお見通しのようだ

「…私が馬鹿だって言いたいの」

知ってるよ

賢いねぇさんに馬鹿にされて仕方ないもん

「えぇ、部屋のスリッパを靴に履き変えずに人が多いロビーにやって来るお嬢様なんて前代未聞ですよ」

「!?

あ…。」

二人を見つけた時はとにかく二人の下へ駆け寄ることしか頭になかった

(すっかり忘れてたわ…。)


「…そうやって馬鹿で優しいのが人です。

だけど、それが悪いこととは限らないんじゃないですか?

…さっきの感じから察するにあの少年と喧嘩したんでしょう?」

「…。」

「大方、貴女が謝った時に彼は姿を消してたんじゃないんですか?

それで謝り損なった、とか」

「ねぇさんってば心理学者?」

「ハハッありがとな」

いつもの砕けた調子に戻る

…ねぇさんって色恋には疎いのに、なんでこういうことには機敏なんだろ

「それであいつが気にしてないのが余計に頭に来たってところか?」

「うん…私が悪かったの

それで謝ろうとしても当の本人以上に全く気にしてないもん」

「ティヲが気にしてないんだしいいんじゃねぇか?」

「ダメ!」


思いがけず大声が出る

「ダメなの…あの子が気にしてなくても私の中の…その…許さないのよ!」

「うーん…じゃあ一回謝って反応みたら?

本気で気にしてないならもうそういうタイプの子だって思うしかないし」

ミーアはドアノブに手をかける

「で、でも!」

「そういう子には何回も謝られても困るだけだし、な?」

「…うん。」

納得しないが一応頷く


その姿にミーアが悶えていることを知らずに

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