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俺、またなんかやらかすかも。

「さぁーて街にしゅっぱーつ!」

「オーです!」

「お、オー...でも、その...。」

「どうしたの?ティヲ君

悪は滅んだから気にしなくてもいいよ」

「はい...分かりました」

今のミーアによると『ボルマー』と書いて『悪』と読むらしい

そういえば戦場で気を失ったときにシスコンって聞こえたような

「ねぇさん、私はね服はオリジナルアレンジがいいの!

この服の!」

「?なんでだ?新品の方がいいんじゃないのか?」

「だってこの服、縫い目がしっかりしているみたいで貰った時から全然ほどけてないのよ

それに生地もやわらかくて気に入っているしね

そ、それに...。」

「それに?」

「...ずっと着てたから愛着あるの!

ねーねーいいでしょう?自分でお裁縫は出来るから!自分でするから!」

「そんなに言わなくてもリブが望むんならなんだっていいよ」

リブの顔がぱぁと明るくなる

「ただーし、条件一つ!

裁縫してる時はねぇちゃん同行、いいね?」

「うん!ティヲは?どうするの?」

「おではいらないよ!ただでさえ助けてもらったりご飯くれたり

…それに」

「あ、街が見えてきたわねぇさん!」

「それに


こうやって街まで行くのにミーアに運ばれてるわけだし」

「ん?君ら二人とも軽いから別に気にしなくてもいいぞ

寧ろ軽すぎる

もっと食って可愛くなれよ~」

「ねぇさん、門の入り口で離して

今の状態は恥ずかしいわ...。」

「悪い悪い、年頃の子だもんな~」

「ねぇさんってば年寄りっぽいこと言わないの!」

門の先から西日が差し込んでくる

とんでもない速さで走っていたミーアは二人に負荷のかからない程度に急ブレーキをかけよいしょと降ろす


「相変わらず馬鹿力だな!ミーア!!」

「ん?おぉ...ムルトじゃねぇか、おひさ」

「なんだァ?お前テンション低いなぁ」

門の上で酒瓶片手にこちらを見下ろす懐かしい顔が。

...あの時と同じように逆光となっている

「急に俺様何様ムルト様が来たからビビッたのか?」

高さ五メートルある門から飛び降り、巨体がドスンと地響きをたてる

「ほざけ、そんなんでビビッてたら今頃俺はどこぞでショック死でもしてるだろうよ」

「はは、そいつは違いねぇ

んで、その後ろにいるのは昨日のかわいこちゃんと...妹か?」

「あぁ、ちょっと妹が元気になったみたいでな

外でショッピング的なのをしたいってさ」

「なるほどな

ま、年頃の女の子ってそんなもんだよなぁ...お前以外はな」

「そう言うけどな、お前さワンピースやらアクセサリーやらで着飾った俺を想像してみろよ」

「...。」

「それでそいつがうっふんどう?とか言ったらキモいだろ?」

「うん」

「素直でよろしい」

「それじゃあ、この首に巻きつけてる手をどかせ

言ってることとやってることが真逆だぞ」

「うっせぇ!俺も!一応年頃の女なの!」

「今更何言ってんだ!?」

「あのね!女好きはね!男になりたいやつだけじゃないの!

女の子が男共より綺麗だから女の子が好きって人もいるの!!」

「めんどくせぇやつだな、オイ!

うぐっちょまてまてギブギブ

お前力強いんだから落ちる...


...てか二人は?」

「え?

あれ?」

いつのまにか街の方へとくりだしていた二人

「...お前って戦闘能力は高いのに割とおっちょこちょいだよな」

「...ふんっぬ」

首を絞める力をぐぐっと強める

「ちょちょちょ悪かったって無理無理

誰かヘルプミー!!」


その声に応じるようにタッタッタと足音が門の上へと繋がる階段部分から聞こえてくる

「総長!またここでお酒飲んでいたんですかー!

...ってあれ?

...んええぇ!?」

ムルトが上にいないのを不審に思い、外を見てやっとその女性は我らが総長様の今の状態を理解する

「ん?誰だ?

ムルトの知り合いか?」

「きゃーーー!!!総長に何してるんですか、あなた!!

...ってあなたはあの...!」

「うん?総長ってことはムルトのところの子か?

ちーっす元メンバーでーす」

「...ミーア、そいつはアミ

数少ない前線でも戦える魔術師」

緩められた腕のおかげで会話できるようになったムルトは話し出す

「そしてお前がいない、今のパーティーの一番隊長でもある

...つまり今の俺の相棒はこいつだ」






「ふふんふふんふーんふふーん」

リブは鼻歌を歌いながら服を持ってきてはティヲの体にあて首を捻り、また違う服を持ってきては首を捻っている

「...二人を置いてきてもよかったのかな?」

「大丈夫よ

ねえさんは馬鹿力だけど力ではムルトさんのほうが圧倒的に強いからそこまで酷い目に合わないわ

ムルトさんってば、ねぇさんに甘いから本気で力出してないのよ」

リブはそう言うと持っていた服を店員に差し出し、ティヲの体のサイズより少し大きめのを購入した

「ま、言っちゃえばほの字よ」

「ほ、穂の字?」

「惚れてるってこと!

ねぇさんってば本当に鈍感なんだから!」

「え...えぇーー!?」

「ね、驚きでしょ?」

二人って考えれば考えるほどロマンチックな関係ね~と顔を赤らめるリブ

「いじめを救ったり、相棒って言ったり!

それにね?ムルトさんとってもモテるのに好きなやつがいるって言っていつも断ってるのよ

ねぇさん以外に女性関係ないのに~!」

きゃー!と騒ぐリブ

「えぇ...。」

男であるティヲは女の子の恋に夢見る感情がいまいち分からなかった

それに

「で、でもミーアは」

「そう、女の子趣味


でも実際の所どうだろ」

「え?」

店員から紙袋を一袋受け取る

「本当は...違うんじゃないのかなって思うんだよね」

そういう彼女はこちらに背を向けており表情は読めない

「可愛いものを愛でてるって感じでさ...言ってしまえば母性みたいなものじゃないかなって思うの」

「...。」


心当たりがないわけではない

ミーアの愛で方ははっきり言ってギャグじゃないかと疑ってしまうほどおかしい

(家のねぇさんへのオキャクサマみたいだ)

いつもあの人たちはねぇさんを可愛いって言ってた

ねぇさんはペットにでもなったような気分で嫌だって言ってたけど


「私ね、実は密かにムルトさんのこと応援してるの」

今度は靴を品定めするリブ

「これを機にねぇさんに落ち着いて欲しいなって

せめて人並みの喜びを感じて欲しいもの」

所々チェック柄が入ったカジュアルな靴を服と見比べる

「それに!二人の恋ってそこらに売っている恋物語よりもずっと素敵じゃない!?」

「結局、そこに戻るんだ...。」

思いの外少女という生き物は恋愛ごとに熱をあげるらしい

「だってだってあのねぇさんがだよ!

ムルトさん相手だったら力負けるし、いつもは明るく場を濁すのになにかとムキになっちゃうし」

キャーとまた悲鳴があがる

「そんなにうるさくしたら店の人に迷惑だよ?」

「...今の悲鳴、私じゃないわ」

「え?」

バン!

店のドアが乱暴に開かれる


「なぁ、じいちゃん!ミーアさんとアミさんの決闘が東門付近で始まるって!」

「「!?」」

「ほう?確かムルトのところの若造二人じゃな?」

「ちょっとおじいさん!

後で商品取りに行くわ

そこに置いてて!」

制止の声が聞こえるが構わず出て行く

街は少しざわめいていた


「何故あの二人が?」

「大方、パーティー内の喧嘩だろ?」

「でもミーアが女に喧嘩売るかぁ?

あいつ相当な女好きだってきいたぞ」

「お前知らねぇのか

ミーアって男じゃねぇよ、女だよ」

「まじでか

初耳だったわ」

「情弱すぎだろ

強いし女好きの女ってことで割と有名なのに」

「それ嘘じゃねぇか?ムルトと一時期噂になってたし」

「隠すためにそういうことしたとか?」

「いやいやあいつガチで女好きだよ

一回そういう話したけど、可愛い子のばっか話してたし」

「でも女と戦うってことはさ、そういうことだろ」

「所詮ミーアも女ってことか」


憶測だけの不快な言葉が野次として胸に突き刺してくる

東門で密度の高い集団の元へたどり着いた時には鍛えていない胸に痛みが突き刺してくる


「...ぇ...さ...」

ろくに鍛えていない体が二人の足を引っ張り目には黒い霞を入れてくる

「ミーア...ミーア!!」

まともに大きな声など出ない

「...!...!」

やっと出たしぼりだしたようなかすれ声はこの集団の中ではもみ消されてしまう

((どこにいるの!?))



「おい、お前らしっかりしろ」

倒れこんだ体がぐいっと上へ引き上げられる

「!?」

引き上げたのは


「ハァ...ムルトさ...?」

先程別れたムルトだった

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