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おい、オタクゴラ何やっちゃってんだ

ねぇさん

どこなの、ねぇさん

おで、まだ好きだって伝えてないのに


あれ?これは何?

首に巻かれているものは

くるしい

くるしいよ、ねぇさん

…これはねぇさんの腕?

そうなの?ねぇさん


あったかい

いつもみたいなほっぺたをなでるものじゃない、これは抱擁

ずっと抱かれていたいよ、ねぇさん

もうあの人達との時間なんて消えちゃえばいいのに

ねぇさん以外の人なんて会いたくもないよ

蹴るか殴るか引っかくか舐めたり舐めさせられたりするだけだもん

つまんないよ

…そういえばねぇさん以外でそうしなかった人に会えたんだ

ミーアっていうんだ、ねぇさんに会わせてやりたいよ


…ねぇ、なんで返事してくれないの

いつもならしてくれるのに

なんで?

ねぇ、どうして


『お前はこれから戦場に行くんだよ』


え?どうして?ねぇさんは?


『ワンは女だからね、売春婦となってもらうよ』


なんで?おではねぇさんと一緒じゃないの?


『女よりも男の方が金払いがいいからね、インキュバスのあんたはお払い箱さ』


なんで?ねぇさんと離されるの?


『男性層からも客はついてたけど、物好きばっかだからね

あんた経由に他の子にも金ばら撒いて欲しいのに...。』


ねぇさんとおでは強い絆があるんだよ


『とにかく支度しな...これだけで一生贅沢できる金が入るってんだから、ワンとツーの脱走はこれぐらいで許してやりましょ』


ねぇさんが


ねぇさんが遠のく


まって!

おで、まだ

ねぇさんに思いを

...好きだって言えてない!!


「っ!」

ハー…ハー…と呼吸が荒くなる

「夢…か…。」


起き上がろうとするも何かが邪魔している

ふと障害物を見るとそれは右隣で寝ているミーアの腕だった

夢の中で感じた息苦しさはこれだったらしい

胸に置かれた腕を取り手を自身の頬にあてがう

そしてゆっくりと動かす

さながら自愛に満ちた姉が下の子を落ち着かせるように


「ねぇちゃんとは違うだろ、この手」

「!?」


喋ると同時にミーアは目をパチリと開く


「ははっ悪い驚かせたな

それにしても無骨だろ?

リブの方がよっぽど華奢だからそっちに撫でてもらった方がいいぞ?」

「…確かにねぇさんとは違う」

「ははっそうだろ、リブならもう起きてるぞ

昨日君のこと心配してたし、頼んだらいくらでもしてくれると思」

「でも

おではこれでいい」

「あらま…そう。」


動かされるままだった腕を自主的に動かしてやる

撫でるたびに表情が和らぐ



「って『これ「で」いい』…って言うようになったね!このお口は」

ムイッとほっぺたを引っ張ってやる

「!?い、いひゃいいひゃい!」

「そんなわがままなお口には朝ごはん三十回噛んで食べる刑に処すよ!」

「ひょっぺたとれひゃふ!」

「よーし、今日はつけパンじゃなくてひたパンだ!

パンがどろっどろの介護食みたいになるまで食べちゃだめだかんな!」



「…ねぇさんってば朝から元気ね」


ふふっと笑がこぼれる

と、咳が混じる


(…元気なねぇさんから快活さを奪ったのは私)


ぎゅっと布団を握る指先は力をいれずとも元から冷たく白い


突然うっと吐き気が押し寄せ近くにある容器にもどす

中にあるのは水と白い塊


(…ずっと最近こんな調子だわ)


体力を使いボスッとベッドに倒れこむ

いっそ死んでしまえばいい

でも、残されたねぇさんを思うと死ねない

ぐるぐると回る葛藤に弱い体は何もできない

ただ泣くしかなかった

そしてこぼれた涙が凍ってしまいそうなほど、自身の体の冷たさに死期が迫っていることに怯えるしかなかった…



「あの…リブさん大丈夫なの?」

「あー…大丈夫だと思う

後で飯持って行くからティヲは気にすんな」


それより口元についてんぞと指さしてやるとどこどこ?と手探りで発見しようとする

見つけた瞬間目がキラッと輝き、ナプキンで拭くことなく口に入れる

そしてまたスプーンでボウルの中身をつつき始める

そしてティヲの一挙一動にミーアは悶える


昨夜の夕食の作法からして食器類の使い方を知らなさそうだったので一から教えることになった

スプーンを使うことすら難しいらしく、運ばれた食事が口に入らず下のボウルに着地することもしばしばある

ミーアは苦労していないがティヲの動作一つ一つに目を奪われているため全くもって食事が進まない


「そういえば、昨日の…郵便配達って本当になんだったの?

全く物音してなかったのに、なんでわかったの?」

「ん?あ、そっかティヲには聞こえなかったか

ちょっと特殊な友達からの伝達があってな

…まぁ、詳しくは後でヤツが説明してくれるよ

昨日、手紙送ったからもうそろそろ来ると思う」

「??はい…。」

「あ、それうまそうじゃん

ちょっとちょうだい」

「あ、どうぞ

ちなみにその人ってどんな人なの?」

「魔法オタクで髪もっさもさで変なメガネかけてて…いわゆるコイツ」


ミーアがビッとスプーンで指差した方向には


「ちょっとちょっとひどいっすよ!ミーア殿!」


もさもさした髪、顔の大部分を占める大きなグルグルメガネ、そばかすが目立つ人が立っていた

さっき渡したチキンをもしゃもしゃ食べている


「?…!?

うわぁぁあああ!?」

「君も反応遅いっすよ!さっきうまそうじゃんって声かけたのに!」

「昔から君は空気になりやすいからな~」

「ミーア殿ひどいひどい!拙者手助けに来たというのに!」


ミーアはぽこぽこ叩かれているにもかかわらずまるで肩たたきされてるかのように優雅に茶を飲む


「えと…はじめまして?」

「ん?はじめまして?…ってそうだったそうだった!」


思い出したかのようにメガネをかけた人が大声を上げる


「えー…改めまして

はじめまして!拙者は魔法学者兼盲人学者の見習い、ボルマーだ!

どうぞよろしく!」

「よ、よろしく」


ぶんぶんと大きく握手され体格が小さなティヲは振り回されている

おいゴラ、オタクゴラ、うちの子に何してくれちゃってんだゴラ


「君がティヲくんっすね!ミーア殿のふみで事情は知ってるよ」

「え…」


パッとミーアの方を見る

するとミーアは少し顔を背け悪いと片手を挙げる


「気を悪くしないでくれ

俺一人じゃ理解不足なところもあってな

こいつは盲人や敵の国の子だからと言って差別するようなやつじゃない

純粋に知人が拾った子供が苦しんでいるのを見過ごせずに来ただけだ」


その言葉にボルマーは大きく頷く


「その通り!医療の心得もあるのでバリバリに働けるとおもいますぞ~!


確かに拙者の仲間には敵兵の子は研究材料にするってやつもいるにはいるんですよ…。

でも、拙者はそれ、ダメだと思うんです

生き物はみな家族!苦しんでいい子なんて一人もいないっすよ!」


ボルマーはパァと大きく笑う


「そういうことだ、こいつは魔法馬鹿だが人を虐める馬鹿なことはしないよ」

「馬鹿とはなんっすか!!魔法は偉大であります!」

「ティヲは魔法を知らないんだ、その偉大なやつを教えてやれや」

「絶対ミーア殿は偉大と思ってないでしょう!?

あぁ、いいっすよ!!

こうなったらティヲくんに伝授してやるっす!!」

てことでここまで閲覧していただき有難き幸せ

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