note1.破片
初めまして。
痣鞠 楓喩蘭と言います。
読みにくい名前ですみません。
今回、初投稿の作品となります。
後悔していること、ありませんか。
やり直したいと思うこと、ありませんか。
どこか懐かしくて暖かい物語を作りたいと思っています。
初心者なので、いろいろと勝手が分かりませんが、感想など頂けますと嬉しいです。
どうぞよしなに。
人がほとんど乗っていないローカルバス。
いつもなら誰も降りないバス停に、大きな荷物を持った青年が一人、車掌さんにお礼を言って降りてきた。
ブロロロ、とバスが発車した後、
「やっぱり落ち着くな、此処は」
ゆっくりと深呼吸してから、その青年、朝露那月はそう呟いた。
此処は、東北の山脈にある小さな村を囲んでいる森の入口である。
昔からずっと村が自慢にしている、とても美しい森だ。
中央には山脈から穏やかで透明な水が流れる川があり、キラキラと陽の光を反射して輝いている。木々は全て広葉樹で、四季によって鮮やかな色彩を見せてくれる。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪化粧…。村のすべての家で、その景色は楽しめる。
「久しぶりに来たけど、此処は変わらないなぁ。」
この村、通称「九十九村」は、那月が生まれた時から高校生になるまで暮らしていた故郷である。
なんにもなくて、遊べるようなお店もなかったけれど、那月はこの村、そして森がとても好きだった。
他の同級生は、つまらない、こんな村のどこがいいの、と言う人がほとんどだったが、那月はそう思うことなんてなかった。
なぜかって?
それは、彼は森の動物にとても好かれていたからである。
一歩森に入れば、鳥が肩に止まり、リスが近づいてきて体をよじ登ってくる。その子たちを撫でながらもっと中へ歩いていくと、何故か狸や狐、熊や鹿などが近づいてくるのだ。
那月は不思議とそれが怖くなかった。
むしろ嬉しいと感じていたのだ。
そのままもっと森の奥に進んでいくと、少し開けた場所に出る。木々の木漏れ日が風が吹く度にユラユラと揺れて、居るだけで穏やかな気持ちになれるようなところだ。
その空間のちょうど真ん中に、朽ちた巨木が横たわっており、その表面はフカフカとした深緑の苔に覆われている。
那月はいつもその巨木の上に座り、動物たちと戯れていた。
いつも遅くまでそこに居て、その度に両親に怒られていたけれど、それはとても穏やかな暖かい記憶だ。
すぐそこにある森を見つめながら、思い出に浸っていた那月はその時、記憶に引っかかりを覚えた。
と同時に、おぼろげな映像が頭の中に流れ出した。
「なんだ…これ?こんな所この村にあったか…?」
映像は森の中を映していた。宙に浮いている様に映像はフワフワと揺れながら動いていく。
木々の間を進み、不意に開けた場所に出た。
そこには、小さな古い社がポツンと真ん中に建っていた。
『ほら、あれだよ。さあ行こ?』
いきなり視界の右側から少女が出てきてそう言った。
その子の顔は逆光で見えない。
でも、知ってる。俺はこの子を知ってるんだ。
唐突にそう思った。
そこまでいって、映像はプツリと消えた。
「なんだよ、今の…。あの子は一体…?」
周りの木々が、風に吹かれてザワザワと音をたてた。
それは、那月を歓迎する森のさざめきか。
それとも________。
続く
一話目は、主人公が故郷へと帰ってくる場面になります。
記憶のフラッシュバックがありましたね。
これは、ほんの始まりです。
これからどんどん内容を濃くしていくつもりですので、少しでも魅力を感じていただけたら、どうか投稿をお待ちください。(日本語合ってる?)
どうかよろしくお願いします〜\( ˙▿˙ )/