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GAME OF BUSHIDAN  作者: ナッツ・ユキトモ
1章 坂東武者のあけぼの
7/7

7.小次郎を止めろ

 …もう一度確認しよう。


ー『練習・・シナリオ/小次郎を襲撃せよ。』ー


ー概要ー 攻略難易度★☆☆☆☆☆☆☆☆☆


小次郎がこちらに向かって突進してくる。


こちらに注意をひきつけ、動きを止めよ。


ー攻略達成条件ー達成報酬:下総しもうさの馬(強化装備)


 1:小次郎を捕縛ほばくする。


ー追加報酬条件ー達成報酬:騎馬操術(強化スキル)


 1:攻撃をせずに小次郎の動きを止める。


 やっぱり見間違いじゃなかった。練習・・シナリオってなってる。 


 つまり、今度はDLC本編におけるチュートリアルっていうことか…?


「やたら、チュートリアル多いなぁ…。」


 言葉が発せられる。ここからは自由に動けるのか…。


 それにしても、強化装備とスキル…。


ー強化装備と強化スキルの詳細は報酬獲得後に確認できる。ー


 流石に内容まではわからないか…。


「それよりもだ…俺は一人であいつを攻撃せずに止める必要があるってことだ…。」


 どうせなら一発で追加報酬も欲しい。こういう時って大体ヒントあるはずなんだが…。


 そう考えていると…なんか出てきた…。


ー追加報酬獲得のためには…ー


『馬上の小次郎本人を止めるのは不可能。ほかの方法を探すべし。』


 …よくわかんないヒントだなぁ…。


 小次郎への攻撃は不可能、ほかの方法って…。


 ………。


 そんなことを考えていると、地平線の先に何か動くものが見える。


 目を凝らしてじっくりとみていると、騎乗した男がこちらに接近している。


「あれが小次郎か…。あの調子だと数十秒後には来る感じだな…。」


 どうやって、動きを止める?


 目の前に飛び出せば止まるか…。いや、基本的な設定は変わらないはず。


 ゲームとはいえ馬にねられれば痛みで動けなくなるし…。


 …小次郎を止めるのは無理、だけど馬なら…。


 かわいそうだけど…。弓矢で馬を射れば動きを止められる…装備の確認を…。


ー装備一覧ー


  主武器:太刀たち無銘むめい数打かずうち

 補助武器:脇差わきざし無銘むめい

  鎧防具:なし

 補助防具:なし

  道具類:竹笛


 …ファッ!?使えなッ…。竹笛って何!?てか大鎧も装備できないのか?


ー強化装備『大鎧』はシナリオを進行すると装備可ー


 つまり、今は使えないと…。てか弓矢も使えないのか。


 こうなったら、石でも何でもいい、何かぶつけて馬の動きを…、馬の動き?


『馬っていうのは敏感で臆病な生き物でね…大きな音なんかを聞くと混乱して暴れたりするんだ。』


 馬術を鍛錬したときに言われたことだ。だが、いつ鍛錬したのだったか…。


「馬は大きな音に弱い。試してみるか。」


 まずはこっちを何とかしなければ…。


 大きな音、大きな音、竹笛…。


「とりあえず竹笛…でっかい音鳴る??」


 ヤバい、いつの間にか結構近くに来ている!


「何奴じゃ!そこを退けぇい!」


 小次郎がなんか言いながら突っ込んでくる。


 いいや、この竹笛を鳴らせ!


「スゥゥゥゥゥ…ピーッ!ピーーーーーーー!」


 思ったよりもデカい音だ。デカいというか甲高い音。ホイッスルみたいな?


「うおッ!なんじゃこれは…。ッおい!落ち着け!」


 小次郎は少し驚きつつも、馬上で落ち着きかけたが馬はそうではなかったようだ。


 右往うおう左往さおうしながら徐々に徐々に道の端に向かっている。


「おい!落ち着かぬか!?そっちは…うおぉッ!」


 どうやら、道を外れた先はぬかるんでいたようである。


 小次郎の馬はぬかるみに嵌り、小次郎は落馬した。


ー追加報酬獲得確定!ー


 どうやら、この方法で間違ってなかったようだ。


「貴様!一体何の真似だ!」


 小次郎がこっちを睨みつけながら叫ぶ。


「こうでもしなければあっちまで行っちまってただろう?ここはお前が来るべき方じゃない。」


 俺は小次郎がルートを外れたことを指摘し、今来た方を指さす。


「戻れ。ここからならまだ東海道まで一本道で戻れる。だから…」


「黙れ!いかなる理由があろうと、貴様は俺に妖術か何かで攻撃をしたのだ!返り討ちにしてくれる!」


 小次郎は太刀を抜き、こちらに刃を向けた…。


「おいおい…。いきなり物騒なもん向けんじゃねぇよ…。」


 そう言いつつ、俺も抜刀する。


 …とはいえ、こっちの武器は数打…つまり大量生産品て訳だ。まともにつばいなんかしたら間違いなくやられちまう…。


 しかも、シナリオのクリアに必須なのは、捕縛。つまり討ち取るのはアウトだ。


「…。」


「…。」


 お互いに構えつつ、相手を睨み合う…。


 ここは少し挑発しよう…。


「どうした若いの…。手に持っておるのは見せかけだけの玩具おもちゃか?」


「ッ!言わせておけばぁ!よかろう!てやぁぁぁぁぁぁぁ!」


 少し挑発したら案の定、一閃してきた。


 …!自然と体が避けてくれた。


『組打ちになった時、大事なのは得物えものの間合いに入らない。』


 小次郎の太刀の範囲に近づかないように動く。


「どうした!貴様も攻撃してこんかぁ!」


 小次郎がなんか言っているが、今は避けることに集中。


『回避できるうちは只管ひたすら回避しろ。避けきれない時だけ受け流せ。』


 小次郎の剣筋は当たれば死にかねないが…。


「当たらなければ、どうと言うことはない…か。違いないな。」


「ふぅ…。ふぅ…。貴様、いい加減にぃぃぃ!」


 小次郎の動きが、少しずつ大振りになってきた。


「隙が出てきたな…。」


『相手が疲れてきたら、一息に近づくんだ。』


 小次郎が振りかざすために切っ先を後方に向けたときに、持っていた太刀を捨て、近づく。


「貴様!何を!?」


 小次郎はいきなり得物を捨てた俺の動きに驚くも、太刀を勢いのままに振ってきた。


「遅い!ぁあああああああ!」


 俺は声とともに脇差の柄を握りながら思い切り小次郎の胴に突きを入れた。


「ぐッ!がはぁ…。」


 うまく急所、鳩尾みぞおちに拳を入れられたようだ…。


 小次郎がうずくまる。


ー『練習シナリオ/小次郎を襲撃せよ。』クリア!ー


「まずは一件落着…かな?」


 そう思いながら、地面に伏す小次郎に近づく。


「フゥ…フゥ…フゥ…。」


 結構タフな奴だ。もう呼吸が落ち着き始めてる。


 ………。


 なんか近づいてきている。


 騎馬武者…、しかもそれなりの齢の男か。


「若ぁ!どちらにいらっしゃいますかぁ!」


 なるほど、お守役か…。


 これ以上、騒ぎになるのは面倒だ…。


 逃げよう…。



 …!これは…。どうやら今回はここまでのようだ…。


 俺の視界が霧に包まれていく…。


ー『練習シナリオ/小次郎を襲撃せよ。』をクリアしました!ー

ー結果ー


 小次郎を捕縛する。:クリア


 攻撃をせずに小次郎の動きを止める。:クリア


 獲得報酬


 1.レア度★ 下総の馬

 2.レア度★ 騎馬操術

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