5.桓武平氏の誕生と関東下向
意識が戻った世界…。再び、ゲームの世界に戻ってきたようだ。
いつもなら、主観で動けるようになるはずだがなぜか第三者視点のままだ。
俺の目の前には騎乗した何人かの人と結構な規模の動く列が見える。
……。
西暦889年(和暦:寛平元年)
高望王。
桓武天皇の孫である。
『平』姓を名乗る。
すなわち、のちの平氏となる者たちの祖先といっても過言ではない。
そして、時は過ぎ、
西暦898年(和暦:昌泰元年)
平高望はある官位を任官する。
『従五位下上総介』
関東地方、上総国の事実上の長官への任命である。
9世紀末の日本、地方長官への任命の際、実際に任地に向かうものは少なかった。
大体の者が、その下位の役職についた者を派遣し自身は都に残るというものも少なくなかったのだ。
そんな中、平高望は自ら関東へ赴いた。
その理由は定かではない。
…中央の権力闘争に嫌気が差したのか、それとも別の理由か…。
もちろん、彼一人で来たわけではない。
彼には、3人の息子がいた。
彼らを、赴任国とその周辺国に配置し、勢力を強めようと画策したのである。
実際、高望は朝廷における任期が経過したのちも関東に残り続けた。
また常陸国には有力者と縁戚となった娘婿である長男、『平良望』を。
自身の本拠地である上総には次男『平良兼』を。
そして下総国には地元豪族の娘と婚姻した三男『平良将』を…。
彼ら3人は父親である平高望が九州へ転任になったのちも関東に地盤を築いていき、数十年後には名実ともに関東の有力者として名を連ねたのであった…。
……。
…ものすごい、長いオープニング説明だな…。
早くシナリオを遊びたいんだが…。
そう思ってると場面が切り替わった。
…今度はどこかの屋敷の中みたいだ。
………。
時は流れて、
西暦917年(和暦:延喜17年) 秋ごろ
ある屋形にて2人の男が面向かって話をしていた。
片方は畳らしきものの上に座る壮年の男、もう片方は板の間に直座り、血気盛んな若者!という感じだ。
「父上!都に行けというのは一体どういうことでござるか?」
若者は壮年、いや父親に疑問をぶちまける。
「…よいか小次郎よ。お前も年が明ければ齢15になる。」
小次郎と呼ばれた若者はそこは同意だと言わんばかり大きく頷く。
「はい!それがしも年が明ければ元服となります!」
小次郎の言葉にゆっくりと首を振り、
「うむ。そこで元服した後に都に赴き朝廷より官位を得てくるのだ。」
父親の言う言葉に、小次郎は首を傾げる。
「朝廷…ですか?」
「そうだ。この坂東の地において我らがより力をつけていくには父…お前にとっての御祖父様のように官位を得るのが不可欠になる。」
その言葉に、小次郎も頷いていた。
「はい。それはわかります。御祖父様がその官位を得て、この地に来られたことは何回も聞きました。」
「うむ。なればこそ、お前も若きうちより都で励み官位を得て再びこの地に戻ってくることこそ、我ら一族の大きな力となりうるのだ…。」
「しかし、父上が無位無官でありながら、それがしが都で官位を得るのは如何と思うのですが…。」
小次郎の言うことは至極もっともな意見である。
「安心せよ。お主が官位を得るということはその前に家の惣領であるこの父も何らかの官位を得ているということだからな。」
この父親曰く、小次郎の任官前に官位が手に入るらしい。
「話は既に伝手を辿って通して居る。儂の兄者、お前の叔父の良望の倅も同じ時期に赴くそうだから、いずれ顔を見せることもあろう。」
「わかりました。ではこの小次郎、年が明け元服の儀が終わり次第、京に上り見事官位を手に入れてきます。」
…………。
…もしかしてここまでがシナリオのオープニング!?
長いよ…早く遊ばせてぇ…。
…………。
…『追加シナリオ1:平将門の乱』…
…再び、場面が切り替わる。




