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課金兵だった俺が異世界で無課金兵生活 2

 体中が痛い。俺はどうやら気を失っていたらしく、その場に倒れていた。

 気を失う直前にとても良い事があった気がするのだが思いだせない。あれは夢だったのだろうか。

「イスリア・・・」

 自身の周囲には遠巻きに俺を見る男とBBAが五月蝿く喋っていた。俺がボソリと喋った言葉等誰の耳にも届くはずはなかった。

「は、はい。私を呼びましたでしょうか?」

 おっかなびっくりした様子で男とBBAの間から出てくる娘。それを見た周囲の男とBBAは更に五月蝿かった。

「何出てきてるんだい!あんたこの男に襲われそうになったんだよ!」

「そうだぜ!このクズ見たいな奴に近づいちゃならねえ!」

 どうやら夢を見ていた訳では無いらしい。余りの嬉しさに正気を失って抱きつこうとしたのを襲おうとしたのだと誤解し、誰かが俺の意識を狩り取ったのだと理解する。

 襲う気は毛頭無かったのだが、誤解されてしまった以上は誤解を解くしかない。こちらがどう思おうと受け取り側がそう感じてしまったのなら俺が悪いのだから。

「イスリアちゃん・・・でいいのかな?先程の事は誤解なんだ。すまなかった」

 俺は頭を深々と下げて謝る。男とBBAに下げる頭は無いが、可愛い女の子の為ならいくらでも頭を下げれる。

「えっとイスリアと呼んでください。最初に私に向かって来た事にはビックリしましたけど、大体の事は皆さんに聞きましたから」

 周りを見ると俺が向いた傍からそっぽを向いていく男とBBA達。余計な事しか言ってなさそうな気がするのは気のせいではないだろう。俺が悪いとは言え、俺には譲れないものがある。

「皆さんからはこの男とだけは絶対に一緒に行かない方が良いと言われましたが、私は先程も言いましたがビックリしたんですよ?Rである私を見た時、今までの人達は舌打ちだったり悪態を付いてきたのですが、あなたは行動は誉められた事ではありませんが喜んでくれました。とても嬉しかったんです」

 なんと心優しい子なのだろうか、下心しかない俺とは違って眩しすぎる。そして俺の事をあなたと言ってきた事で思い出す。

「じ、自己紹介がまだだったな、俺の名は鈴木武雄。武雄って呼んでくれ」

 緊張気味で言ったは自分でも分かった。強がったりでもしないと可愛い女の子とはマトモに喋れそうにない。

「タケオさんですね、分かりました。改めてイスリアと言います」

 イスリアは両手を膝の上に置いてお辞儀をしてきた。俺も釣られてお辞儀をする。どちらからともなく頭をあげるとイスリアは他意は全く無かったつもりで言ってきた。

「それはそうと最後の一回は引かなくていいんですか?先程確認しましたが後1回引けますよね?」

 しかし、俺には私はあなたと一緒に行きたくないから出来れば引いてそっちを選んで欲しいなっと受け取っていた。

 俺の好みの子にそんな事を言われれば俺の心は簡単に傷付く。中学、高校と告白するも良い人だけど付き合うのはちょっと・・・と言われ続け、一度も異性と付き合ったことの無い俺には他意の無いかどうかの女性の気持ちなんて分かる筈も無かった。

 だから俺は余計な言葉を言いながらガチャを引いた。

「そうだな、イスリアよりもっと可愛い子が引けるかもしれないもんな」

 我ながら格好悪い事だと思う。しかし、上げて落とされる経験しかしてこなかった俺にはもうイスリアに興味は無かった。最後のガチャがダメだったら見た目の問題でイスリアを選ぶけど、出来ればイスリアでは無い可愛い子が欲しいなと。

「え?それってどういう・・・」

 イスリアが何か言っていたが俺は新しい可愛い子が出る事を祈って耳まで届かない。

 ガチャの確認画面、『はい』『いいえ』で『はい』を押す。

 ブンッと音が鳴り、金色に魔法陣が光る。これはSR以上が出るときの輝きだ。結果SSRの初めて引く男が出てきた。

「チッ」

 舌打ちをする俺に対し、意に介した様子も無く男は魔法陣から離れる。

 すると俺の真下に俺を丁度囲うような魔法陣が現れている事に気がついた。取りあえず魔法陣から退くかと移動しようとするも、見えない壁で囲まれているようで魔法陣から出る事が出来ない。

 瞬間景色が変わり、目の前には説明を色々としてくれた幼女天使がいた。

「お疲れ様です、異世界を共に過ごす最初の相手は見つかりましたか?」

 ニコニコと笑顔で話しかけてくる幼女天使。目の保養に良い。出来れば異世界ではこの幼女天使と共に過ごしたいものだ。

「9998回目に引いたイスリアっていう子かな、もう興味が無いから本当は別の子が良かったけど選択肢が無いから」

 俺の回答にビックリしたのか幼女天使は驚いていた。

「あの確率で一人でも引いたんですね、流石です。けれど興味が無いっていうのは手に入ったらもうどうでも良いとかそういうのですか?」

 後半はちょっと怪しい目をしていた幼女天使。回答次第では俺に何かをするつもりだった。けれど俺には幼女天使に話しをして貰えているという事実で埋め尽くされていた。

「いや、イスリアに私はあなたと一緒に行きたくないから出来れば引いてそっちを選んで欲しいなって言われたから、あっそうですかってなっただけだ」

「そんな事言われたんですか?ちょっと確認を・・・。ふむふむ、そう捉えたんですね。面白い思考をお持ちですね」

 馬鹿にされているのは分かったが幼女天使に言われるのならむしろ御褒美だ。俺は気持ちを切り替え幼女天使に言う。

「ここに呼ばれたって事で良いのかな、先程の魔法陣は」

「ええ、その通りです」

「それじゃさっさとイスリアと異世界に行かせてくれないか?ここにいてももうやる事は無いんだし、次こそは俺好みの子をガチャで引かねば!」

「ええっと本当にイスリアで良いんですね?Rですが良いんですね?」

 心配そうにいう幼女天使。結果的にSSRを9999回中半分どころか6割以上は引いたから、本来ならより取り見取りなのだろう。だが、強さよりも見た目を選ぶと言う事は俺の信条だ。これだけは譲れない。

「レア度何か気にしないから大丈夫だ、それよりもどういう異世界に飛ばされるのか教えてくれないか」

 俺の回答に何かを諦めたように溜息を付いてから答える幼女天使。

「それはそこに住んでいたイスリアから直接聞くと良いでしょう、えい!」

 幼女天使が左手を上げて掛け声を発すると、イスリアが下を向いて立った状態で現れた。

「イスリア、あなたは幸運?にもこの男に選ばれました。ですので説明を」

 幸運の所に疑問符いらなかったよね?どう考えても幸運なんだから疑問符付けないで欲しい。

「・・・はい。それでは説明しますね。私が住む異世界は多種多様な種族がいる異世界です。タケオさん好みの子も沢山いると思います、はい」

 完全に棒読みだった。初めてあった時の緊張や俺に対する嬉しさ等微塵も感じる事の出来ない声。自らの不幸を嘆くような、今から売られていくような感じの説明あった。俺は興味が無いのでそんな事は気にもせず質問をする。

「なるほど、住んでいる種族は現地で知るとして俺は何を目的にして生活すれば?」

「タケオさんは異世界で沢山の方と交流をして頂き、身の丈にあった問題を解決し続けて頂ければいいです」

「身の丈ねえ、イスリアは兎も角俺は異世界では何が出来るんだ?」

 ある意味一番の楽しみといっても過言ではない、異世界に行くからには魔法とか使えたりするんじゃないかな!期待に胸が躍る。

「何も出来ません」

 しかし言われたのは予想外の回答。今何て?

「魔法が使えたりとか、主人公補正で無双できたりとか」

「出来ません、もっとも弱いスライムやゴブリン以下です」

「ちょっと待て、スライムやゴブリン以下は良くないがこの際良いとしよう。俺何も出来ないのに何故異世界に行く必要があるんだ?」

「ガチャが引けます」

「お、おう」

 ガチャを引くだけなら別に異世界に行かなくてもよくないか?いやしかし、好みの子に囲まれて過ごす生活と言うのは非常に魅力的だ。

 俺のいた世界であのまま過ごしていても近いうちにお金が無くなり社畜になれればまだ良いものの、最悪ホームレス生活の未来だってあっただろう。

 それならばまだこちらの方が命の危険も無さそうだし良さそうだ。女の子に働かせて俺はガチャを引いていればいいだけだろ?なんて素敵な生活。そんな夢のような生活を打ち砕く言葉を発するイスリア。

「注意事項として、タケオさんも戦闘する際は近くにいて貰います。指示をして頂かないと戦えませんので。それと最初は住む場所が無いので必死に働いて稼いでください」

「なんでだよ!俺が異世界にいくのってテストプレイの為だったよね!?運営公式なんだから住む場所くらいあって当然でしょ!?」

「テストプレイだからこそ住む場所を確保するデータが欲しいと言う事です。私は住む場所がありますのでご心配なく」

 付き離す様に言うイスリア。何なんだよ!現実でクソゲー体験とかどうかしてるぞ!

「それともう一つ、私やタケオさんはAIという扱いになってます。他にも街に住む商人とかもAIという事ですが、それ以外はプレイヤーですので言動に気を付けてください」

 生きている俺がAI扱いとかどういう事と思うが、そういう世界観なのだと自分に言い聞かせる。

「AIとかプレイヤーとか言ってるけど、それってつまりゲームの中って事だよな?」

「いいえ、ゲームでは無く異世界です。タケオさんが住んでいた世界からプレイしている人もいる事でしょう」

「それ完全にゲームじゃん!もうそういう設定って事で納得するわ・・・」

 俺は異世界という名のゲームの中のキャラクターとして存在する事になったようだった。実際はゲームでは無く異世界ではあるのだが、異世界の技術で俺の住んでいた世界とゲームと言う形で繋がるうんぬんらしいが、きちんと理解した所で何が変わるわけでも無く取りあえず異世界での生活は苦労しそうだいう事だけ把握した。

「後は現地でその都度聞くからいいや、取りあえず最初にやる事は衣食住をなんとか確保するって事だな」

「はい、それで良いと思います」

 ここまで感情の無い棒読みで言われ続けてきたが、この子はもう少しなんとかならないんか・・・。

「では説明が終わったのでチュートリアル終了となります。それでは存分に楽しんでいってください!」

 説明を変わってから黙っていた幼女天使が付きものでも落ちたかのように明るく言うと、俺とイスリアの足元に魔法陣が浮かび上がる。

「チュートリアルに10時間以上ってクソゲーどころじゃないな・・・」

「それはタケオさんがガチャを全部引くまで粘ったからでしょう?」

「ぐっ・・・!けれどそれはガチャが悪い!」

「ふむ、それではそんな事を言うタケオさんには一つヒミツを教えてあげましょう」

「まじか!幼女天使ちゃんのヒミツなら何でも知りたい!」

 俺がそう言うと幼女天使の体が横半分、運営と名乗った社長の堕天使姿に変わる。

「貴様が幼女天使だと思って嬉々として聞いていた相手は俺だったのだ!HAHAHAHAHA!」

 認めたくない事実が目の前に現れ、脳が理解する事を拒む。それを見た運営は馬鹿笑いしながら俺に言う。

「良い顔をするじゃないか!いいねいいね!そのふざけた顔をもっと見せてくれ!」

「てめぇぶっ殺す!」

 運営に殴りかかろうとするも、ここに呼ばれた時の様に魔法陣を囲うように見えない壁があった。

 ドンッ!ドンッ!ドンッ!っと見えない壁に必死に叩くもビクともしない。腕が痛むもこのクソ運営を殴らずにはいられない。

「無駄な事は止めたまえ、それでは私はスッキリした事だし異世界に言って貰おうか。存分に楽しんでくれたまえ」

「ふざけんじゃねえ!一発殴らせろ!おい!」

「君の世界ではこう言うんだったかな、ざまぁ!」

 運営がパチンッと左手で指を鳴らすと視界が暗転していった。

 幼女天使が喋り始めてから終始イスリアは無言で俺を見ていたが、俺はそれに気がつかなかった。





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