『決闘』
新作。
相も変わらずボッチですよボッチ。
短めで投稿する予定です。
青々と澄んだ空。真上から燦々と降り注ぐ太陽を睨む。
ああ、暑い。溶けそうだ。
あの無駄に存在感のヤベー奴(太陽)が消えたら...と、つい思ってしまう。まぁ、涼しくはなるだろう。その場合、氷点下まで気温が下がりそうだが。
『さあさあ始まりました!今日は絶好の“決闘”日和!盛り上がって参りました~!!』
何処までも無責任な実況の声が青空に響き、数百を越えるであろう無数のギャラリーが一斉に沸く。たたでさえ暑いのに周囲の気温が更に上昇したような錯覚さえ覚える。
“決闘”
2人の人間が事前に決められた同一の条件のもと、生命を賭して戦うこと。
『学園』では稀に見掛ける光景だ。
この学園には、『総合体育館』なるものが存在し、今はそこを借りている。どうやら『生徒会』の奴等が勝手に場を仕切っているらしい。
『今!ここに合間見えるのは────』
喧しい実況と、歓声で震える会場により、半ば強引に現実に戻される。
ああ、出来るものならこのまま逃げてしまいたい...........だが、そんな甘い考えは、実行に移す前に頓挫される。ってか、この状況では逃げようにも逃げられない。
『ベットされるのは、学園の『姫』にして『アズリア公爵家』の嫡男、『ローラス・アズリア』の許嫁!そして『ゾイド侯爵家』の一人娘!『ローリエ・ゾイド』ォォ!!』
肩書き長すぎない?──じゃなくて。
はぁ、現実を見よう。
どうやら俺と対戦相手の紹介も終わったようだ。毎度毎度よくあんなに長いこと喋れるな、と思わず感心してしまう。
『えー、皆さん大変長らくお待たせいた今した。ただ今より決闘を開始いたします!』
実況の声により、会場は更に盛り上がる。
『決闘、始め!!』
瞬間、地を揺らすような爆音と共に奴が向かってくる。
砂煙を巻き上げ、突進してくる姿はまさに猪。
「──化け物めッ!!」
「.....死ね!」
地面と平行になぞられた奴の剣を弾き、腹に蹴りを入れる。しかし、見え見えの攻撃は奴の足によって阻まれ、推進力を失った俺はバランスを崩す。
その隙を許してくれるほど、奴は甘くない。
「ハァッ!」
「グッ、ぁ...」
背後から胸に一本の剣が突き刺さる。
息に詰まり、肺から溢れる血液に噎せる。
周囲から大歓声が上がる。
奴が剣を抜く。
止めどなく流れる鮮血に目を顰め、はぁ、と溜め息を吐く。
地面に落ちた剣をもう一度握り直し、そして──
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