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『マドリード戦記』  作者: JOLちゃん
大陸連邦留学編
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マドリード戦記 大陸連邦留学旅行編16

マドリード戦記 大陸連邦留学旅行編16



大陸連邦デトラリア軍基地を訪れたアリアたち。

そこでアリアたちは初めて<竜騎士>を目撃する。


そして大陸連邦軍から意外な申し出……。

アリアとナディアは軍のイベントに参加することに!?



***



 7月21日。


 午後14時過ぎ……アリアたち三人はベルセリクの西の郊外にある大陸連邦デトラリア軍基地を訪れた。


 デトラリア基地の敷地は広大で、要塞化などはされていないが、敷地内には大きな倉庫が何棟もあり、アーマーや飛行戦艦が正立しているのが見える。



「アリア様! 見て、すごいっ!!」


 ナディアは思わず声をあげ指差した先にあった……いや、居たのは全長3mほどの翼竜たちで、全て戦闘用の武具や防具が取り付けられている。



「竜騎士……!」


 さすがにアリアは知っていた。だが現物を見るのは初めてだ。


 幻獣である竜を飼いならし、それに乗って戦う兵士を<竜騎士>と呼ぶ。その戦闘力は歩兵を遙かに超えアーマーに匹敵する。ただしこの兵装が戦争の主力として好まれたのは200年ほど前までで、アリアたちの時代にはアーマーの量産化によって数は減った。が、まだクリト・エ大陸でもバルト王国やトリメルン王国、ザムスジル帝国の一部では用いられているし、北の大陸でも険しい山脈が多く竜の多い大陸連邦の東諸国、アーマーの普及率が低くトビグー翼竜種の一大生息地であるパゾ地方では現役だ。


 マドリードには、搭乗用であるトビグー翼竜種が生息していないので、この竜騎士の兵装はない。だからナディアが知らないのも無理のない話だ。



「大陸連邦では<竜騎兵>と呼ばれ、今でも広く運用しているようです」

 と、説明するルクレティア。


「大陸連邦が竜騎士を使っているとは思いませんでした」とアリア。

「お祭りがあるから、そのイベント用って事じゃなくて?」とナディア。


 それ以上の事はルクレティアも知らない。彼女は色々詳しい娘だが、軍事が専門ではない。なのでここは彼女に代わり筆者が語らねばなるまい。



 竜騎士、竜騎兵は確かに兵装としては旧式で、目立つ割に火砲が持てず、トビグー翼竜種の育成にも金がかかることもあって戦場の主力の座をアーマーに奪われたが、その運用がなくなったわけではない。利点もあるのだ。


 まず空からの偵察が可能である事。飛行戦艦もあるが飛行戦艦は大きく目立つが少数の竜騎兵であれば目立たない。そして険しい山地や深い森などにも強く意表をついた強襲用などに威力を発揮する。

 ただしアーマーの火砲には無力だし、格闘戦闘力はアーマーと変わらないため、大陸連邦戦史でこの竜騎兵が確認できるのは第二次大戦までで、その後、レーダーが発達した第三次世界大戦では連邦軍は制式兵装から外している。


 トビグー翼竜の珍しさに感動しながら、三人は基地の正面入口に向かった。


 入口のゲートで案内状を見せると、若い警備兵が中に案内してくれた。特に嫌な扱いもなく程度も丁寧だが、どうしてアリアたちが呼ばれたのかは教えてもらえなかった。


 やがて三人は敷地内にある軍基地の建物内に案内され、その広報部の会議室に通された。そして温かいハーブ茶と茶菓子が運ばれてきた。どうやら客であることは間違いないようだ。



 待つこと15分……大陸連邦軍の士官服に身を包んだ中肉中背の30代前半の男が姿を現した。クリト・エと違い、大陸連邦の軍服は機能重視で華美な装飾はない。



「お待たせしたね。自分がこのデトラリア軍基地広報部部長、ウリエ=パドム大尉だ。まぁ。そう緊張しなくていいですよ」


 ウリエ大尉は穏やかな風貌で愛想笑いが爽やかで、成程前線の戦士というよりは後方担当専任の事務系の軍人のようだ。人柄は良さそうで悪い人間には見えない。


「用件というのは他でもない。三日後、このデトラリア軍基地で地域親睦を兼ねた決起祭があるのですが、お三方を御招待したいと思いましたね。いや、実は僕の高等学院の先輩にガルゼンフがいましてね。彼が是非貴方たちを招待してくれといいまして……本当はカレドニア国民しか参加できないのですが、特別に」


 軍人で士官なのに丁寧で優しい対応だ。アリアは顔には出さないが、素直に好感を覚えた。軍人は市民に対して高圧的で選民意識の強いクリト・エ大陸諸国とは違う。


「ありがとうございます」


 アリアは素直に謝した。ガルゼンフが気を利かせてくれたようだ。そういえば心当たりがあるようなことを言っていた。



 しかし……ちょっと気になる事があり、アリアは小首を傾げた。招待するだけであれば招待状だけで済む。わざわざ会いに来させたのはどういう意味だろう?


 そのアリアの表情の変化を見て、ウリエ大尉は微笑んだ。



「他に頼みがありましてね。実は貴方方が購入した<ベレッサ>をお借りしたいのですよ。実は当基地には<ベレッサ>の小隊があって当日デモンストレーションの模擬演習をやる予定だったのですが、二機が故障しまして」


「…………」


「『ムサイカ商会』に問い合わせたところ丁度売れたばかりというし……それで先日、お二人の試乗を見させていただいたのですがあまりに見事な操縦で感服いたしまして。あれだけの操縦の腕があれば、すぐにでも演習に順応できるのでは……と思ったのですが」


「…………」


 成程、合点がいった。


 が、同時に少し拙いかな? とも思った。目立ちすぎる。仮にもお忍びの旅行だし身分も隠している。それが軍と密接な関係になるのは色々拙いかもしれない。


 しかしそこはウリエ大尉のほうが上手であった。



「御心配なく。皆さんがアルファトロスの名家の御令嬢という事は伏せた一般参加者ということにしますし、今説明した以上の他意はありません。決起祭は市民参加型のイベントで、他にもこういう飛び入りの参加者はいます。特別注目を受けることはありませんよ」


 ウリエ大尉はすでにアリアたちがクリト・エ人だということまでは調べている。


 アリアは決断の早い娘だ。


「ご協力は構いませんが……私たちは旅行者で、観光が主な目的です。演習の練習であまり時間を無駄にしたくないのですが」


「前日3時間ほどで十分です。昨日の操縦を見るかぎり、簡単にできますよ。軍事演習ではなくちょっとしたゲームのようなものですから。協力していただけるなら、一般人が入れない軍基地の施設も見て回れるよう手配しますが?」


「分かりました。協力します」


 それを聞くと、ウリエ大尉は嬉しそうに微笑みアリアの手を取り両手で握手を交わした。


 その後、明日明後日のスケジュールの打ち合わせをして、話はまとまった。<ベレッサ>の移動手続きなどは大陸連邦軍が行ってくれるのでアリアたちは特にすることがない。



 そして退出ということになった時、ウリエ大尉は何かを思い出しアリアを呼び止めた。



「そういえば観光に来られたという事ですが、年若い娘さんたちですし、<デルン泉>には行かれましたか? あそこは軍の保養所もありますし、よければ行って見ますか?」


「何ですか、そこは」


「ベルセリク郊外にある、大型の温泉施設です。自然温泉美容によく疲労によく健康にもよい、ベルセリク屈指の保養所です。軍属は特別割引チケットがありますから、よければそれを都合しますが?」



「!?」



 それを聞いたアリアは目を輝かせた。

 むろん、即答でその申し出を受容れた。




マドリード戦記 大陸連邦留学旅行編16でした。


まさかのアリア様たち、イベント参加!

しかもアーマーのイベント!

まぁ……二人はエースパイロットで一流の腕で<ベレッサ>も一級アーマーでついつい調子に乗ってしまいましたが、普通の人間でないことは軍人には一目瞭然……。

ということでイベント編になります。


そして今回冒頭でちょこっと出てきたのが竜騎士です。言葉通り竜に乗る騎士で、クリト・エでも他国にはあります。アーマーがあればいらない兵種ですが、まだ現役です。この竜騎士も、後に女王動乱編で登場するかと思います。


さて次回……なんとアリア様温泉回!w


お風呂好きのアリア様、極楽を見つける!?w


ということで次回はイベント編の前にお風呂回です。


まだしばらく大陸連邦留学編は続きます。


これからも「マドリード戦記」をよろしくお願いします。


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