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『マドリード戦記』  作者: JOLちゃん
革命賊軍編
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『マドリード戦記』 革命賊軍編 10 流転、激流2

『マドリード戦記』 革命賊軍編 10 流転、激流2



面談の準備を進めるアリアたち。

ナディアはアリアと共に行くため正装するよう命じられ戸惑う。


こうして、アリアたちの準備は整った。


※今回挿絵あり

 ザール少将が再び<アインストック>に戻ったのは午後17時28分である。


 ガレット伯は対面を希望……時刻は午後18時30分、場所はコルデール政庁……ということでセッティングされた。


 アリア軍の軍事行動は駅と鉄道を除いて停止した。



「随員ですが、私と親衛隊だけでいいでしょう」



 親衛隊はナディア貴下のアーマー特殊部隊で、ミタス部隊に一機貸し出したが、全部で14機ある。皆オリジナルアーマーである。これにアリアとナディアのヒュゼインがあるから、少数だがこれだけでも十分一地方都市くらいは陥落できる。護衛としては十分だ。



 ただし……一つ、注文がついた。



「ナディアはアリア様に同伴するのだろう?」

「当たり前じゃん。あたしは絶対アリア様の傍、離れないもん」

「ならばナディアも正装すること。ちゃんとした綺麗な軍服かドレスか。ナディアの好きなほうを選んだらいい」

「……ナニソレ……」

 ナディアは自分の服を掴んで溜息をつく。むろん軍事活動中の彼女は今も軍服……と言いたいが、今それはない。


 革命を潜り抜けた元の少将の軍服は血と埃でドロドロになったので、今は黒のタートルネックシャツにホットパンツという私服に着替えている。言い忘れたがミタスも同様で、今は私服姿である。この二人は凄まじい白兵戦を潜り抜けたので正規の軍服は血と泥と埃で汚れが凄まじく、休息を取ったとき脱いでしまって今はない。他の兵士たちは量産の予備の軍服があるが、たった三人しかいない(現時点だとシュナイゼンも入れて4人だが)将官服の予備は、生憎ここにはなかった。


「アンタ、ワザと言ってるでしょ!?」とふくれっ面のナディア。

「正装が必要ね、ナディア」クスクスと笑うアリア。


 将官用軍服の予備はない。佐官用はレイトンのものがあるが、レイトンは背が高くナディアには大きいし、ナディアは長身の少女だから普通の女性用軍服は裾が短く入らない。第一最上位の元帥が一般軍服ではまずかろう。つまり、ドレスを着る以外ないということだ。


 ナディアは猛烈に抗議したが、アリアも今はドレスを着ている。そのアリアに随伴する以上相応しい服に着替えるのは当然の論で、「着替えなければ同伴は許可できない」と言われれば、ナディアも服するしかない。


「幸いここは大きな商業都市です。ドレスは簡単に調達できますよ」


 そう言ったアリアの声は、少し愉快げであった。アリアもナディアのドレス姿というのが楽しみであった。長い付き合いだが、貴族対応のドレスなどナディアは初めての事ではないか? アリアも女の子だ。綺麗に着飾ったナディアを見てみたい。


「女兵士に声をかけ、一緒に町で調達してナディア。政庁で落ち合いましょう」


 ナディア一人では心もとない。こういう公式な場になれてもいないから、誰かコーディネートする人間が必要だ。


「あーりーあーさーまぁぁぁー」と情けない声をあげるナディア。しかしアリアは微笑するだけで相手にしない。


 結局、絶対同伴したいナディアはその命令に服した。


 脱力し、女兵士たちに連れられ町に向かうナディアの後ろ姿は、とても王城ハーツティスを血の色に染めた猛将には見えなかった。





 アリアは午後18時になると、<アインストック>を降り、ヒュゼイン白機に乗ってコルデール政庁を目指した。追従するのは親衛隊14機で、コルベールの住民を刺激しないよう過剰な警備プランは立てなかった。もっともその必要はあまりない。何かあればヒュゼイン白機に乗ってしまえば対応できるし、一令を下すだけで各所に配置したアリア軍が雪崩れ込み瞬く間に制圧することが出来る。アリアは<アインストック>を出るとき、用心のためその手配もつけ、レイトン中佐に後を託している。


 夕食前の時間ということで、多くの市民が街を賑やかしている。町は平常どおりの活気があるようだ。……実際のところ、包囲しているアリア軍の存在を知った市民の多くはこの日自宅で様子を見て外出を控えていたのだが、それでも首都シーマやクロイスに比べ市民たちに圧迫感や不安は少なく元気があるように見える。


 突然市内を疾駆するアーマーの一団に怯える市民も多かったが、今は気にせずアリアは真っ直ぐ政庁に向かった。


 コルベール政庁は6階立ての豪奢で大きな宮殿式のビルで、ガス灯に照らされた政庁はさらに豪華に見える。


一応衛兵は見えるが、数は多くない。


アリアのヒュゼイン白機と親衛隊14機が辿り着くと、衛兵たちは黙って敬礼した。

親衛隊の半分が残り、半分は随伴した。


そして政庁正面玄関で、アリアはナディアと合流した。



「ナディア!!」



 ナディアと会うなり、アリアは思わず声を上げ手を口元に当てた。


 髪はいつものポニーテイルからストレートに整えられ、淡いが洗練された化粧で彩られ、白と紺で組み立てられた美しいドレス姿は無骨で男勝りな雰囲気を完全に消し、とても美しい淑女が生まれていた。アリアのように人を圧するような威厳や高貴さはないが、絶世と表現していい美少女が出来上がっていた。


「とても綺麗! ナディア、綺麗です!」


 珍しくアリアが黄色い声をかける。本当に心の底から感激していた。


「そこいらの貴族子女よりよほど綺麗です、ナディア!!」

「なんか……そんなに褒められると恥ずかしいけど……。でもさ、この服だと短剣持てないんだけど」

「それはそうでしょう」

「護衛の役にたたないじゃん!」

「ナディアだったら大丈夫ですよ。何かあれば私の短剣がありますから」


 アリアも豪華な女王用のドレスを身に纏っているが、上からは国王用の長衣と帯を付けているので短剣を身につけている。アリアの場合、完全に民間人とは違う衣装のような特別服だし、ミネルバ他女官たちが絶妙のバランスで創り上げたので、短剣があってもとても違和感などなく美しい女王姿に仕上がっている。


「じゃあ手に持つ!」

「それじゃあ折角の美人が台無し――」

「持つ!」


 ナディアはアリアの女官ではなく護衛であり将軍だ! というプライドが強い。確かに手に持てば見た目が崩れる事はないが……。


「まあ、いいでしょう。ただの女官に見られるのはナディアも困るでしょうし」

「そ! あたしは軍人なんだから!」

「では行きましょう、ナディア」

「う……うん」

 アリアとナディアが中に入る。中では一足先に来ていたザールが一人、ロビーで立って待っていた。彼だけはアリア軍少将の軍服である。



 ザールは着飾ったナディアを見て一笑し「よく似合っているではないか、ナディア。軍服よりよほどいい」と言った後、アリアに向かって恭しく一礼した。



「案内いたします。ま、そう緊張することはない、たかが一伯爵だ」

「分かっています。別に緊張も期待もしていません」


 アリアに特別気負いはない。ヴァームを相手にしてきたことを考えれば、それ以外の人間と会う事など大した問題ではない。


「それでこそアリア様です。では参りましょう」


 アリアは頷いた。



挿絵(By みてみん)




『マドリード戦記』 革命賊軍編 10 流転、激流2でした。



ということで今回は面談準備編です。


話としてはあまり大きな展開はなかったです。

まあ、ナディアが正装したくらいですね、ネタとしては。

なので問題のガレット伯とは次回になります。


政治編の大きな目玉がガレット伯です。


今回、挿絵でアリア様の結い上げた髪バージョンのラフイラストを公開しました。

ドレスは正規ではなくもっと豪華だと思うんですが、今回は髪形と表情メインで服はまた別の機会に。けっこう派手なイメージです。アリア様が女王っぽい正装をしているのは滅多にないのでそのうち描ければと思います。


ということで今後も「マドリード戦記」を宜しくお願いします。

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