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『マドリード戦記』  作者: JOLちゃん
革命賊軍編
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『マドリード戦記』 革命賊軍編 5 賊軍5

『マドリード戦記』 革命賊軍編 5 賊軍5


ザール指揮の下、全軍が賊軍追捕に動き出す。

ザールはあたかも手の中にあるかのように自在に命令を下していく。


そして、先行していたアリアの<アインストック>に、タニヤ偵察に行っていたミタスが合流する。



 日付は4月8日へと変わった。


 この間、マドリード軍の全権はザール少将が握っていた。



 その指揮の正確さと精密さ、計算力、処理能力の高さは驚嘆すべきもので、全くの無謬であった。


 まず、第一軍の歩兵部隊3000に首都シーマ及び王城ハーツティスの警備を命じ、カルレント少佐をその責任者に当てた。同時に三交代制6時間の休息も命じた。この第一軍は4月6日から革命戦を行っている部隊でもっとも疲労が濃い。練度も精度も高い第一級の部隊だが、いかんせん歩兵主力部隊で、司令官であるミタスは部隊を離れてしまっているし行動力も限界だ。ザールは思い切ってこの部隊を留守部隊にした。


 司令官のクシャナを失った第二軍の内1000人、アーマー5機はシュラゼン少佐配下としてタニヤに向かわせ、残る歩兵部隊2500人、アーマー20機はトドーレス大尉指揮の下遣わした飛行艇船団……ザールがレンタルしていた飛行艇船団内の3隻に載せ、テイル地方に向け先発させた。当初はレンタルであったが、貸したヴァームが倒れたので、この10隻の飛行戦艦はザールが遠慮なく運用している。


 第三軍はシュナイゼン少将の部隊だが、シュナイゼンはアリアから密命を受けているので<ロロ・ニア>が来るまでは首都待機、休息である。第三軍は飛行戦艦の用意が整い次第、全軍歩兵アーマー部隊もまとめてテイル地方に向け首都シーマを発つ。



 機動部隊……これまでは司令部直属だったアーマー部隊だが、これらの内オリジナル・アーマー12機で一部隊を作り、この一部隊は王城ハーツティスにて鹵獲した機動戦艦<グアン・クイム>に乗せると、南周りでテイル地方を目指すよう命令が出された。



 そして残り36機はアーマーのみで首都を先発。部隊を12機1部隊として索敵しながら西に移動する。この部隊はクレイド伯の特殊部隊捜索の命令が下されている。しかし活動時間に制限を設け、午前6時まで索敵した後は出迎えの飛行戦艦に収容、その後3隻の船はそれぞれ三方向よりテイル地方に入る。


 全軍、一旦は首都シーマとザール&クレイド軍が対峙するクバレスト地方の中間、テイル地方の地方都市コルデールを目指す。その兵力は凡そ6500人。機動戦艦は<アインストック>、<ミカ・ルル>、<グアン・クイム>で、追従する飛行石式戦艦は6隻……計9隻。これに時間差はでるがペニトリー将軍貴下の国防軍が加われば、北から南にかけて大きな包囲網が出来上がることになる。


 ザールが起てた壮大な包囲陣であった。これほどの大軍をこれほど正確巧緻に運用できる手腕はクリト・エ大陸ではザールの他おるまい。


 もっとも、この大包囲作戦はこれで終了ではなく、これから起こるであろう新たな戦いの序章でしかない。


「各部隊の再集結はコルデール。どの部隊も数時間は余裕が生まれるはずだ。中級以上の指揮官、軍団司令官は3時間以上の休息を取る事。その間の部隊運営はこのザールが受け持つ」


 ザールはこの間、ほぼ全軍の総司令官の感があった。むろん不眠不休だが、目前のクレイド軍との戦いはサザランドに任せておけばいいし、ミタスやナディア、シュナイゼンらと違い実戦を潜り抜けたわけではないので肉体的疲労はない。それにアリア、ミタスを休ませておけば、総司令官の職は交代できる。ザールの総指揮官の地位はあくまでアリアが万全になるまでのものだ。それでもザールの働きは超人的といえるだろう。





 4月8日午前4時53分……。


 首都シーマと地方都市コルデールのほぼ中間地点の穀倉地帯で、<アインストック>と<ミカ・ルル>は合流を果たした。


 無線には、ミタスが出た。


『王女誘拐は事実だった。タニヤの半分は焼き払われ、村民にも被害は出た』


 ミタスは、必要以上は言わず、ただ事実だけを告げた。


 アリアは十分覚悟していたので、その報告を静かに聞いた。


『ザールと話し合ったんだが、コルデール集結までどんなに急いでも今日の昼になる。アーマー別働部隊やシュナイゼンの国防軍が来るのはもっと後だ。だから、アリア様とナディアは今後のためゆっくり休息してほしい。コルデールまでは俺とザールの二人で軍を指揮する』


「私は3時間休みました」


『一日半の戦争の後だ。いいから休んでくれ。これからの戦いは機動力と火力が意味を持つ。白兵戦の俺や作戦畑のザールは第一線にはならないし、指揮官の交代も利く。だがアーマー戦のアリア様やナディアはそういうわけにもいかん。万全の体調をもってもらわないと困る』


 アリアは不満げであったが、理屈としてはミタスの言うとおりだ。


『一度俺はそっちに合流する。タニヤの詳細はそこで話す』


 こうして<アインストック>と<ミカ・ルル>は一度着陸した。



『マドリード戦記』 革命賊軍編 5 賊軍5でした。



ザールの独壇場でした。


総参謀長というのは伊達ではない、ということです。


アリア軍の場合、戦略や作戦案の多くはアリア様が立てます。この点アリア様の手腕や戦略能力は桁違いなワケで……しかしアリア以外に戦略が動かせるのはザールだけです。

ミタスやナディアは戦術家のほうがメインです。あと、二人は戦線の戦士でもあります。


ということで軍が動き出しました。

そしてアリア様は次回もタニヤ襲撃の真相を知ります。

ここが物語の大きな基点になると思います。

ホント……次から次に困難が降りかかるアリア様ですが……彼女の人生を考えると、この激動はまだまだ続きます。


ということで「マドリード戦記」を宜しくお願いします。

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