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『マドリード戦記』  作者: JOLちゃん
王女革命編
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『マドリード戦記』 王女革命編 49 革命から王となり⑥

『マドリード戦記』 王女革命編 49 革命から王となり⑥


女官たちが現れ、驚くアリア。


なんと、彼女たちはアリアを着飾るため集められた者たちだった。


ドレス姿に戸惑うアリア。


ミタス、ナディアもその姿に驚きつつ感激する。


が、そんなアリア軍に不穏な知らせが届く……。

 15分後……謁見の間にミネルバ大尉が幾人かの女官を連れ現れた。


 彼女はシュナイゼンから密命……というほど大げさなものではないが……を受け、王宮内にいた女官らを集め、ある用意を進めていた。



「アリア様。ご用意が整いました」


「用意?」


「そのための女官でございます」


「?」


 アリアとナディアは意味が分からず顔を見合わせた。


 女官は見知らぬ者たちで人数は6人。どうやら貴族に仕える侍女たちのようで、ミネルバが王宮内にいて保護した者たちなのだろう。



 それから10分後……。



 ついにこれまで閉ざされていた謁見の間が開き、アリアは皆の前に姿を現した。


 丁度そこにはミタスとシュナイゼンが立って打ち合わせをしていて、出てきたアリアを最初に見る機会を得る。


「…………」


 ミタスはその姿に一瞬呼吸を忘れた。


 アリアは、白と赤で縁取られたマドリード国王正装の長衣と装飾服に身を包んでいた。正装の下は、白絹のドレスで、両腕は白のレースで飾られている。髪も結われ、長い髪はマドリード王族だけが許される特殊な三つ編みで整えられていた。


「ミ……ミタスさん! シュナイゼンさん! いらっしゃったんですか!? あ……あの……あまり見つめられると恥ずかしいんですけど……似合っていますか?」


 アリアは顔を赤らめながら微笑んだ。


 ミタスも、シュナイゼンもアリアの可憐で荘厳な神々しい姿に言葉が出なかった。いや、元より人並み以上の美貌をアリアは持っていたが、これまでは軍人として軍服に身を包み王女らしい煌びやかな服装に身を包むことはなかったし、平時王女として活動している時もドレスは好まず、質はいいが質素なズボンに女性用チェニックを身につけ、これまでこんな服を着ることはなかった。彼女が王女らしいドレス服を着ていたのは世に隠れる前の幼少期だけで、7年前王城を去ってからはドレスなど着ていない。例外は精々ヴァームに乞われた時くらいだ。


アリアは生涯軍人であるとし公式行事でも大元帥服で過ごした女王だったから、こんな女王らしい服を着るのは後にも先にもこの時期だけだ。


 アリアが今纏っている女王の正装は、シュナイゼンがミネルバに命じて用意させたものだ。むろんアリア用の服ではなく、故王妃クラリエスの公式正装ドレスと、故国王アミルの正装の長衣を合わせた即興の女王正装だ。アリアは父アミルに似て年齢の割には長身で両親の服はあつらえたようにピッタリだった。そしてこの服を着せるため、王宮で保護していた貴族たちの女官を集めドレスを選別し、着替えを手伝わせた。


「シュナイゼンさん。わざわざ手配していただきありがとうございます」


 これは宮廷のことを多少知っているシュナイゼンの判断だ。こういう風体を整える必要があるということを、正直なところアリアは全く失念していた。しかしミネルバの説明を聞き、その必要性を認めた。それで素直に着替えに応じた。


「差し出た事とは思いましたが、王として国民の前に出ることになるかと思いましたので。威厳と王者の風格が眩しく、そしてとてもお美しくあらせられます。陛下」


 シュナイゼンは恭しく素直な感想を述べた。


 アリアはただただ恥ずかしいようで戸惑っている。彼女にとっては肌着姿は勿論恥ずかしいが、ドレスはドレスで気恥ずかしい。できれば軍服で……というところだが、もう彼女の立場に見合う軍服はない。


 本来これはザールが担当することであっただろう。しかしこの場にザールはおらず、ミタスやナディアにこういう知恵はなく、越権ではあるが多少宮廷事情を知っているシュナイゼンが行った。この点アリアは全くそういう配慮が欠けていた。


「どうですか? おかしくはないですか? ミタスさん」

「あ……ああ。こんな美しい王はどこにもいない。皆、感動するよ」

 ミタスにそういわれ、アリアも嬉しいようで無邪気に微笑んだ。これまで見たことのない、高貴で凛々しく魅力的で、何より女性として気品と純粋な美しさが溢れている。


 やはり彼女は、生まれながらの女王なのだ。



 ……この姫様は、才能といい人格といい美貌といい、これほど比類ない存在はパラ史において他にないのではないか……。



 ミタスはこの時、初めてアリアが魅力的な女性として映った。鼓動が少し早くなったのを自覚し、苦笑した。これまでは少女で雇い主だと思っていたが、今日この時だけはアリアが魅力的な女性に見えた。とはいえ、それを口にすることも表情に出る事もなかったが。


「アリア様は当分この服だからね! 女王様なんだから♪」

 ナディアは一番楽しそうにアリアに付き従っている。アリアは内心道化なような気がして戸惑い、なんとかしたいと考えていたが、これからは国王としての行事がいくつも行わなければならない。国民に対しては見た目も重要だ。

「今晩の内に一度シーマで終戦発言があります。その後はスケジュールを立て論功行賞……祝賀会……そして即位式……最低これらは5日以内に行います。まずは終戦宣言……シーマの民衆を安堵させなければ」

「今、市内のロッテイム公園でカルレント少佐の指揮の下会場をセッティング中です。アリア様はセッティングが完了次第演説を行って頂きます。時間は短時間ですので、その後は<ミカ・ルル>に入り休息下さい。本格的な政治活動はそれからです」


 ミタスの進言をアリアは受容れた。アリアだけでなく、兵たちも休ませなければならない。特に第一軍と第三軍は昨日から連戦続きで活動は限界だ。代わりにリィズナを守備していた2000人が交代要員としてシーマに向かっている。



 こうして戦争は終わり、課題は政治にと移行した……と、全員が思っていた。



 が、それは予想もしていない大事件によって打ち壊される。




 


18時14分……。

 


 アリアたちにとって、最大の凶報がザール軍とリィズナから同時に届けられた。




 タニヤの秘密基地陥落の報である。




『マドリード戦記』 王女革命編 49 革命から王となり⑥でした。



アリア様のドレス姿お披露目会…………と、平和な話でいきたいところですが、ここにきてタニヤ陥落です。


随分長いシリーズなので「どこだそれ?」という方もいると思うので感嘆に説明すると、アリアが革命戦前に住んでいた秘密の村がタニヤです。


もう軍事基地でも何でもないですが、アリアの家族……クリスとティアラはいます。


つまり……大事件勃発なのです。


ということで次回からは「賊将編」になります。大きな意味ではまだ「王女革命編」ですが、次回あたりからはアリアの呼称が王女から女王になっていたり陛下になっていたりします。


しかし一体誰がこんな事件を起こしたのか、何が目的か……まぁ犯人は一人しかいませんけど。


ということで一難さってまた一難デス。


あともう少し、アリア様の革命編にお付き合い下さい。


これからも「マドリード戦記」を宜しくお願いします。

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