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『マドリード戦記』  作者: JOLちゃん
王女革命編
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『マドリード戦記』 王女革命編 20 革命戦中章①

『マドリード戦記』 王女革命編 20 革命戦中章①


王城ハーツティスに潜入しているナディア。

彼女は闇の中、先代国王アミルの元に出向く。

闇夜での対面、そこでアミルの口から語られる驚きの事実とは……!?

12/革命戦・中章


 パラ歴2336年 3月30日 


 夕食会の後ナディアとクシャナの二人は飛行艇ではなく宮殿内の部屋を用意された。別室だったが隣同士で、護衛の兵士が一人ついたがナディアは「職務上の相談があるので」とクシャナの部屋に入りそして抜け出した。


 場所はアミル王の寝室だ。


 夕食会はやった意味があった。


 礼を尽くすため、王アミルも夕食会に参加し、いくつか会話を交わすことができた。そして思った以上にレミングハルトが大陸連邦の事に興味を持っていた事、アミルの会話から今アミルが宮殿のどのあたりにいるのかという推測、宮殿内の様子、評議会貴族たちの疲れ切った表情など……。


(思った以上に警備も甘くていい加減。分かっていた事だけど)


ナディアは本来の彼女に戻っていた。覆面をし、黒服に身を包み広い宮殿内を駆けた。夕食会の時、アミルが今の生活を語りその情報で大体推測はついている。駆けながら、ナディアは矛盾する二つのことを考えていた。


(アミル王はアリア様のお父様……。アリア様、どう思っているのかな?)

 それは本来アダである彼女が聞くには僭越な内容だ。だがアリアの事を尊敬し愛するナディアにとってアリアの父という存在は無視できない。当たり前だが父親は一人しかいないのだから。ナディアは孤児で両親を知らないが、それでもアダの集落全てが家族で、家族同様の仲間はいたから父親という存在が特別なことは知っている。だがアリアはほとんどアミル王のことは語らない。元々王宮外で育てられあまり知らないという事もあるが、それにしてもアリアは母クラリエス王妃と接する態度とアミル王を語る口調には違いがあった。アリアを愛するナディアはそこが気になってはいた。できれば本人に聞けないだろうか……と思ったりするが、今アミル王と会おうとしているのは別の目的だ。この目的を達成させるためにはアミル王に対してあらゆる情を消さなければならない。

(……生きていてはいけない人……)

しかし暗殺はできない。アリアが言っていたように暗殺するのはアリアの名誉に傷がつくだけでなくほぼアリア軍陣営に傾いている国防軍や一部中立貴族を敵に回しかねない。


 殺すのではない。死んでもらうのだ。自らの手で。


 それがザールとナディアが交わした密約だ。いくらアリアに怒られようともその覚悟が出来ている。


 ナディアはアミル王と会うことを成功するのだが、そこで彼女は衝撃的な対面をすることになる。


 ナディアが目的の場所……東王宮6階の中庭に面した一室に辿り着いた時から異様な気配を感じていた。足音も立てず部屋の中に入り、すぐにベッドにただ静かに座るアミルを見つけた。淡い亜麻色の髪はティアラと同じ色で、頬はややこけ髭を貯えているせいか老けて見える。いや、実際顔色はけしてよくなく精気も感じられない。夕食会の時よりやつれて見えるのは夜だからだろうか。それよりも部屋に漂う甘く酸味を感じる、ねっとりとまとわりつくような湿気のような香気が気になった。

 ナディアは中腰からゆっくりと立ち上がった。アミルはナディアの存在に気付いているようで静かに頷く。そして顔をベッドにあるもう一つの膨らみを叩いた。するとそれはムクリと起き上がった。裸体の若い女性だ。アミルは目線でナディアに「問題ない」という意味で首を振ると優しく女を抱き上げ「すまぬな。二人目がきたようだ。帰りたまえ」と言った。女は気だるそうに立っているナディアを一瞥すると何も言わずベッド傍の卓にある下着とローブを纏い、無言で部屋を退出していった。女が出て行った後、男女の淫靡な芳香が強く匂った。初心なナディアも何があったのかすぐに分かった。そして心の底からアミルに対し軽蔑と嫌悪感を覚えた。


 ……淫蕩に耽るなんて……。


 それが愛人であれば、まだ分かる。だがアミルはどうも女の名前すら知らず、さらにナディアを「二人目」と紹介するあたり毎夜複数の女性と関係を持っている事を察することができた。ナディアは幼い少女の頃からアリアと共に活動し幾度も白刃の中駆け抜け今では一軍を率いる将軍でアリアの情報官のような存在でもあるが男女のことに関しては全く初心で穢れを知らない乙女だ。そんなナディアからすればアミルは嫌悪の対象にしかならない。「これがアリア様の父でなければ」とその言葉を何度か心の中で反芻させることで冷静さを保っていた。


 アミルはそんなナディアの心境を知ってか知らずか、ナディアに対し「傍に来るがいい」と声をかけた。ナディアは一瞬たじろんだが無言で移動した。むろん彼女の警戒感は最大限まで上げられ、何かあれば一瞬のうちに懐に隠したナイフを抜ける。


 ナディアはアミルの横に立った。そんなナディアは見てアミルは苦笑した。本来ならば彼女は平伏し顔を上げることすら許されない、それほどの身分差がある。だがナディアはそんな必要をこれっぽっちも感じていない。


 ……私はもう過去の人間か……。


 アミルは静かに苦笑した。


 それが今現実として目の前の少女が示している。今更だが自らの空虚な存在につい一笑となった。だがすぐに自重した。


「貴殿が、ナディア殿か」

「はい」

「噂は聞いている。夕食会で、一目見たときから気付いていた。そしてこういう機会がくるだろうとは思っていた。よかった」

 言葉と違い特に喜ぶ風はない。ナディアは若干の驚きがあった。まさか自分が来ることを予期していたとは思っていなかった。さらにアミルが続けた言葉にナディアは驚くことになる。

「ザールに命じられたか?」

「命じられたのではなく、彼と結託して遣って参りました。ザールもご存知ですか」

「ああ勿論だ。卿は私を殺しに来たのかね?」

 やはりアリアの父だけあるか……少しナディアはアミルの洞察力に感心した。

 アミルはそれを誇るでなく淡々としている。

「中々優秀だ。ここまで見つからずよく来たものだ。ついに、私も死ぬ時が来たかな」

「違います。似たようなものですが」そういうとナディアは懐から手の平より小さな小瓶を取り出しそっとアミルの前に置いた。


「毒です。即効性で苦痛なく死ねます」


「…………」


ナディアは少し躊躇したが、もう一つもアミルの前に置いた。

「もしくは短銃をお使い下さい。もっとも、その勇気がないというのであればこの場で私が貴方を殺しますが」

「ふむ」

 ナディアの言葉も態度も殺気はないが酷く冷淡でアミルに全く敬意や好意を抱いていない。王であるとは微塵も思っていないようだ。事実ナディアにとって王はアリアただ一人であって、この男ではない。


アミルは静かに笑みを浮かべたまま頷く。死を通告されているようにはとても見えない。達観しているか、もうそれに反応する力もないのかナディアが見ていても分からない。まるで麻薬中毒者と話しているようだ。(実はアミルは軽度の麻薬中毒者であったが)


「アリアの命ではなくザールと君の判断かな」

「はい」

「アリアはいい仲間を得ている。ザール=フォン=ザナドゥはよくも期待通りに育ったものだ。ザールいう秀才をアリアの学友に選んだのは私だよ、私が行った数少ない善行ということになるか……。昔――」

「時間がありません。申し訳ありませんが私は昔話を聞きに来たのではありません。ご返答をいただけますか」

とナディアはアミルの回想を制し小瓶を目で示した。これはかなり無礼な態度だがそれでもアミルは怒らず「そうだった」と苦笑し、ゆっくりとした動作でこの小瓶を握った。

「実は私も機を見て自分でこうなった責任を取るつもりでいた。アリアに対しても、国民に対してもレミングハルトに対しても。だが折角の好意だ、頂いておこう」

「ありがとうございます」

 ナディアは軽く会釈し、小瓶と短銃を手渡した。


用件は済んだ、一刻も早くこの場を去るのが賢明だ。帰された先の女がナディアのことを不審に思えば危険だ。もしそうなれば潜入はたちどころにバレて戦闘を覚悟しなければならない。さすがにナディアとクシャナ、そしてミーノスだけではどれほど勇戦しようとも戦死しかない。

いや、それよりアリアが間諜を使った……と知られるほうが拙い。民衆や国防軍に対しアリアの印象が著しく悪くなる。だからこそアリアは政治眼もあるナディアとクシャナを選抜したのだ。

「心配はいらない。あの女どもにそんな知恵はないよ」

「!?」

「私の相手は彼女だけではない。そうだな、多分10人前後はいるだろう……名など知らぬ女が多い」

「随分と楽しんでいますね。それを私に言ってどうするのですか」

 ナディアの目にははっきり軽蔑の色が浮かんでいた。同時にナディアの中で身を焦がすような殺意が湧き上がったがそれは必死に堪えた。

このことはアリアには話せない。しかし許せないことだ、とナディアは本気で怒っていた。王妃クラリエスが死去したのはほんの一ヶ月前のことだ。むろんその事は伏せられているからアミルが知るはずがないが、それでもなんと不謹慎なことだろう。


 だがアミルはそんなナディアの心境もよく分かっている。


「そう目くじらを立てることはない、ナディア殿。私の快楽のためではない、レミングハルトのためのいわば仕事だ」

「仕事?」

「本来不貞淫蕩の言い訳をする男はみっともないことだが、ここは我慢して聞いておいてないかね。アリアのために損はない、聞いていくがいい」と、アミルはやはり変らぬ口調でナディアを見つめた。

ナディアは一瞬目線を逸らし思案し、やがて頷いた。

「私はただの一つの道具にすぎんのだよ、子を為すための。意味は君ならば分かるだろう」

「!!」

 むろん意味は分かったが、それは只ならぬ陰謀だ。やはりアルファトロスで感じたレミングハルトの陰謀は事実だった。もし生まれれば……いや、受胎しただけでもその瞬間から王位継承者がレミングハルト側に生まれる事になり政略的にアリアとって大きな脅威になるだろう。

であれば一刻も早くアミルを殺さなければならないのではないか?


アミルはそんなナディアの心境も分かって話を進める。


「何故こんなことまでして私から自由と家族を奪ったレミングハルトに従っているのか不思議であろう」

「はい」

「今だって、私は君に懇願すれば逃げられる」

「はい」

「レミングハルトには、貸しがあるのだ。いや、負い目かな? ……裏切ったのは私だ。そしてこの国がこれほど乱れたのも私のせいだ」


 その言葉に重みがある。これはけして現状の国に対して責任を負う王として発言しているのではなく、事実の告白だった。

「私とレミングハルトとは、アリアとザールの関係と同じなのだ。私は幼い頃彼の家で育った。そして色々……奴と約束を交わした。若い頃の私たちは、野心的だった。その野心はこの国に留まらなかった」

 初めて聞く話だ。もしかしたらアリアも知らないかもしれない。


 若きアミル=フォン=マドリードは野心的であり血気盛んで、周辺国に強い外交をせまり緊張を高めた時期があった。内政では国威増強を目指しマドリード経済を盛り上げた。軍への軍費も先代の頃より倍近く増やしその整備も充実させた。国防軍が未だアミルに対し忠誠心を持っているのはこの頃からの関係が大きい。賢君ではないが、けして愚君でもなかった。貴族評議会に幽閉されるまでは……。


「だが、私は別の夢を抱いた。アリアが生まれたからだ」

「意味が分かりません。どうしてアリア様が生まれて心変わりをされたのですか?」

「あの子が天才だったからだ」

「?」

「私にはひとつだけ人に誇れる才能がある……と思っている。人を見る目だ。私とレミングハルトは、マドリードを今より大きな国にしようと色々工作をしていた。うむ、工作というよりは陰謀だな、色々あった。そのうちの一つとして貴族評議会の権限をレミングハルトに集中させ貴族軍を作り戦争に備えつつ、あいつと共にこのマドリードをより巨大な国にしようと画策したよ。ああ、そうだ、私にはもう一人協力者がいた。ユイーチ=ロレンクルという男だ」


 ナディアは目を見張った。アルファトロスの前代表ではないか。


 ナディアの中でいくつもの陰謀の糸が繫がり始めた。アリアもアルファトロスに深く繫がりがある。それらは全て偶然だったのではなく、作られたレールに上にあった。


「私は道半ばで自分の才能の限界、器を知った。そしてレミングハルトの器もな。我々が結託しても精々国土を僅かに増やすことが出来たとしても、敵を国内外に増やすだけだろう。それを軍事力で押さえ込むしか思いつかない……この程度の器だ。歴史には愚王としてしか名を残さない。それよりも私はアリアの能力に注目したよ、あの娘の天性優れた聡明さとカリスマ……そして類稀な軍事と政治の才能にね」

「ご存知だったのですか!? 幼いときから!?」

 ナディアも幼い頃のアリアを知っている。だが、聡明で無邪気で愛らしい少女で今の英雄の片鱗はなかったと思う。少なくともナディアがアリアの中にとほうもない才能と英雄の資質を感じたのはアリアが11歳ぐらいの時だ。

 だが、アミルには分かったらしい。ともかくも、彼は娘の類稀な天才を知った。

「私はアリアの教育にシフトを変えた。そのために、幼少のアリアには随分と過酷なことを課し父らしいこともしなかった。アリアは恨んでいるだろう……だがそれでいい、あの娘は私やレミングハルトのような小者の知恵など弄せずとも、正道によってこの大陸を統べるだけの才能がある。だがそうなるためには試練も必要だと思った。都合よく……私に裏切られたレミングハルトは暴走をした。内心、これが運命かと思った。そして今に至る」

「……随分、自分勝手ですね」

「そうだな。だが自分で正道に戻る勇気もなかったのでね。言っただろう? 私はアリアに恨まれて当然、死んでも当然の男なのだ、と」

 結局、この国内の荒廃はレミングハルトの暴走もあるがアミルによるアリアを世に出すための演出でもあった……そういう事か。


あまりに自分勝手だ。アリアの人生を狂わせ革命の英雄を作るだけがアミルの野望だった。そのために多くの国民が死に、生活を貶められたのかと思うと吐き気がするほど嫌悪感を覚える。しかしこの男はこの男なりの歪曲はしているがアリアに対しての愛情と希望を持っている。結局、こうなることは運命だっただろうか……そうともナディアは感じた。


若い頃は別として今のアミルには私欲もなく野心もない虚心の男となり、そして自らの死が全ての終幕でありアリアにとっての始まりとになることだけを望んでいる。死に対し怖れも恐怖もなく自分の運命としてむしろそれを喜び受け入れている。マドリードの運命は全てアミルの描いたもので、その運命はアリアが生まれた瞬間から定められたものであったのか……。



 余談を挟む。



筆者は未来からこの時代を描いている。だから歴史として見た時これら全ての陰謀がアリアに課せられた運命であった、と思わなくもない。アミルは特出した才能も人格でもない平凡な王だが、もしかしたら未来を的確に想像することができた稀有な人間だったのではないかとも考える。歴史の中にときとして現れる歴史の変換点を知る人物だったという事だろう。こういう歴史の流れの中で運命を導く役、不思議な道案内をする人物は歴史上時々現れた。クリト・エではヴァームがそれにあたるかもしれないし、大陸連邦では賢者ヴァンヌエーバ=トリト、フィル=アルバートがそれにあたるかもしれない。最もフィルの場合彼自身が大陸連邦に君臨した目映いほどの英雄当事者ではあるが。

ただ、哀しい類似点もアミルとアリアにはあった。結局二人の人生の終着点はまるで鏡を見ているかのように同じ途を辿った。大きな違いはそれがただの悲劇になったか時代を終わらせ新しい時代を産む旋風となり新時代を導く輝きとなったかの違いだけだ。その事を考えた時、アミル=フォン=マドリード=パレは彼自身、そして当時の人間が考えていた以上の器量があり英君としての素質は高かったのかもしれない。だがそれは過ぎ去った過去の「もしも」の仮定であって事実かどうかは結局我々後世の歴史家が各々結論を出すだろう。



……以上余談。



 語りつくし満足したのか、アミルは深いため息をついた。

 ナディアももう用はない。情報としては有意義な話も得られた。気持ちも何も篭っていない会釈をして立ち去ろうとした時、もう一度アミルはナディアを引きとめた。そして本来一番最初に口に出すはずの質問をアミルは口にした。

「クラリエスやクリスは元気かね? クラリエスは妊娠していたはずだ。もう産まれただろう?」

初めてアミルの言葉が人間らしい音を出した。ナディアも初めてここにいる男がアリアの父なのだと認識した。だがその問いの答えが残酷なものだとナディアは知っている。

 そこはナディアだ。あくまで無表情に答えた。

「無事王女様が生まれました、名前はティアラ様、とクラリエス様が名づけられました。アリア様も立ち会われました」

「…………」

 それを聞いたアミルの表情が見る見る曇り、彼は頭を垂れた。その反応にナディアのほうが驚いた。アミルは何度かゆっくりと点頭し、最後にため息をついた。その間無言だった。


しばらくの間の後、アミルは呟く。


「王子ではなかった……これも運命か」

「?」

「アリアはつらい運命を歩むことになる。ナディア殿、アリアの事宜しく頼む」

 そういうとアミルは頭を下げた。ナディアは無言で頷き、そしてそのまま部屋を出、すぐに闇の中に消えていった。


 アミルは知った。妻クラリエスがもうこの世にいないことを。


 そこは夫婦の間のこと、理屈ではなくそう直感したのかもしれない。元々体の強い妻ではなく長い幽閉生活に疲れてもいた。ただでさえ危険を伴う出産が、医師もろくにいいない隠れ里の出産となれば命の危険は大きい。そして……深い洞察力をもってすればクラリエスに何かがあった事を知ることができた。出産日を計算すればアリアがリィズナで戦争していた時期と重なる。今や万に近い軍団を率いるアリアが戦争中に実母の出産とはいえ戦場を離れ立ち会うはずがない。王女であり軍を束ねる者としてその節度を当然アリアは持ち合わせているはずだ。立ち会ったのが事実なら何か大事があった……という理由以外考えられない。もしこの僅かな対話でアミルが気付いたのであればアミルの洞察力は本人の自覚より能力は高く、さすがはアリアの父親だと言えるかもしれない。


 翌日、ナディアは「一度部品調達のためアルファトロスに戻ります」と半分の乗員と共に引き上げた。次来る時ナディアは搭乗せず技師ではなく代わりに強力なアーマー部隊を率いてやってくる予定だ。こうしてアリアの包囲網は徐々に狭まっていく。





『マドリード戦記』 王女革命編 20 革命戦中章① です。


この章はめずらしくアリア様が登場せず、ナディアとアミル王のみの話です。


色々意味ありげで、そして重要な対談の回でした。

ある意味アリア様の英雄としての天賦の才が、翻ってマドリードを駄目にした原因でもある……というのは皮肉ですね。もちろんその責任がアリア様にあるわけではないですが。


天才であったからこそ家庭が崩壊して……

英雄であったからこそ国は乱れ……

全てはアリアを歴史上の人物とするためのいわば生贄であり、呪いのようなもの……


彼女が後に「史上最も優れた女王」と云われるも、「哀しき不幸の女王」とも呼ばれる……その一端のようなものが、今回の章でした。


革命戦はこれからです。まだ政略編が続きます。


これからも『マドリード戦記』を宜しくお願いします。

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