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『マドリード戦記』  作者: JOLちゃん
大陸連邦留学編
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マドリード戦記 大陸連邦留学旅行編22

マドリード戦記 大陸連邦留学旅行編22



模擬戦佳境!

それぞれエースパイロットとオリジナル・アーマーだけが残る中、アリアとナディアの奮戦は!?



ナディア、大陸連邦エースと一騎打ち!

その勝敗の行方は!?



***


 残ったのはアリア、ナディア、ヴィクトレア少佐の<ザハルート改>と<マクラリーノ>、そして大陸連邦軍レアーク大尉の<ザハルート>だけとなった。そして大陸連邦軍の二機はナディアに集中する事を決めたようだ。自然、アリアの<ベレッサ>と<マクラリーノ>の一騎打ちとなった。



「模擬戦も残りは5機! どれも一流アーマーと一流のパイロット!! 白熱してきました!!」


 場内アナウンスの熱気も上がる。予想以上の激戦だ。


「暢気な」


 <ザハルート改>のコクピット内でヴィクトレア少佐は舌打ちした。目の前にいる<ベレッサ>は生半可なレベルの相手ではない。いや、もう一機の<ベレッサ>も只者ではない。確か二人ともパイロットは少女ではなかったか。


 ヴィクトレア少佐は小さく笑うと、機内にある無線機のスイッチを入れた。



「貴方……<ベレッサ>のパイロットのお嬢ちゃん」


「!?」


 無線は広域回線ではなく拡声器による直線音声だ。その声でナディア機の動きが止まった。

 ヴィクトレア少佐は微笑むと「無線コードは67418」と告げた。これは直通回線の無線設定だ。


 ナディアはすぐに無線コードを合わせた。


『何か御用?』

「貴方たち、アルファトロスの議員……じゃないわね? 二人共、軍人でしょ?」


『…………』


「別に詮索しているわけじゃないの。考えたら当たり前。私たちと互角に戦える人間が民間人だなんてありえないもの」


『そうだよ。あたしは軍人』


「じゃあ、もう一人のお嬢ちゃんは主人ね。見る限り貴方のほうが年上でアーマーの操縦の上。だとしたら貴方は護衛と考えるほうが自然だけど、どう?」


『…………』


「警戒しなくてもいいわ。ただ軍人なら軍人としてちゃんと名乗りあいたかっただけよ」



 数秒……ナディアは沈黙した。

 が、答えた。



『マドリード軍ナディア=カーティス』


「ありがとうナディア。これで私も本気が出せるわ。相手が民間人ならいくらなんでも本気を出せないけど、軍人なら話は別だわ。私はヴィクトレア=コスモ少佐。大陸連邦軍第一騎兵軍団89師団所属アーマー部隊指揮官です。大陸連邦軍でも私に並ぶ者は……」

 そういうとクスリとヴィクトレア少佐は笑った。

「30人くらいのものね」



『OK、少佐。じゃあ始めよっか!』



 ナディアも無線の向こうで笑った。



 両者、数瞬の間の後……再び動き出した。



 そして激しい攻防が始まった。もはや余人の介入する隙はない。それほど激しく、そして見事だった。両機とも相手の後ろを取ろうとアーマーを目まぐるしく高速で動き回っている。


 一方、アリアは三つ巴の戦闘にもつれ込んでいた。


 自由に動けるようになった二機が、アリアに襲い掛かったのだ。

 示し合わせたわけではない。隙あれば各々が他二機を狙っている。


「パイロットの腕は大陸連邦軍の人……アーマーの性能は圧倒的にもう一機のオリジナル・アーマーか」


 ほぼ三機は互角……に見える。だがアリアが一番劣勢だった。

 しかしこれも作戦だ。アリアはまだ本気を出していない。


 ナディアの<ベレッサ>と<ザハルート改>は完全に一騎打ちに入り、そこに入り込む隙は全くない。あの様子ではナディアも簡単には勝てそうにない。ということは、この二機はアリアが対処しなければならないようだ。


 アリアは瞬時に状況を把握すると、一転逃走に入った。


 今度は本気の速度だ。機動力では<ベレッサ>が一番上高い。それはナディアが証明した。逃げれば追いつかれる事はない。それを見た<ザハルート>と<マクラリーノ>は動揺した。そしてアリア機を追った。すぐに追走は全速となった。完全にアリアの術中に落ちた。


 アリアは全速疾走から反転し、そのまま全速で二機に襲い掛かった。



「馬鹿な! 乱戦に持ち込める機動速度じゃないぞ!」

「ぶつける気か!?」


 二機はたじろぐ。この困惑こそアリアの狙い目だ。

 そして最高速といってもアリアにとっては動じるほどのものではない。ヒュゼインの最高速のほうが遙かに速いのだ。ヒュゼインに慣れたアリアにとってはこのスピードは脅威ではない。


 アリアは激突するかと思われた瞬間、機を跳躍させた。

 飛んだ。


 これには二機も目を奪われた。


 一瞬にして背後をついたアリアは、すぐに反転し<マクラリーノ>の旗を薙ぎ取った。そして目前の<ザハルート>に手を伸ばす。



 が……操縦桿が重い。



「っ!? ヒュゼインとは違うから!!」


 <ベレッサ>の反応はヒュゼインほど精密ではない。このまま激突すれば双方怪我をする。


 アリアは咄嗟に機を反らした。


 レアーク大尉の<ザハルート>も、思わず機を傾け激突を避けた。


 この時、思わぬ結果を生んだ。

 アリアは反りつつ<ザハルート>の旗をもぎ取った。

 が、転倒する<ザハルート>の足がアリアの旗に絡まり、そのまま抜けた。


 勝負ならアリアの勝ちだったが、結果は相討ち。

 アリアにとっては不運の事故。だがこれでアリアも失格だ。


 アリアは<ベレッサ>を停止させると、振り返った。転倒した<ザハルート>が気になったのだ。しかし<ザハルート>は左足を損傷し足を失ったが、パイロットは無事だった。すぐにコクピットからレアーク大尉が姿を現し観客に手を振る。



「ナディアは!?」


 アリアが振り返ったときだ。割れんばかりの歓声が上がった。

 アリアの目に、旗を手にしたナディアの<ベレッサ>の姿が飛び込んだ。


 ナディアが勝った。


 アリアも思わず歓声を上げた……が、すぐに蒼ざめた。

 ナディアの乗る<ベレッサ>は、左腕が損傷し外れていたのだ。ナディアは左腕を犠牲にしてヴィクトレア少佐の旗を奪い取ったのだ。さすがのナディアも無傷では奪い取れなかったのだ。しかしナディアの勝ちであることは間違いない。



 大番狂わせの結果に、会場は喝采と賛美の声をあげた。


 勝負を終え、敗北したヴィクトレア少佐はコクピットから出てくると、勝利したナディアを称え、強い握手を交わした。その二人の握手を観客たちは拍手で歓迎した。


 アリアも拍手でナディアを称える。

 が、心の中では別の事が過ぎり笑みは乾いていた。




……あの<ベレッサ>の修理……滞在中に出来るのかしら……?



 修理時間も修理費用もない。

 そのことを考えると、少しだけアリアの気分を憂鬱にさせた。



 が……ナディアには、もう一つのサプライズが待っている。



 クガート=パドドーテ少将との出会いである。





マドリード戦記 大陸連邦留学旅行編22でした。



模擬戦編佳境と終了です。

ということでナディアが優勝となりました。

ナディアは歴戦のエースで、かつ戦争経験者ですしね。そのあたりがまだ戦争を体験していないヴィクトレア少佐より上手だったことです。まぁヴィクトレア少佐はエースパイロットですがせいぜいエースで、ナディアたちは英雄クラスのパイロットですし。


大陸連邦は広いです。彼女の言うとおり、大陸連邦だともっと強いパイロットはいます。フィルさんやアーガス君みたいな(「蒼の伝説」の主人公たち)化け物パイロットがいて、そんな化け物パイロットがしのぎを競い合うのが第一次世界大戦です。まぁそれはマドリード戦記には関係ない世界ですが。


ということで色々あった大陸連邦留学も最後の出会いになります。

次回、クガート=パドドーテ少将との出会いです。


実はクガート少将……「蒼の伝説」に登場する英雄の一人で、大陸連邦では知らない人はいない有名な将軍です。そして「蒼の伝説」のアリアと少し関係があるキャラで、クロスオーバー回になります。まぁマドリード戦記を読む上ではネタバレにならないキャラなので特に意識しなくてもいいです。


さて、大陸連邦留学話ももうしばらく。

これからも「マドリード戦記」をよろしくお願いします。

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