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『マドリード戦記』  作者: JOLちゃん
大陸連邦留学編
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マドリード戦記 大陸連邦留学旅行編19

軍基地デアトリス。

ついにお祭りが始まった。


そしてひょんなことからアーマーの模擬戦に参加することになったアリアとナディア。


アリアたちの決意とは……?



***



 7月23日。


 この日、科学都市ベルセリクはお祭り気分一色で盛り上がっていた。


 大陸連邦軍デトラリア基地で、基地を上げて決起祭が開催されたのだ。



 軍基地主催の祭りといっても、軍人を鼓舞するというより、慰労と元気づけの巨大なパーティーのようなもので、様々な屋台が軍基地内の特設エリアで開かれた他、いたるところで串焼きの肉やソーセージ、干し魚の炙りなどが食え、酒や冷えた茶、果実ジュースなどが飲めた。さらに市民持ちよりのフリーマーケットがあり、軍人たちによる野外コンサートやダンス会場などがある。軍人約5万、市民約10万がこの祭りに参加し楽しんでいた。


 その祭りの午後一番の見世物が、アーマーによる実演演習だ。


 デトラリア基地所属の特別アーマー部隊24機による模擬演習で、アーマーはオリジナル・アーマーの<グロウ・バレ>。<ナイアザン>の姉妹機で性能もほぼ同じだ。このアーマーが連携走行をしたり連携攻撃陣形をとったりアクロバット操縦をしたりして観客の目を楽しませた。


 そしてその次行われたのが、民間人によるアーマーの模擬戦イベントだ。


 カレドニア公国中の貴族たちが各々自慢のオリジナル・アーマーを持ちより披露するイベントで、様々なオリジナル・アーマーが参加している。アリアたちが頼まれたのはこのイベントの参加だ。


 民間のアーマーは16機。そして大陸連邦軍のアーマー<ザハルート>が4機、計20機が参加する。この<ザハルート>は東部諸国が隊長機として広く運用している。<ナイアザン>より30%ほど性能がいい。アリアたちは初めて見る機体だ。



「すごいね、アリア様。こんなに色々アーマーがあるよ」

「ですね。さすが大陸連邦です」


 全てオリジナル・アーマーで、8種類ほどあるだろうか。<ナイアザン>の姿もあるが、それ以外は見たことがない機種だ。もっとも民間機ということで、武装はついていないがどれも派手な装飾やカラーリングが施されている。


 そして各機、背中に3mほどもある大きな旗を差している。これはアリアたちも同じで、これがこのイベントのルールだ。決まったコースを走りながらこの旗を取り合う……それがアリアたちの参加するゲームである。試合方式だから飛び込み参加者でも問題なかったのだ。走るコースは昨日説明を受けた。



「ではこれより午後の目玉イベントの一つ! 民間の有志参加によるアーマーの模擬戦闘です。各貴族の皆様や愛好家御愛蔵のアーマーが勢ぞろいです! 各機基地内の障害物コースを痩躯しながら、それぞれ相手の背中にある大きなフラッグを取り合ってもらいます! フラッグが取られた機は失格です。最後まで生き残れば優勝! 優勝者には第1騎兵軍司令官クガート=パドドーテ少将より記念品と賞金1万ギルスが贈呈されます!」



 アナウンスによってルールが読み上げられると、周囲の観客たちは一斉に歓呼の声をあげた。危険の少ない模擬戦とはいえ、アーマーの戦闘を身近で見る機会などない。大陸連邦人にとってもこれはたまらない娯楽だ。これを見たくて集まった民衆も多い。



 ……そうか、これは見本市の意味合いもあるのか……。



 オリジナル・アーマーの性能の実演の意味もあることにアリアは気付いた。成程、ここはアーマーも手広く販売する科学都市だから、各機の実戦性能は売る側にとっても買う側にとっても重要だ。このあたり政府と軍と経済の連携はアリアも感心するしかない。


 ちなみにレースは賭けゲームで、一般人たちはそれぞれ勝つと思うアーマーに金を賭けている。これがあるのでアリアたちも自分たちの都合でそう簡単に負けるわけにもいかない。


「大陸連邦のアーマー乗りがどれほどのものかタノシミだね♪ ま、あたしとアリア様に敵うはずがないけど」

「…………」


 勝って目立つのはいかがなものか……一応アリアたちはアルファトロスの令嬢ということになっているが、トップクラスのアーマー乗りの軍人で、一般人に後れをとることはない。ただ大陸連邦軍からも4人がエントリーしている。こっちは容易い相手ではない。それは先に行われた大陸連邦軍の演習を見て分かった。



 ……どうせなら、色んなアーマーの性能を体感するのは悪くないけど……。



 これだけのアーマーと戦闘をする体験はそうそうある事はない。




「尚、本ゲームでは一般市民の皆様もどなたが勝つか賭ける事ができます。賭けの受付終了はこれより30分後でございます。受付ではそれぞれのオッズも公開しております。10ギルスより参加できますのでどうぞお楽しみ下さい!」




 そのアナウンスを聞き、市民たちは歓声を上げた。




 ……聞いていない……と、アリアとナディアは顔を見合わせるが、もう遅い。 これでは手を抜くわけにはいかない。


 アリアは決した。


「ナディア。<緋鳥の陣>で行きましょう」

「OKOK!」


 アリとナディアだ。二人だけの戦闘陣形がいくつもあり、その訓練も積んでいる。


「できるだけ色んなアーマーをみてみたいです。だから速攻じゃなくてコース途中までは回避中心で。私はできるだけかき回しますからナディアは援護してください。コース中盤から攻勢にでましょう」

「OK! 勝ちに行こう!」


 ナディアは楽しそうに笑った。アーマーなら絶対の自信がある。



 ふと……アリアは大陸連邦軍軍機<ザハルート>の一機に目を向けた。


 この一機だけ、カラーリングが違うのだ。そしてコクピットにいるのは大陸連邦軍士官服に身を包んだ若い女性軍人だった。ヴィクトレア=コスモ少佐だ。



 ……多分あの人が隊長機。あの若さで上級士官のようだから……相当な腕かも……。



 アーマー乗りに男女差はない。優秀な人間が指揮官になるしエースにもなる。まだ20代半ばで隊長機ということはエース・クラスかもしれない。


 そうこうするうちに各機お披露目の走行時間となった。各位、それぞれのアーマーのコクピットの中に入った。



 こうして、模擬戦闘イベントは始まった。





マドリード戦記 大陸連邦留学旅行編19でした。




まさかの模擬戦参加です。

アーマーは愛機のヒュゼインではないですが、ベレッサもオリジナルアーマーの中では中の上の性能。乗りなれない機体ですが性能はあり二人はマドリードが誇るエース! 何よりアーマー戦争経験者です。


果たして二人の腕前は大陸連邦でどこまで通用するのか!?


どういう展開になるか、見物です。

ということでついに始まった模擬戦編!


アリアというよりナディアの真髄か?


これからも「マドリード戦記」をよろしくお願いします。


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