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『マドリード戦記』  作者: JOLちゃん
大陸連邦留学編
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マドリード戦記 大陸連邦留学旅行編17

マドリード戦記 大陸連邦留学旅行編17



ベルセリクの温泉施設を訪れたアリア。

そこでアリアは感激する。

人生で初めての入浴娯楽施設!

アリアは、ただの少女となった。



***



 アリアは男の王より秀でた才能を持つ君主であることは紛れもない。


 が、彼女はけして男として振舞う事はなかった。あくまでも彼女は女王である。


 しかしドレスより軍服を愛し、化粧気はなく、恋愛にも疎く、美食や華美なパーティーは好まず、オシャレも必要以上は認めない。むしろその私生活は質素でむしろ朴訥なほどだが、ある一点に関しては非常に女性らしい。



 入浴好きなことだ。



 毎日の入浴は欠かさないし、特に仕事が差し詰まっていなければ(もっともアリアがゆっくりとできる日など月の半分もないが)一時間以上ゆっくり入浴するし、戦時中においてもシャワーは欠かさない。自分が好きだから、マドリード軍兵士たちの生活にもわざわざ入浴時間が設けられている。



 別に潔癖症なのではない。アリアは好きなのだ。心地よい湯に浸り、気を抜き頭も心も落ち着ける時間が。



 だから天然温泉<デルン泉>の大型温泉施設に来た時、アリアは珍しいほど興奮した。



 <デルン泉>はベルセリクの郊外のプレン山近くにある温泉施設で、いくつもの大きな池のような露天風呂と、色々な室内風呂。そして食事施設、リラクゼーション施設、映画館、宿泊施設が集まっている。エリアは広大で、マドリードの王城ハーツティスと同じくらいの広さがあるかもしれない。ここも半官半民の施設で、軍や政府の指定保養所である。



 アリアたちが着いた時は午後16時頃で、すでに早めに仕事を終えた市民や兵士たちが訪れ賑わっていた。日が暮れればもっと人はやってくるだろう。


 アリアたちは総合受付で手続きをすると、すぐに露天温泉に向かった。




「極楽です♪」



 アリアは顔の半ばまで湯に浸りながら嬉しそうに微笑んだ。


 露天風呂は広く、ちょっとした森林の庭の中に池のような風呂がある。風呂というよりはプールに近いかもしれない。天然温泉を水で薄めたもので温度はややぬるめの38℃前後。

 これなら気持ちよく長湯できる。



「よかったね、アリア様」


 ナディアも気持ち良さそうに湯をすくい上げ顔に浴びる。アリアのリラックスした上機嫌の顔を見られただけでナディアは大満足だ。風呂の中だけはアリアは歳相応の無邪気な少女に戻るようだ。こんな無邪気なアリアの姿を見たのは何年ぶりだろう。


 ちなみにアリアたちは裸ではない。受付で借りた温泉用水着を着ている。外にある露天風呂は混浴で水着着用がルールだ。他に蒸気サウナや冷水風呂なども混浴だ。屋内にある大浴場だけが男女で区切られていて、ここは裸になってもいいが、市民たちはここでも水着でいる人が多く、外すのは体を洗うときくらいのようだ。



「七日に一度の休日は多くの人で賑わうらしいです。後、その翌日は軍の兵士たちが多く訪れるらしいです。今日は平日ですからそれほど混まないでしょう」


 あくまで案内役であるルクレティアがそう説明した。


「大勢で入るお風呂なんだ。珍しい文化だね」

とナディアは周囲を見回す。他に10人くらいの客が入浴している。


「大陸連邦には水着を着て海水浴をしたり湖水浴をする文化がありますから」

「こんな下着みたいな服で……ねぇ……」


 ナディアは借りた水着を見て溜息をつく。色の白い下着と変わらないデザインだが、水を吸っても重くならないナイロン素材でできている。


 マドリードにも水着はあるが、もう少し布の面積は大きく装飾などは施されていない。そしてそれほど水泳が盛んでもなく海水浴の習慣もない。

 一応軍人は鍛錬として水練があり泳ぎは学ぶが、軍事訓練の一貫で娯楽のためではない。陸上戦ではマドリード屈指の戦士であるナディアも、溺れない程度の泳ぎしかできない。


「バルト王国やトリメルン王国では水遊びの娯楽はあるらしいですよ」とルクレティア。

「マドリードにはないね」

「アルファトロスにもありませんね」


 マドリードになければアルファトロスにもないだろう。同じ文化圏内だ。



「これも外国ならでは、かぁ」


 ナディアはバシャっとまた顔に湯をかけた。そしてアリアを見た。


 余程心地いいのか、それとも気に入ったのか……アリアは誰にも見せたことがないであろう満足そうな恍惚とした表情で静かに湯を堪能していた。心が完全に無防備になっていて心地よさで笑みが消えない。



 ……アリア様にとって、お風呂が一番の息抜きなんだね……。



 どんな重責も苦労も、風呂に入るときだけは忘れる。


 そういう習慣がアリアの身についているのだろう、とナディアは思った。

 だからアリアは忙しい中でも入浴をするのだろう。

 そうして息抜きをすることで思考の疲労の蓄積を防いでいる。



 ナディアはアリアの満足そうな表情を見て、「そっとしてあげて」と小声でルクレティアに頼んだ。そしてアリアから少し離れたところで見守ることにした。



 大体30分ほどアリアは静かに幸福感を満喫する。




マドリード戦記 大陸連邦留学旅行編17でした。


まさか「マドリード戦記」でサービス温泉回!w


イラストがつけられなかったのが残念ですw


アリア様が唯一といっていい俗人ぽい趣味で、かつ娯楽が入浴です。

この時ばかりはアリア様も女の子に戻ります。

ちなみに書いていませんが、大陸連邦は大浴場文化があり、温泉や大浴場が町にひとつはあります。そして自宅ではシャワーで済ますことが多いです。実は戦艦にも大浴場を設置した船もあります。これは「マドリード戦記」には出てきませんが、話だけちょこっと出てきた超大型戦艦ディスカバー級ディスカバーと二番艦パーチバルには兵士利用可能の大浴場があります。まぁディスカバー級は戦艦兼移動基地でもあるので。現在最大最強のデュアル級の二倍という化け物戦艦ですし。


ということで次回も温泉話です。

これも後にアリア様の施政に反映される話です。


ということでまだしばらく留学旅行は続きます。



これからも「マドリード戦記」をよろしくお願いします。

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