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【オマケ話】鞠愛チャレンジャー

鞠愛はまあまあ我儘で甘えん坊だ


レストランで料理を注文して、自分のやつがまずかったりすると


「貴ちゃん替えて?」と言ってくる


俺は割りとスタンダードな和風ハンバーグとかペペロンチーノとか注文するけど鞠愛チャレンジャーなのでちょっと変わったメニューを頼む


今日も栗とかぼちゃのクリームパスタ味噌風味を頼んだ


鞠愛はインスタ用の写真をとった後一口食べて


「まずっ…」と小さくつぶやいた


くるぞくるぞ


「貴ちゃん、取り替えっこして?」


来たー


「いいよ、でもなんか毎回ペペロンチーノ食べることにになっちゃうね、鞠愛」


「飽きない?」



「うん、ペペロンチーノ好きだから大丈夫」



「じゃあ最初から頼めば?」



「うーん、でもそれじゃあ写真にバリエーション出ないじゃん?」


ふふ、インスタ用に注文してるわけだね


鞠愛のフォロワーのみなさーんお洒落な料理鞠愛食べてませんよー

毎回色味のないペペロンチーノ食べてますよーと、告げ口したくなる


「それにしてもこのパスタ、甘いな」


「でしょー」と言った後、通りすがりのウエイター捕まえて「このソースの甘みってかぼちゃだけで出してるんですか?」とか聞いている


鞠愛ってほんとに人に話しかけるの平気だな…


その後「貴ちゃん美味しい?」と聞いてきた


「美味しくはないけど、なんとか食べれる」


「鞠愛、今度からはふつーの選びなよ」



「うーん、でもさ、食べたことないけどすごく美味しい料理ってあるはずじゃない?」


「食べたことの無いメニューを注文し続ければもしかしたら運命の一皿巡り会えるかもしれないじゃない」


うーん、鞠愛やっぱりチャレンジャーだな


そして俺はその被害者…


ん?


被害者…じゃないな


むしろ恩恵を賜っている


鞠愛がチャレンジャーじゃなかったらきっと俺とは付き合っていないはず…




初めて鞠愛に連絡もらって呼び出されて行ったスタバーで俺は注文の仕方がわからなかった


カフェなんて行ったことなかったし、そもそも外食が嫌い


まごまごしてた俺に鞠愛は「鈴木さん、コーヒー飲めます?」ときいてきた


頷いたら鞠愛は「ブレンドコーヒー、ショートで」と注文してくれた


店員さんが「アイスにしますかホットにしますか」ときいてくる


「あ、温かいので…」でと答えたら「店内用のマグカップでご用意できますが…」と言ってきた


う…この拷問みたいなやり取りいつまで続くの…


コーヒーを受け取って席についたときにはヘトヘトになっていた


やっぱり会うの断ればよかった


こんなカフェで注文一つ出来ない姿をこの女の子に晒すくらいなら


俺は前に読んだ小説の、スマートに女の子をエスコートできなくって振られた男のエピソードを思い出した


「えー、鈴木さんスタバー初めてなんだ」


「注文なんてかんたんだよ、呪文のように覚えちゃえばいいよ」


「ブレンドコーヒーのショートをホットで、店内用のマグカップでお願いしますって」


そう言って鞠愛はキャラキャラ笑った


最初は鞠愛とも話せなくって、俺はただ鞠愛の質問にはい、いいえで答えて、あとは鞠愛の話をただひたすら聞くだけだった


相槌さえうまく打てなかった


もう、この子に誘われることはないだろうな


…まあ苦しかったし恥かいちゃったけど時間が経てばいい思い出になるかもしれない


女の子と二人でお茶できたこと


そんなこと考えている俺に鞠愛は別れ際


「次はいつ会う?私見たい映画があるんだけど、付き合ってくれる?」


「んー、女子向けだから鈴木さんには面白くないかな〜」


「あ、でも付き合ってくれたら私も鈴木さんの見たい映画付き合ってあげる」


「私映画一人で見れないんだよね〜」


「友達もあんまりいないし…」


と言った


え…こんな俺ともう一度会ってくれるの…?


嬉しいような困ったような気持ちになったのを覚えている


まあ、鞠愛の友達いないは大嘘だったけど




鞠愛がチャレンジャーだからこそ、人見知りで社会性がなく、少しも男として魅力の無い俺と付き合ってみようと思ったに違いない


鞠愛がハズレを恐れずに変わったメニューを頼むような子じゃなかったら、俺はこうして六本木のオープンカフェで鞠愛と一緒にご飯なんか食べていられなかった


鞠愛…




「ねぇ貴ちゃん、ここ量少なくない?」


「デザートも頼む?」


鞠愛がそう言ったので俺は鞠愛にメニューを手渡した


「すごいいっぱいメニューがあるね」


鞠愛はご機嫌でデザートを吟味している


「あ、枸杞クコの実入りライスミルク粥ココアパウダーがけだって」


「珍しい〜」


ぎくっ、ミルク粥…まずそ


「枸杞の実美容にいいんだよね」


「私これにする〜」


マジか


「ねえ、貴ちゃんはどれにする?」


そう言って鞠愛はメニューを渡してきた


あーほんと、ここデザートメニュー充実してるな


ん〜でも俺、何を頼んでもミルク粥食べることになりそうな気がする


あ、俺これにしよう


鞠愛の好きな…


「鞠愛、俺洋梨のクラフティーにするよ」




追加注文したデザートが運ばれてきた


鞠愛は早速それを撮影


そして一口食べてうつむいた


「貴ちゃん…あの…」


はいはい鞠愛替えてあげるよ













おしまい











































と、見せかけてもう一つおまけ











【オマケのおまけ】鞠愛狩りに行く



「ゴホゴホ」


「う…懲りた…」


「今度という今度は」


「何度同じ失敗をしてきたんだろう、私」

「ゴホッ」



「鞠愛、どうしていつも浮気男をつかまえちゃうかねぇ」


「あんた面食いだからね」


「どうしてもいい男は浮気のリスクがつきまとうよ?」


「この際、路線を変えて有馬君とでも付き合ったら?」



「ううーん、有馬君いい人なんだけどなんか…」

「ゴホゴホ」


「好みじゃないっていうか」



「有馬君性格いいじゃん」


「資産家の息子だし、鞠愛にめっちゃ惚れてるし」



「うーんでもなんかちょっと…」

「ゴホッ」



「鞠愛、面食いは幸せになれないよ?」


「って言うかあんた彼氏と別れるたびに大風邪ひくね」


「病院行って見てもらいなよ」



「ヤダ、注射でもされたらどうするのっ」

「ゴホゴホゴホゴホ」



「…私が小さいときから通ってる病院の先生めっちゃ注射上手いよ?」


「ボロい病院のおじいさん先生だけど」


「え?いつ注射したのって感じ」



「ほんと?」



「ほんとほんと」


「場所教えてあげるから行ってみたら?」


「注射してもらって早く風邪治して狩りに行きな」



「狩り?」



「そう、いつも狩ってるじゃん彼氏を」



「やだ、人を肉食女子みたいに言って〜」

「ゴホゴホゴホ」



あら鞠愛、自覚無いのね…



「いいから早く風邪治して、私に移す前に」



「わかった、じゃあ病院行ってくる」





やだ、ほんとこの病院ボローい


わ、ドア重い〜


あ…冷えピタ貼ったお兄さんがドア開けてくれた


うつむいて手で中に入れって…


優しい…


あ…お兄さんヨタヨタ歩いて行って椅子にへたり込んだ


重症じゃん



うん、ちょっといいな、あの人


付き添いの人…いないのかな


チャンス


よし、捕まえに行こう

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