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ハードル

しかし貴ちゃんもよくその性格でいぢめとかに会わずやってこれたね?」


居間でもぐもぐたこ焼きを食いながら凶暴な妹が言った


「お兄ちゃん頭良かったでしょ、ちょっと悪い子にも勉強教えてあげたりしてたから守ってもらってたのよ」


もぐもぐたこ焼きを食べながら母さんが言う


「貴大はねー教えるの上手だから教師とかになればよかったんだけど」


「無理か、その性格じゃあ」


「ははは…」


ふん、ほっといてくれ


俺はメンバ作りの技を磨いていつかは黄綬褒章とかもらうんだから


「けど…まさか貴大に彼女ができるとはね…」


「奇跡は起こるものなのよねえ」



「貴ちゃん、鞠愛さんに捨てられそうになったら、泣いてすがるんだよ?」


「捨てないでーって」


うーんそんなことできるかな、俺


しかし女ってたこ焼き好きだな


この母さんと妹の満足げな顔


鞠愛のおしゃれな友達もたこ焼きの列に並んでいたし…


ふふっ


鞠愛もたこ焼き好きなのかな


話題にのぼったことないけど


今度、鞠愛の家に遊びに行くときお土産に持って行ってみようかな?




俺のお土産のたこ焼きは鞠愛の母さんにも好評だった


なんか今日はすごく愛想がいい


やっぱり年齢を問わず女は粉ものが好きなんだ…


それにしても鞠愛のお母さんが煮出した麦茶すごく美味しいな


さすが人を招き倒してるだけのことはある


きっとホームパーティーのときテーブルに並んでいた料理もおいしかったんだろうな


俺は緊張で味を感じることができなかったけど…


リビングで三人でたこ焼きを食べ終わった後


「貴ちゃん、TSUT○YAから初代ゴジ○のDVD届いてる」


「見よ?」


と鞠愛が言った


あ、鞠愛、この前シン・ゴジ○一緒に見に行ったとき俺が初代のヤツ見たいなって言ったの覚えていて借りてくれたんだ


嬉しいな、こうやってさり気なく自分の希望を拾ってもらえるのって


自分を想ってくれる人がいる幸せを感じる


…想って…くれてるんだよね?




鞠愛の部屋に入るとき、ちょっとこの前のことを思い出して緊張した


それにしても


「ねえ、今日鞠愛の母さん機嫌良かったね」


「たこ焼きの効果かな」



「ふふっ、そうじゃなくって…」


「この前のパーティーで貴ちゃんお母さんの友達を一生懸命接待してくれたでしょう」


「嬉しかったみたいよ」


「お母さんの友達、若い男の子といっぱいお話ができたって喜んでくれんだって」


接待?


接待してもらったのは俺の方だと思ってたんだけど




鞠愛の部屋で見た初代ゴジ○怖かった


山の向こうからぬっと顔を出すシーンなんかが特に


そんな感想を話し合ってるとき、ああ、鞠愛と話したいのはこんなことじゃないなと思った


思い切って話を切り出す


「鞠愛、俺たち鞠愛が東京に行ってからも付き合っていけるかな?」



「なに、突然」



「だって鞠愛と俺違いすぎる」



「んー、そう言えばそうだね、じゃっ別れよっかっ?」


衝撃で後ろにひっくり返りそうになった


墓穴掘ったっ!!!!!


「嘘、嘘」と言って鞠愛が笑った


「大丈夫、ずっと付き合って行けるよ」


「貴ちゃんはさ、私の理想だもん」


え?俺が?


「私、貴ちゃんの顔が好き」


は?


「で、その顔利用しないで生きているところが好き」


「あと手も好き」


そう言って鞠愛は並んでベッドに座っている俺の手を取った


「この木に水分を取られたガサガサのささくれだった手が好き」


「真面目に生きてまーすって感じの…」


鞠愛…


どうしよう、泣きそうだ


「ずーっと一緒にいたいって私は思ってるよ?」


そう言ったあと鞠愛特有の愛嬌がすっと消た


そして眼光鋭く「浮気したら殺すけどね」と言った


鞠愛…


思わず抱きしめてしまった


あ…こんな俺にも種の保存に対する欲求があるんだって気付かされる


そこに階段を昇って来るお母さんの足音


ぎゃっ


慌てて鞠愛から離れて腰掛けていたベットから降りて小さなローテーブルに着く


不自然に正座してしまう


ノックのあとお母さんが部屋に入ってきて「お取り寄せした梨が届いたから剥いたの、召し上がって」とテーブルに皿を置いた


それを見て「わーい」と鞠愛が言った


お母さんのパタパタというスリッパの足音聞いたときは「もうっ」って言ってむっとしてたのに梨を見たとたんご機嫌だ


かわいい…梨好きなんだ


鞠愛もベットから立ち上がりテーブル挟んで俺の向こう側に着き、梨に食いついている


「貴ちゃんも食べなっ」といって楊枝に刺した梨を差し出してきた


「あ、いただきます」と梨を受け取った俺にお母さんが


「貴大くん秋に私のベリーダンスの発表会があるの」


「鞠愛と一緒にいらしてね」


と言った


ベリー…ダンス…


ってキラキラしたブラジャーと薄いスカートだけでお腹や腰くねらせてアラビア風に踊るアレ?


う、わー


万年思春期の俺にそれを見ろと?


また新たなるハードル出現


けど…頑張る


こうして出走路に現れ続けるハードルを飛び続ける、俺は


鞠愛とずっと一緒にいるために









『ホームパーティーハードル高すぎ』終わり































そしておまけ漫画












ハードルぴょん

挿絵(By みてみん)


「あらっ、貴大くんいらっしゃい」


「この前は発表会に来ていただいてありがとう」


「お花まで頂いちゃって…なんだか悪かったわ」



「あ…いえ…そんなことないです…」


「あの…お母さん」


「次の発表会は…いつですか?」



!!!貴ちゃん?!


ハマった?!



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