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共通A・正義 組織のハバツ

→ 《やっぱりないと思う》

あれはどう考えても私が見ていたからってだけで、用事ってほどじゃない筈。


→《アンタ誰?》


「それって新手のナンパ?」

「ちがう!……やっぱ忘れてるのか?」

「えっと……」


私はなんとか彼を思いだした。


ついさっき転んだ人を見かけたので、声をかけた。


「あの、さっきは恥ずかしいところを見せてすみません」

「いいえ、大丈夫でしたか?」

「はい……あの」


私が去ろうとすると、引き留められる。


「もしかして貴女は東盤上〈とうばんじょう〉高校に通っていませんでしたか?」

「はい卒業してから二年になりますけど」

「俺もそこの卒業生で……」

「そうだったんですね」


《どこかで彼を見たような気がする》

《違うクラスか学年だったのかな》

《案外同じクラスだったりして》


「それじゃ……」

「さようなら」


私と彼はお互いの名も聞かずに別れた。


高校時代の担任の棺先生と再開し、家が無い私を政府組織に連れてきてくれた。

早速入るためのテストを始める。


→《わからない》

それは意味なんてないただの英単語のように見えた。


→《はい》

私は正直で嘘をつく理由がないし意味もない。あまり人と話さないからそういう場面になったこともない。

正直に生きたせいで何にも期待できていないことに耐えられない。


それからテストが終わって、棺先生から食事にさそわれた。


→ 《もしかして奢りなんですか?なんか悪いです。と言いつつ楽しみだと思う》


「もちろん、じゃなきゃ誘ったりしないよ」


何が食べたいかを聞かれ、私は答える。


→ 《特に好き嫌いはないのでお任せします》


「お任せね……なにがいいかな」


食事が終わり、送ってくれると言われる。


→ 《面倒かけてすみません》


「面倒なんて思ってないよ」


じゃなきゃ話しかけない。そういうタイプだって彼は言っていた。


棺先生と別れ、私が歩いていると謎の少年に絡まれた。


→ 《即座に逃げる》


こういう場面で反撃は無駄だからやっぱり逃げないと!


私は仮面男に救われたのかわからないけど、逃げられた。

あの少年を信用するなと言われたけど。


《確かにそんな感じはした》

確かに悪そうな雰囲気はしていたが、さすがに悪魔は過ぎだと思う。


――――やっと無事に戻ってこられた。


→ 《泊まれる部屋ってあるのかな》


「すみません、ついさっき採用検査を受けたんですけど……」


施設内の人に案内され、私は停泊エリアに止まった。


「結果が出たよ!」


棺先生が採用検査の結果表を持ってきた。


「どうでした?」

「採用だって!」


採用されたってことは私は組織の人間になったということ。


「えっと、何をすればいいんですか?」

「そうだね……まず基本は護身術をマスターすることかな。万が一襲撃されたりした時、身を護れなくちゃ大変だから」


襲撃ってなんだか実感なさすぎて、スパイアクション映画みたいなものかな。と思っておこう。



「食事はセルフラウンジで、24時間好きな時に食べられます」

「すごいですね」


私は共同の宿泊部屋で眠った。着替えを買うお金に困っていたら、ポケットになぜか金が入っていたのだ。


ラッキーと思いながら食事や入浴を済ませて、翌日になる。


「じゃあ始めてください!」


軽い柔軟運動をして、まずは受け身の取り方を習ったりする。

普段あまり体を動かすことはしないが、運動神経は大丈夫のようで自分でも驚いた。


「こんなに早くできるなんてな。お前って戦う才能あるよ!」


私に指導してくれる元気のいい同い年くらいの彼は人なつっこい優しい笑顔をみせてれた。

こんな風に人から笑いかけられたのは棺先生以来だ。



「どうも……」


トレーニングルームに音津実が顔を出した。


「やあルトウくん、君もトレーニングかい?」

「はい。久々に一戦どうだジラフ」


私に指導している彼の名はジラフというようだ。まあ彼はどことなくハーフっぽい。


「いいけど、先にこの子に教えてからな」

「ああ、それまで筋トレでもしてるさ」


受け身を覚え、次は攻撃されたときに身を護る方法を教えてられる。


「敵が刃物をもってたら、刺激せず逃げろ。リーチの長い武器があったら敵はあまり近づけないから何かその場で武器になるものを探せよ」

「はあ」


勇者でもないなら、立ち向かわず逃げるのが勝ちということか。


「武器が銃の場合、モップとかも通用しない。だから防弾チョッキとか着ておいたほうがいいぞ」

「はい」


着たことないけど夏は暑そうなのでまあ用意しておこう。


「大体敵は一人より複数のほうが多いから僕も敵役として参加するね」


棺先生が上着を脱ぐと下は肩の出た黒い着衣で、思わず見惚れる。


「はい」

「……前後左右に敵が来たら、逃げられない。こんなときはどうするかわかる?」


「……上に飛ぶとかですか?」

「まあ理論上は間違ってないけど、相当の訓練がいるよね」


―――馬鹿な発言だった。


「じゃあしゃがんで敵の足に攻撃ですか?」

「状況によるけど、そうだね」


「お前は、どうせ、事務仕事、なんだ。そうそう、戦う機会なんて、ないぞ」

音津実が腕立て伏せをしながら言った。


「ま、襲撃される前にオレ達がなんとかするし安心してな」


トレーニングが終わり、私達は各自の持ち場へ移動することになった。

といっても生憎事務は定員オーバーらしい。

私はまだ何をやるか決まっていない為、辺りをウロウロするしかないようだ。

ちょっと外に出ようかななんて思っていると見知った姿をみかけた。


「……あ!」

「昨日の」

「天十丑〈あまどうし〉テイゼです。貴女は月闇あでりさんですよね?」

「そうだけど……」


名前を知っているということは、私を調べたのだろうか。


「あれから卒業アルバムを見たら同じクラスに貴女がいました」

「そうだったんだ」


引越しのとき私のアルバムは持ってこられなかったので確認のしようがない。


「そういえばどうしてここに?」

「私はここに就職できることになって……たぶん事務あたりに」


「そうなんですか」

「天十丑くんもここで働いてるの?」

「いや、俺は父がここの職員だから忘れ物を届けにきたんです」


彼と別れ人気のないところへいくと背筋がなんだかゾクり、嫌な気配が近づいてくるのを感じた。

数秒後、警報アラートがあたりに鳴り響く。もしやこれは敵の襲撃というやつだろうか?


「ねえ、お前の肌を裂いたらどんな色の血が流れてるんですか?」


気配もなにもなく、私の真後ろに私の胸辺りまでしかない背丈の少年がいた。

彼は目の下が黒く、ナイフをぺろりと舐めていかにもヤバい奴だとあからさまに主張している。

ともかく私は彼の問いかけを無視して、逃げることにした。


「まってくださいよ。オレはXOJ〈ルーガ〉っていうんですが、お前の名前はなんですか?」

「……月闇あでりだけど」


―――ドッ!!


「……なっ!?」

「あれ?」


私は気がつくと無意識に敵意を殺し彼の手を蹴り飛ばしてナイフを奪っていた。


「足癖の悪い人ですねぇ……」

「盗んだりしてごめんなさい。これ返すね」


私はそのジャックナイフを取り合えず投げる。


「ぎゃっ!!」


後ろにいた敵と思わしき人間の胸部に突き刺さった。


「あ……」

「どうですか不注意とはいえ初めて人を殺す感覚は」


《ちょっといいかもしれない》

《超最悪だわ》

《これは正当防衛だもんね!》少年はあわれむような目で私を見ている。


「どうしよう。武器を奪うのは正当防衛だし投げたのが刺さったのは単なる事故だし私は悪くないよね」

「独り言全部口に出ちゃってますけど」


「貴様よくもおおお!!」


まだ生きていた奴が起き上がり、サバゲーでいうとゾンビ行為してきた。


私はどうせこの先消えるのだから、何があっても気にしない。

そう思った瞬間、栞が輝き始めた。


――――え?


「お帰り、どうだった?」

「あの私さっきまで戻れなくて…て」

「最後まで話を聞かないからだよ。その栞はこの世界の住人になりそうな人間を見つけるか、命の危機になるまでは発動しないんだ」


ああだから使えなかったんだ。と納得したはいいが、あれからどうなったんだろう。


「じゃ、また頑張ってね」

「あ、はい」


再び栞を使って、私はさっきの世界へ戻る。

―――栞に文字が浮かんだ。


◆貴女の考える善とは?


【天使】

【自分の信じるもの】

【正義〈ジャスティス〉】

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