第十話「和解?」
前回のミニタイトルの内容を変更しました。
「説明してもらうわよジル」
正座するジルをゴミを見る目で見下ろすリアネル=ミッデルド。
リアネルが若くして建てた立派な一軒家に朝から呼び出されたのだ。
レンガ造りの温かみのある外観と色とりどりの花が咲く小さな庭。
家の中は綺麗に整理整頓されており、白い壁はより一層部屋を大きく感じさせる。
リアネルは白のブラウスに首元に新緑色の細いリボンが結んであり、スカートにもリボンと同じ新緑のシンプルなスカートを履いている。
「せめて服は着させてくれ」
相対するジルは水と白のシマシマパンツ一枚である。
「ダ、ダメよ!世間様に変態扱いされたされたくなかったら、大人しく質問に答えなさい!」
顔を僅かに赤くしながらも、決まったと満足そうな顔をする彼女にはぁとため息を吐く。
「まず昨日の酔っ払いはヴェルティアという名で、槍の扱いだけならかなりの使い手だ。後は外見だけよくて中身が最悪なくらいのアホだ。えーと後、俺が冒険者になったのは成り行きであいつと組んだからだ。正直商人やってる頃より儲かってるかもしれん。」
「・・・・・ふむふむ。つまりヴェルティアさんとやましい事はしてないのね?」
(俺とあいつがやましい事?あるわけ・・・・・あっ)
記憶に残るヴェルティアの女体の感触と生まれたままの姿、そして同じベットでお互い裸で寝ていた事がフラッシュバックする。
「!その顔はあるのねやましい事がぁ!!」
「ゆ、揺らすな!あれは事故でぇぇ」
「事後ですって!?」
「人の話を聞いてくれぇぇぇ」
激しく前後に揺らされ、顔が青ざめていく。
(俺の周りの女って碌なのいないよなハハッ)
コンコン
扉のノック音が家に響き、リアネルが漸く我に返る。
「ジル居るかー?」
「この声は!」
「ちょ!ゲフッ」
ジルが止める前にリアネルが扉へ急ぎ向かってしまう。
ジルはそれを止めようとするが足が痺れ、鼻から床に叩きつけられる。
「来たわねセクハラ女!」
「・・・・・」
扉を勢いよく開け、リアネルは開口一番に強気の口調で出迎える。
ヴェルティアはキョトンとした顔で固まる。
(酒の力がなければこの私がいいようにされるわけがない)
「?」
不思議そうな顔をして頭を捻り、一度後ろを振り返るヴェルティア。
「あんたよ!」
「え?俺?」
「そうよ!」
ヴェルティアとの温度差に調子が狂う。
「あんた誰?」
「は!?」
「おっぱい大きいね・・・・・揉みちぎっていい?」
「な、なに言ってるのよ!?」
「私ヴェルティアよろしくねおっぱい」
「おっぱいじゃなくて私にはリアネル=ミッデルドという名前があるの!」
リアネルはここまでで気づいてしまう。
酒癖が悪いのではなく、元々頭おかしい人だと。
「リアネルね覚えた。あっジル見っけ!」
お邪魔しまーすとリアネルを容易にすり抜け靴を脱ぎ、家に転がり込むヴェルティアの動きは一切の無駄が無い様に見える。
ジルの傍により腰を曲げて話しかけ始める。
「鼻血出てるよ興奮してるのか豚?」
「人を変態扱いするなアホ」
「あれ?てっきりSとMのあれかと察して気を利かしたんだけど」
「要らん気をまわすな」
へへへと無邪気に笑うヴェルティアの横顔は子供のそれだった。
「丁度いいわ、二人の事をもっと聞かせてもらいましょうか?」
玄関の扉の鍵をガチャリと閉め、仁王立ちでこちらを見据えている。
「ん?相棒だぜ!」
「人生の相棒!?」
「またややこしいことに」
ジルは今日も頭を抱える。
=====
「なるほど理解したわ」
「ほっ」
ジルの必死の説得が成功し、安堵の一息を吐く。
「話は決着したのか?」
「なんとか」
隣で槍を磨いていて、なんの役にも立たなかったヴェルティアが眠そうな目で声をかけてくる。
「私も冒険者になる」
「・・・・・え?」
「おお!仲間が増えた!」
リアネルの表情に迷いはない。
リアネルは商人としてそれなりに成功している人物である。
安定収入もあり何不自由ない生活を送れているはずだ。
「きゅ、急にどうしたんだリア?思い付きの行動は後で後悔するぞ」
これは経験談である。
「べ、別にいいでしょ。十分な貯えもあるし魔法も少しなら使えるのよ!」
「よし!なら俺たちと組もう!」
「しょ、しょうがないわね!」
リアネルとは商会の組合に入った頃からの同期で、最初はライバルとして競い合ってきた仲だ。
まあ途中から相手にもならなくなったが。
ジルとリアネルとはもう4年近い付き合いで彼女が変なとこで頑固だということを知っている。
「もうどうにでもなーれ」
床に大の字で寝ころび、お得意の現実逃避で気絶するように眠る。
だが二度もそんな事許されるわけもなく。
スパパパパパパパパパパパパパパパパパッン
「死ぬわボケ!」
「もう寝るなよジル!これから新メンバーの歓迎会をしに飲むぞ!」
ヴェルティアの高速ビンタで強制的に意識を取り戻させられる。
「昼間だぞ?」
「非常識よ!」
2人の抗議うんうんと頷き、2人の腕を掴む。
「「え?」」
「今夜は寝かせないぞ♡」
キャハッとあざとく笑うと2人をひょいっと持ち上げ、お姫様抱っこしジルは右手で足だけ掴む。
「出発進行!」
「きゃああああああ!!」
「ぎゃああああああ!!」
ヴェルティアの速さに驚きのあまりとっさに首に手をまわすリアネル。
そして当然ジルは地面に引きづられる形になる。
リアネル家を飛び出して向かうは酒場デーボックである。
昨晩は比較的に穏やかに過ぎ、ほっと安心するマスターに危機が迫る。
ミニタイトル「順応」
「くはー飲んだ飲んだ!!」
「ええしょうね」
「リアネルって未開通?」
「ぶうううううう」
「?あーしょうだよぉ」
「なんつう話をしてんだお前は!」
「いや胸以外先越されてないかと」
「男どもが皆前かがみになっちまただろうが」
「ジルは?」
「今更」
「そりゃそうだ」




