表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/38

第三話「門~ゲート~」その1

体どこのゲームも、パーティーは六人くらいと相場が決まっている…。

まずハリスとアニ。

テスト会場にいたメンバーは他に、

「さくっとドラゴン倒して、お宝ゲットだぜー!」カリースと、

「いえーい!」その友達のロイド。

ロイドはカリースよりさらに一回り小さい体躯をしているが、ハリスの背丈ぐらいある鉄板の様な大きな剣を背負っていた。

着ているのは鉄の鎖を編んで作られた、文字通りチェインメイル。頭に騎士の兜をしているが、バイザーが取り外されてただのヘルメットのようになっていた。

魔法剣士の【アースマスター】が彼の職業で、土系統の魔法に秀でているとか。

「今日はラッキーな日…大丈夫、大丈夫…大丈夫なのよね…私なんかがいても…」

五人目は早くも暗くなっているラミエ。

「前衛は任せて!ハイドマスターと言っても私隠れるスキル取ってないから!」

対照にこちらはテンションの高いラフィーリアがいる。彼女が六人目…そして、

「制限時間は今日の夜6時までよー。私が監査官としてついてきますねー♪」

メースが回復と評価の為に同行してくれることとなった。

「さぁさぁ、皆さん集まりましたかー?目の前に口を開けているのが、【青龍の砦】通称【青の洞窟】です。今から9時間でこのダンジョンを突破して下さいねー!」

ブレードから支給されたのは、HPを回復するポーションがいくつかと、MP回復用のポーション、そして何が入っているか分からない箱…。

「ボス部屋前で開けてね★」

メースがにっこり笑った。

その他は直接攻撃を与えるもの【使い捨てナイフやグレネードなど】以外は自由に持ってくることが出来た。

「さぁ、行くわよっ…!」

ラフィーリアが入り口を開けた。

【青の洞窟〜旅人が折り重なる砦〜】

適性戦闘値1500〜1650

戦争時2000〜2200

「もし戦争になったら強制転送で帰りますからねー、気を抜かないでね♪」

「さて、配置は…」ハリスは皆に提案した。「この中で防御が一番高いのは?」

「ロイドだと思うよ?」

ロイドが首を傾けて言う。

「確かに、おねーさんよりは有りそうだよねー」ラフィーリアはロイドを撫でた。

「わーい!」ロイドは喜んでいる。

「じゃあ先頭はロイドに任せて良いな…次に、この場所に詳しい人は?」

「俺とロイドはここでいつも狩りしてるよ?ある程度は知識あるはずだけど…」

カリースが手を挙げた。

「じゃあロイドの後ろにカリースとアニを置く。いいかい?アニ…」ハリスはアニに確認した。

「いいわ」アニはカリースの隣に行く。

「そして二人の後ろにしんがりとしてラミエが立つ」ハリスはラミエを見つめた。

「わ、私っ!?め、メカニクルは防御もあるし、このキャノン砲も斧として使うことも出来るわ!前の方が…」

「いや、ラミエはキャノン砲という遠距離武器を持ちながら接近する敵にも対応できる…」ハリスはラミエの肩を叩いた「もし後ろを取られた場合、君をロイド君の代わりに盾として使うことも出来る。いつもは遠距離で攻撃、背後に現れたら耐えられる人、これはメカニクルの君にしか出来ないんだ!…やってくれるかい?」

「私にしか…出来ない…?」ラミエは突然ぶわっと泣き出した「あぁ…私なんかを信じて…分かった…!このパーティーには決して指一本も触れさせないわ!」

…泣いたかと思ったら炎上しだしたぞ…

「あたしは?」ラフィーリアが長めの片刃鋸のような武器を二つ持って言った。

「ラフィーリアは僕と一緒にパーティーの左右にそれぞれ配置、周りに気を付けながら遊撃する。ハイドマスターの人は状況観察に長けた性格の人が多いって…」

「ん。まぁ私は消えるやつは取ってないけど…確かに敵にバレない一撃を叩き込む為には、常にやってる敵以外の【視線】を見る必要があるのよね…いいわよ!」

「メースさんはどうしますか?」

メースは監査官として来てくれているが、職業上【彼女の職業は防御が低い】真ん中にいた方が良さそうだが…

「あら、私はブレードがブラッディ・ウェポンズを設立する前から一緒にいたのよ?お気持ちは嬉しいけれど、私には気にせず貴方たちだけでやりなさい。」

「了解です」ハリスは頷くと腰の剣を抜いた。「進もう!…我らに光の力を!」

ハリスは[エンチャントスピリッツ]を発動させ、皆の攻撃をアンデットに対して有効にした。通常の敵にも追加ダメージが期待できる万能な術だ。

「へぇ、オーラセイバーか…」銃の弾も光っているのを見てカリースが呟く。

「わ、私も…[精神高揚回路〜零式]!」

ラミエも全体スキルを使用した。

これは確か、ダメージを受ければ受けるほど攻撃速度と威力が上がるスキルだ。

「わーい!強くなったよ!」

ロイドがはしゃぐ。

「じゃあ皆集まって…[スカウトパウダー]!効果時間は短いから、切れたらまた集まってくれると嬉しいわ」

アニはそう言いながら粉の入った瓶をリュックにしまった。

一行はそのまま進む。

しばらく敵が出てこないので、自然と雑談タイムとなった。

「ここら辺の青い水晶って、売れるよ」

ラフィーリアはニヤリとして耳打つ。

「はは…鉱物収集は取ってないよ…」

ハリスは苦笑して返した。

「カリースと二人で来るときは、いつも鞄いっぱいに持ってかえってたんだよ!」

ロイドが跳び跳ねながら言う。

「お前は鎧とか兜の中とか、果ては靴の中にまで入れてたよな…」カリースが呆れた目でロイドを見る。

「あっ、大きな水晶、ツイてるわ!…あ、でも今テスト中だから持って帰れない…不幸だわ…」

ラミエは溜め息をついていた。

「お土産は鞄に入るサイズにねー♪」

メースがにっこり笑った。

次の瞬間カリースとロイドが近くの水晶に突撃する。瞬く間に拾い集め、ここ周辺はただの洞窟となってしまった…。

「先生!鞄に入りました!」

カリースがメースに敬礼する。

「カリース君、ポーション見せて?」

「はい!…はっ!?水晶で取れない!」

「…」メースはにっこり笑った。「カリース君、程々に…ね…?」

「先生!兜の中に入りました!」

ロイドがメースに敬礼する。

「あらあら、先生は鞄に入れてと言ったんだけど…?」

「じゃあこうか」ロイドは兜を脱いで鞄の中に入れた「どうです!ばっちり★」

…アホがいる…。

「…!」ハリスは何かの気配に気づく「皆!何か来る!戦闘準備だ!」

「う…嘘!なんて不幸なの…!」

ラミエが腰だめにキャノン砲を構えた。

「そういえば、ここは確かゴブリンの出る場所だったよな…ゴブリンの弱点は…」

カリースが持ち弾を調べていた。

「風…それと雷よ」アニが特殊な弾丸を一発ずつ銃に込めている。

「了解!我が剣よ!覇者を縛る鎖となれ![ブレイドバースト・ライトニング]!」

ハリスの剣がパチパチと青く光る。

…この技が現代にあれば、電気枯渇やら原子力発電とか問題にならないんだけど…

次の瞬間、カリースぐらいの人影が5人、こちらを見つけ飛びかかってきた。

洞窟の薄暗さで鮮明には分からないが、言語からして【ゲームの時とボイスが同じだ】ゴブリンに間違い無いだろう。

「ラフィーリア!ゴブリンが後衛に回り込まないように止めるよ!」

「任せなさいっ!」ラフィーリアは一体のゴブリンと交戦している。

ハリスも片手斧で武装したゴブリンと打ち合う。 …相手が感電した。

慌てて跳び上がるゴブリンに、榴弾が命中する。ゴブリンは吹き飛び、ロイドの範囲攻撃を受けて倒れた。

「あ…当たった!ラッキー…!」

ラミエが呟いて再装填を開始した。

「まだ4体…」アニはロイドが相手している二匹のうち、体力がある方に走った。

アニが前に出た事にカリースが気づいたが、ハリスはカリースに言った。

「いや、アニは気にしなくていい。カリース、ラフィーリアの援護に!」

「オッケィ!」カリースはガトリング砲をラフィーリアの敵に向けた。

「うひぃー…数が多いよぉー!」

ロイドのHPが半分を切った。

駆けつけたいがラミエと一体を相手している。それにアニが向かっているはずだ。

アニはロイドの隣に来た。

追い越し様に耳元で呟く。

「…範囲魔法で追撃して」「…うん!」

アニは二匹の近くに滑り込むと、銃を構えて引き金を引いた。

「[バウンドショック]!」

二匹の間に風圧の塊が発生して爆発し、

二匹がかなりの距離吹き飛んだ。

「潰れちゃえ![ロックフォール]!」

二匹の着地点の地面が浮き上がった。

クレーターのようになった場所に二匹が落ちる。ロイドが手を降り下ろすと、クレーターに元どおりに地面が落ちる。

二匹は地層の中に埋もれた。

「[ユーノウアンラッキー]」

ラフィーリアは左の一撃で相手の斧を弾き飛ばし、時計回りに一回転して右で相手の首を弾き飛ばした。

「ナイスキル!」カリースが叫ぶ。

「[レイジング・サーキュラー]!」

ハリスも一撃を放ち、後ろに飛んで位置をラミエと交換する。

怯んだ敵にラミエがキャノン砲の刃を降り下ろす。ゴブリンは動かなくなった。

「追撃しなくて良かった…ラッキーね」

ラミエがハリスに笑いかけた。

トスッ…

その身体に槍が突き刺さった。

「う…あれ…?」ラミエが倒れる。

「ジャベリンだ!ぶっ殺せぇぇ!」

カリースが怒号を上げた。

「ラミエ!」ハリスが駆け寄る。「…っ!嘘だろ…っ!?」

傷口からからかなりの血が出ている…。

ゲームエフェクトじゃ考えられない…

いや…これはきっと一つの現実。

「レベルの高い出血状態にさせる槍ね…」メースも来てくれた。「こんな装備をここのゴブリンが持ってるわけ…まさか…」

「死ね!死ね!死ねぇ!」

槍を持ったゴブリンの死体をラフィーリアが滅多刺しにしていた。

「メースさん…ラミエは…?」

メースは顔に汗を浮かべて言った。

「ねぇ、持ってる医療用品全部持ってきて。今すぐ!!」

ハリスは鞄から包帯や止血剤など、考えられる物を取り出した。

「…あ…う…」ラミエがハリスを虚ろな目で見る「は…りす…君?」

「喋らないの!」メースが叫ぶ。

「ラミエ…気をしっかり持って!」

ラミエのHPは凄い速度で落ちていく。

…もう残りが少ない。

「はは…私…死ぬの…?不幸…だわ」

「喋るなって言って…!」

「でも…最後に…イケメンに見守られて死ねるとか…こんなラッキーな事も…」

ラミエの体から力が抜けた。

彼女の白い髪を、血の海が浸していく…

「うあああ…あああ!」

「落ち着いて!まだ彼女は死んだ訳じゃないわ!仮に死んだとしても、私の復活呪文が…。」メースは黙り込んだ。

…そう、復活呪文は使えない。

「…メース…止血さえさせればいいのよね?」アニがメースに駆け寄った。

「…私はあくまでも回復担当よ。止血は専門外…」メースはアニを穴が空きそうな程に見つめた「貴方にはそれが出来る?」

「えぇ…」アニは包帯を手に取った。

「アニ、一体どうするつもりなんだ」

ハリスは泣きそうな目でアニを見る。

「私には医療のスキルなんてない…けど、リアルでは看護師だったのよ?」

その後はしばらく無言の時間が流れた。

他の仲間も戻ってくる。

静寂を破ったのはメースだった。

「もうスリップダメージを押さえきれないわ…あと持って10秒…」

「くっ…!」汗だくになって包帯を巻き続けるアニ。「…このままじゃ…」

「…!」ハリスはあることに気づく。

ラミエが助かるかもしれない方法が。

…だがその代償はかなり大きい。

成功する見込みもない。…けど!

ハリスは地面に落ちた剣を取った。

「アニ」ハリスは震える声で言う。「すぐに終わらせてくれ。[バイタルリンク]」

「…ハリス!駄目…」メースが止めようと手を伸ばした。

「止めるな!アニ、任せた!」ハリスは光る剣をラミエにそっと当てた。

瞬間、ハリスを強烈なだるけが襲う!

いや、自分の何か大切なものが吸いとられていくような…何か心地よい物と一体化しているような…。

「あ…」ハリスは自分のHPが急速にゼロへと向かっていくのを感じた。

アニがもし止血に失敗すれば、僕もラミエも死ぬ。

そう思いながらハリスは、半泣きで止血に当たっているアニに笑いかけた。

「君なら出来る…ラミエを助けてくれ」

その言葉を最期にハリスは気絶した

【続く】


で、あとがきです。

…えと、最近寒くなって参りました。

皆さんいかがお過ごしでしょうか。

今、猛烈にお腹が痛いです。

えぇ、槍が刺さったみたいに。

皆さんはありません?

自分が丹精こめて作ったかわいいキャラクターが怪我した時、何故か同じ部位が痛くなるとかありません?

私はあります。

お腹貫通ネタはもうグロデビの方でも

【グロウザデビルズです】やりましたが、あのときも思えば痛かった!!

何故、何故やってしまうのでしょう!

痛くなるから止めようとか何故考えないんでしょう!…馬鹿なの?

…馬鹿なの!

…さて、次回もお楽しみに!

感想、お待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ