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ユスティ姫の事情

 


はあ、憂鬱ですわ……


わたくしの名前はユスティ・R・シュベリア。シュベリア王国の第二王女です。

今年でわたくしも16歳となり、ついに成人となります。これは喜ばしいことなのですが、実は一つ、ある悩みがあるのです。


その悩みとは、隣国であり、同盟国の一つでもあるペルセア王国についてです。わたくしは二年ほど前からペルセア王国の第二王子、シュスティン様から、結婚の申し出を受けているのです。


二年前、4年に一度の同盟国内でのパーティーがありました。このパーティーは、同盟国内の親睦と協調を深めることを目的として行われています。前回まではお姉様が向かわれていたのですが、お姉様が他国に嫁がれ、わたくしが行くことになったのです。


そのパーティーには各国の王族はもちろん、主だった貴族の方々もいらしていました。わたくしに多くの方々が声をかけてくださりましたが、皆さんの目が、大小はあれどもとてもいやらしく感じられました。原因はわかっています。


なぜなら、皆様わたくしを見るとまず、胸を見るからです。わたくしの胸は、侍女たちが言うには「爆乳」というものらしいのです。


そして、一番ひどかった方が、他ならぬシュスティン様だったのです。シュスティン様は、キレイな女性を複数侍らせて私に近づいてこられました。いえ、別に女性を複数侍らせるのは構いませんよ?国によっては何人もの妾を持つ国王様もおられますし。


しかし、その女性の方々は化粧が濃く、甘ったるい猫なで声でしたし、何よりシュスティン様の私を見る目が、いやらしく、口元はニマニマと歪んでおられたのです。更に、シュスティン様はわたくしと会話をされる時はいつも、そのような顔をされていたのです。隠そうとすらしておられませんでしたね。


とてもじゃありませんが、まったく好意が持てませんでした。


それどころか、不快にさえ思えたのです。



国に帰国後すぐに、シュスティン様から結婚の申し込みがありました。その時お父様が教えてくださったのですが、シュスティン様はペルセア王国でも有名な遊び人らしいのです。


既に兄君である第一王子が次期国王になることが決まっているため、自由気ままに暮らしているらしいのです。


それからというもの、月に一度は結婚申し込み関係の手紙が届いてきます。陰湿すぎて、いつの間にか、手紙を見るだけで鳥肌が立つようになっていました。


お父様はわたくしのことを思って無理して嫁に行くことはないと言ってくれますが、シュスティン様のところへ嫁ぐことが両国のためになることはわかっています。なんせ、シュベリア王国とペルセア王国は二百年以上も親睦があり、わたくしたちの結婚が両国の親睦をより深めることができるのですから。


確かに、シュスティン様は整ったお方です。背も高く、スラッとしています。彼の周囲の女性も、シュスティン様にうっとりとした視線を向けていました。


しかし、わたくしからすれば、だから?というものなのです。これはシュスティン様に限らず、他の方に関しても同じことが言えます。


どれほど素晴らしい殿方を見ても、胸が高なったり、見惚れたりということは一度もありませんでした。



わたくしが心を奪われたのは、たったの一人、いえ一匹?だけです。



わたくしは4年前のある日、絶望的な状況から助けていただけたのです。龍神と呼ばれる、美しい銀のドラゴンによって。あの方はわたくしたちを助けたつもりはないのかもしれません。ただ通りかかっただけなのかもしれません。ですが、わたくしたちが救われたのはまぎれもない事実。


そして、わたくしは龍神様の美しさに、力強さに、そして、圧倒的な格上の存在に惹かれたのです。


その後、お父様が調査隊を送りましたが、再び龍神様にお会いできる機会はありませんでした。今となってはもう、だれも龍神様を覚えている方はいないでしょう。


ですが、わたくしは一度たりとも忘れたことなどありません。忘れられるわけがありません!


はあ……。しかし、わたくしももう成人となりました。このままでは婚期を逃してしまいます。それは王族として、あまり喜ばしいものではありません。今度、わたくしの16歳の誕生と成人を祝して生誕祭が行われます。なので生誕祭が終わるまでに覚悟を決めなければなりません。



……まあ、シュスティン様と結婚するくらいなら、生贄として龍神様に献上される方が1億倍マシなのですけれど。





ああ……龍神様は今どこで、何をなされているのでしょう。叶うことならば、もう一度だけ、あなた様にお会いしたいです……!


            

少なくてすみません。

今回は少し休憩のようにして書いたものなので・・・

次回から本編に戻ります。

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