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ついに大会開始!!

今日はついに祭り開催日である。外はどこもかしこも人と屋台で溢れており、まだ朝だというのに非常に賑わっている。


現在リュートは闘技場までの道を歩いている。途中、屋台を物色しながら、右手には串焼きが数本握られている。彼もまた、既に祭りを楽しんでいるようだ。


「これ美味しいな……あ、あれもおいしそう」


そうしているうちに、どうやら目的地である闘技場についたようだ。闘技場は古代ローマのコロッセオのような形をしており、入口は人で溢れかえっている。


その一角に机と制服のようなものを着た女性がいる。おそらくそこが受付なのだろう。


「すみません、大会に出場するものです」

「へッ!?」


受付嬢が引きつったような顔で驚く。リュートは計画通り、例のローブと仮面を身に着けている。その姿はやはり異様であり、「怪しい」を体現しているかのようだ。


「あ、あの……名前を……」

「ああ、僕はリュートです」


恐る恐る名前を聞いてくる受付嬢と、どこか陽気に答えるリュート。その光景は、周囲には奇異に見えただろう。それでもなお、二人のやりとりは続く。


「りゅ、リュートさんですね。確認できました。出場者はあなたで最後です。係に従って、控え室に向かってください」


彼女が言ったとおり、係の男性が一人現れた。彼に連れられ、リュートは控え室に向かう。大会前だというのに全く気負った様子はなく、まるで散歩にでも行くかのようだ。


通路は意外と広く、大人3人が並んで歩けるぐらいだった。


やがて、Dと書かれた扉の前で立ち止まる。どうやらここがリュートの控え室のようだ。扉を開け、リュートは中に入る。


中には多くの人がおり、武器や鎧を身に着けていることから、全員が選手だということがわかる。


彼らは皆、リュートに鋭い視線を向ける。新たな敵について、少しでも有利な情報を得ようとしているのだ。そして、各々の行動に戻る。どうやらリュートの格好についてはなんとも思わなかったらしい。


さすがは腕自慢が集まっただけはある。


壁に映像魔法具がつけられている。どうやらそこから試合を観戦できるらしい。会場には大勢の人がおり、上の席には貴族と思われる煌びやかな服を着た者たちが座っている。


(楽しみだなぁ。早く試合が始まらないかな!)


仮面の奥でそんなことを考えているリュート。なんとも呑気な男だ。









 ***


『さ~て、いよいよ始まります!シュベリア王国主催の剣闘大会!司会は(わたくし)、毎度お馴染みのシューベントでお送りいたします!解説は、我がシュベリア王国現宮廷魔法士、エルフのカルニアさんです!ちなみに、カルニアさんは男です!』

『何故性別を……まあいいです。只今ご紹介に預かりました、カルニアです。今日から4日間、よろしくお願いします』

『ではまず、大会内容について説明させていただきます!今回集まった挑戦者は、なんと416人!ここからA・B・C・Dと4つのグループに分け、それぞれ104人ずつに分けられます!今日と明日の二日間を使い、予選のバトルロイヤルを行います!それぞれのグループから勝者はたったの一人です!』

『104人からたったの一人ですか……それは厳しい戦いになりそうですね』

『ですが、それらの戦いは観客を熱くさせてくれるでしょう!3日目は4人の勝者をクジで分け、トーナメントを行います!4日目は決勝となります!フィールドには魔力結界が張られており、フィールド内でのダメージは全て精神ダメージへと変換されます!説明をまとめると、ぶっちゃけ、気絶すれば負けです!』

『ぶっちゃけすぎです。補足すると、気絶した瞬間控え室に強制的に「影転移」されます。』


テンションの高い司会と冷静すぎる解説。対照的な二人の進行役に、観客も苦笑気味である。


『そして、今回のスペシャルゲスト!代々のシュベリア王国国王と友好のあるお方!黒皇竜のメアリー・レイド様です!!』


『ワァァァァァアアッ!!』


その瞬間、一般の観客席から大きな歓声があがる。


そして、王族の横の席から一人の女の子が現れた。


腰まである長い黒髪をなびかせ、黒い大きな瞳で観客を見つめる。中学生ほどであり、いろいろと成長途中のようである。


幼さを残しながら、大人になりかけの色気も持っている。


彼女こそ、六皇竜が一人、黒皇竜の“メアリー・レイド”その人である。


メアリーは無表情で手を振り、そのまま席に戻った。


『ハイ、ありがとうございました!メアリー様!後でサインください!!』

『どさくさにまぎれて何を言ってるんですか。自重してください。ついでにいうと、このフィールドを覆う魔法具、メアリー様からの借り物らしいです」


司会二人の漫才のようなコメントに、観客席からもどっと笑いが起こる。



そのまま進行が進んでいる中、控え室でこの映像を見ていたリュートは衝撃を受けた。


(彼女が黒皇竜?ウンディーネから話を聞いていたけど、まさか本当にこの国にいるとはね)


そう、リュートはウンディーネから聞いていた。六皇竜の中には人間の国で暮らしている者もいる、と。


どうやら、彼女がそのドラゴンのようだ。


(後で直接会えないかなぁ……ん?)


リュートが思考にふけていた時、フィールドに変化があった。最初の予選、Aグループの選手たちが入場してきた。


種族にばらつきはあるが、皆各々の武器を手に取って殺気立っているようだ。中には魔法使いらしき人物もいる。


(いよいよか……誰が勝ち残るのかな?ぱっと見、あまり強そうな人はいないんだけど……)


リュートは食い入るように映像を見ている。他の選手たちも試合が気になるらしく、リュートと同じく見入っている。


『では、そろそろ始めたいと思います。予選Aグループバトルロイヤル、かぁぁぁぁいしぃぃぃぃいいッ!!」


今、司会のシューベントによって、戦いの火蓋が切っておろされた。







 ***


「隊長、試合が始まりました。」


「ああ、計画まで残り3日だ。全員、それまでおとなしくしていろ」


「「「はッ!!」」」


部下たちに指示を出し、隊長と呼ばれた男はシュベリア王国へと向かう。隊長自ら敵地へ潜入するらしい。


一般人が着ているような服装へと着替えており、シュベリア国民に自然と馴染んでいた。


隊長と呼ばれるだけあって、潜入はお手のものらしい。



(どうやら今大会の出場者は、これまでよりも強者が多いらしいな。やはり、任務は手こずりそうだ……)


男は街のいたる所に設置されている映像魔法具を見ている。そこでは多くの男たちが勝利を求めて激しく闘っている。


(ふん。せいぜい今はに楽しんでいろッ。3日後、その間抜けな顔は、絶望へと変わるだろう)


男は周囲にバレないように気をつけながら、暗い笑みを浮かべていた。どうやら彼らの「切り札」とやらは、それほど恐ろしいもののようだ。


(待っていろ。ガルド国王!いずれこの国は、我々ウェスペリア帝国のものとなるのだ!)



今のリュートは龍神に比べてかなり弱くなってます。それでも異常な強さ、それがリュートです。

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