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4話

「よう。お前らがリコの教え子か」

『岩船学園』と学校名が刻まれた石造りの校門の正面、

休日ということもあって人の出入りも少ないそこで待ち人をしていた

二木、海菜、詩織の三人娘は突然かけられた男の声にまず驚いてビクン!と体を小さく跳ね上げて

「は、はいそうで・・・ひぃ!?」

「「?!」」

声のほうに振り返りながら最初に返事をしかけた海菜の悲鳴に

二木と詩織もつられてまた体を跳ねさせてしまった。そこにいたのは声の通りやはり男性。

ただしスーツ姿で肩には抜き身の日本刀、顔まで含め体のあちこちは傷跡だらけで

とどめとばかりにサングラスまでご着用なさっている。一言で言い表すなら・・・

「ヤクザ?」

「極道?」

「マフィア?」

「初対面のくせに酷いな、嬢ちゃんたち」

第一印象のままストレートに危険な香りのする単語を列挙していく少女たちに、

だが男が返した声音は自嘲めきつつも穏やかだった。

「す、すいません!いきなり失礼なことを・・・」

「いいっていいって慣れてるし。顔見た途端いきなりダッシュで逃げないだけ

嬢ちゃんたちは度胸があるよ。うん、まず第一条件はクリアだな」

心なしか嬉しそうにうなずき、ニヤリと笑うその表情は意外に柔らかい。

ベテラン俳優のように重みのあるのに同時に少年のようなエネルギーを感じさせる不思議な笑み。

「俺は時葉湊(ときはみなと)。時間の(とき)に葉っぱの葉、

そんでサンズイに演奏の奏で(みなと)。今はこの岩船で教師なんぞをやってたりする」

年下の少女たち相手にもしっかりとした物腰で自己紹介していく湊を見ているうち、

少女たちの側も本格的にショックから回復し終える。

「あ、これはどうも丁寧に・・・えっと、私、一森二木って言います。二年生です。

それでこっちの二人が・・・」

「ども、神食淵(かみくいふち)詩織(しおり)です。なにとぞよろしゅう」

海菜(みな)よ。姓は陰山(かげやま)華雲(かくも)高校二年、

好きな言葉は『切磋琢磨』。よろしく、湊先生?」

三者三様の自己紹介に湊はいちいち相槌を入れ、忘れないように頭の中で名前を反芻する。

「っよし、じゃあ一森に神食淵に陰山、来て早々であれだが、早速部室に案内しよう」

やや上ずったような興奮の色が垣間見える声で言い、湊は肩の日本刀で小さく肩を叩いた。

「我が岩船学園AT部の部室に」


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