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溺れるほど、きみが好き~国民的アイドルと初恋の幼馴染に奪い合われて、困ってます~  作者: 桜 こころ


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第33話 【あきらside】――強い想い

 小森さんがこっぴどく叱られたあと、撮影は一時中断になった。

 俺はひとり廊下に出て、近くの椅子に腰を下ろす。


 心の底から、深いため息がこぼれた。


「あきら」


 スタジオから出てきた小森さんが、心配そうに歩み寄ってくる。


「どうしたの、調子悪い?」


 そう言いながら、隣へ腰掛けた。

 肩がかすかに触れ、俺はそっと距離を取った。


「……やっぱり、星ちゃんのこと?」


 はっと顔を上げる。

 目が合った瞬間、小森さんの瞳が鋭く細められた。


「前から言ってるけど。あの子、あきらにとってプラスになるのかな。

 逆にマイナスになってるんじゃない?」


「ちがう! そんなことない!」


 思わず声を荒げた。

 静かな廊下に、俺の声が響く。


 小森さんは目を丸くし、気まずそうに視線を逸らした。


「べ、別に今すぐ別れろなんて言ってない。

 あなたがどれだけ入れ込んでるか、知ってるし」


 そこで言葉を切る。

 重たい沈黙が落ちた。


 やがて、小森さんが静かに口を開く。


「でもね、見ていられないの。

 あの子のせいで、あなたが苦しんでるの」


 俯いていた俺は、顔を上げ呆然と見つめる。


「なに……言ってるんだよ」


 かすれた声が漏れる。

 小森さんは優しい目で微笑んだ。


「私はあなたの成功を祈ってる。全力で支えたいと思ってるわ。

 だから、あなたの邪魔になるものは排除しなきゃいけないの」


 そこで一拍、間を置き。


「星ちゃんは“お荷物”になるかもしれない」


 その一言に、頭の中が真っ白になる。


「小森さん!」


 カッとなり、全身が熱くなる。


 星のことを“荷物”だなんて、そんなふうに思ったこと、一度だってない。


 俺が睨みつけると、小森さんは悲しげに眉を寄せた。

 一瞬、胸がちくりと痛む。でも。


 次の瞬間、彼女は俺の手を強く握った。


「ごめんなさい! 本当は言いたくなかった。

 でも、見ていてわかるの。

 あきら、星ちゃんのことで集中できなくなってるでしょ?」


 耳が痛い。

 確かに思い当たることばかりだ。言い返せない。


 でも、それは星のせいじゃない。俺が弱いからだ。

 彼女を悪く言うなんて、絶対に許せない。


 小森さんが視線を伏せ、ぽつりとつぶやく。


「あの人、幼馴染の彼もいることだし。

 星ちゃんの幸せも、考えてあげたら?」


 幼馴染……本条守。

 あの男の顔が脳裏に浮かび、腹の底が熱くなる。


「どういうことだよ」


 声が震える。怒りを抑えきれない。


「星ちゃんだって大変でしょ? あきらと付き合うの。

 息苦しいんじゃないかしら。

 だから、あの幼馴染と――」


「そんなことない!

 俺たちのこと何も知らないくせに、わかったような口を聞くな!」


 叫んでいた。止められなかった。

 そのまま立ち上がる。


「あ……ごめんなさい」


 慌てて伸ばされた手を振り払うと、俺はスタジオへと歩き出した。


 わかってる。

 星にとって、俺と付き合うことがどれだけ大変か。


 普通の恋人みたいに、堂々とデートできない。

 外へ出るとき、俺は常に帽子とマスク。

 服装だって、彼女はわざと地味にしてくれてる。

 本当はおしゃれしたいだろうに、俺のために我慢してるんだ。


 会える時間だって限られてる。

 それでも星は、文句ひとつ言わずに笑ってくれる。


 ……愛しい。

 そんな君が、たまらなく愛しい。


 優しくて、まっすぐで、いつも一生懸命な君が大好きだ。


 俺は星と一緒にいたい。

 誰にも渡さない。


 あの男にだって、絶対に渡すもんか。


お読みいただきありがとうございます!完結に向けて、毎日更新中です。

「続きが楽しみ」と思ってくださったら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で応援いただけると励みになります。

完結後には新作も予定しています。最後までお楽しみください。

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