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溺れるほど、きみが好き~国民的アイドルと初恋の幼馴染に奪い合われて、困ってます~  作者: 桜 こころ


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第31話 すれちがい?

「小森さん?」


 あきらの目が見開かれる。


 すぐに車のドアが開き、中から小森さんが姿を現した。


「あきら……探したわよ」


 少し不機嫌そうに眉を寄せ、颯爽と歩み寄ってくる。

 その美貌と色気、そして大人の余裕。いつ見ても圧倒される。

 美人で、仕事もできて、しかも色っぽい。


 私にないものばかり持っている彼女が、正直うらやましい。


 目の前に立つと、ふわっといい香りが鼻をかすめる。

 大人の女って感じ。


「はぁー、困るのよね。いつもいつも勝手な行動ばかりされちゃ。

 今日は午後三時までって約束だったわよね?」


 ため息まじりの声。美人って睨むと迫力あるよね。

 あきらも、うっと言葉に詰まった。


「ご、ごめん。わかってたんだけど」


「――だけど?」


 ぐいっとあきらに詰め寄る小森さん。

 二人の距離が近すぎて、焦る。


 そ、そんなに近づかないで!


「どうせ、この子のことでしょ?」


 冷たい視線が、ちらりと私を射抜く。

 その瞳の奥に、はっきりと敵意を感じる。


 やっぱり小森さん、私のこと……。


 あきらが一歩前に出て、私と小森さんのあいだに立つ。


「星に責任はない。俺が勝手にしたことだ。俺が一緒にいたかったから」


 ばつの悪そうな顔で、ちらっと私を見るあきら。


「あきら。もしかして、仕事が入ってたの?」


 問いかけると、彼は気まずそうに目を逸らした。

 答えを聞かなくてもわかる。


 あきらは仕事を後回しにして、私のそばにいることを選んだんだ。

 前にも、そういうこと何度かあったよね。

 そのたびに小森さんに叱られて。


「なんで? そんなことしないでって言ったのに」


 胸が苦しくなる。

 あきらの邪魔になりたくない、そう思ってるのに。


 だから、ついきつい言い方になってしまった。


「だって、あんな状態で帰れるわけないだろ?」


 頬を膨らませ、そっぽを向くあきら。


 あんな状態って、守兄のこと?


「それでも! 仕事をすっぽかす理由にはならないよ。

 たくさんの人があきらを待ってるんだから……必要としてるんだから」


 そう。あきらは、私だけのものじゃない。

 わかってる、ずっと前から。


 私の剣幕に、あきらが悲しそうに顔を歪めた。


「な、なんだよ。俺は――」


「はい、はい。痴話げんかはそこまで。

 ここじゃ目立つし。とにかく、あきら急いで」


 小森さんがすっとあいだに割り込み、あきらの背をぐいっと押す。


「わ、わかったよ……」


 押された勢いか、それとも落ち込んだからか。

 あきらはしおらしくなり、とぼとぼと歩き出した。


 彼の背を押しながら、小森さんがこちらを振り返る。


「じゃあ、あきらは連れていくわ。またね」


 どこか勝ち誇ったような笑み。

 そのまま彼女は運転席へ。


 後部座席に乗り込もうとしたあきらが、ふいに振り返った。


 目が合う。悲しそうな瞳。


「……またな」


 それだけ言い残して、あきらも車に乗り込んだ。


 エンジンの音がさよならを告げているように感じる。

 車が発進すると、私はその場に立ち尽くし、静かに見送った。


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