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第43話 試練が来る

ほのかが手を挙げた。


「受付さん、質問!」


「何?言ってみなさい」


ほのかは首を傾げながら言う。


「日本って、探索者結構いますよね?」

「この支部だって、そこそこ探索者見ますし」

「なのに、なんでダンジョンであんまり他の探索者に会わないんですか?」


しずくも気になっていた。

ミコトも、少し目を細める。


(確かに…)


「ネットゲームで最初にサーバー選択するじゃない?」

「同じ世界なのに、別の“箱”に入るみたいな」


「それと同じ」


ほのかが目を丸くする。


「え、マジでサーバー分け?」


受付嬢は肩をすくめる。


「これも研究の末、多分こうだろうなぁってやつ」

「あくまで現時点で、一番説明できる理由ね」


そして、核心。


「階層ごとに入れる人数が決まってて、それを超えると別サーバーに入るみたいなもの」


ほのかが指を鳴らす。


「なるほど!だから入口は同じでも中で合わないんだ!」


「3層までは規模が小さいから、箱が小さい。結果、あまり他の探索者は見ないかもね」


しずくが小声で納得する。


「…人が少ないんじゃなくて…箱が分かれてる」


受付嬢は指を立てて締める。


「4層からは箱の容量が増えるのか、そこそこ入れるっぽい」

「だから、他のパーティーとも遭遇するようになる」


ほのかがニヤッとする。


「お、やっと“他パ”イベント来る?」


受付嬢が笑顔のまま釘を刺す。


「まあ、揉めないようにね」


ミコトが即、真顔で頷く。


「…はい。ルール確認が必要ですね」


しずくは、胸の奥が少しだけざわついた。


(他の探索者…)


怖い。

でも、会話の練習にはなるのかもしれない。



「そうそう、初級探索者になったから、探索者アプリの機能が一つ解放される」


ほのかが身を乗り出す。


「なに!?新機能!?」


「クエストボードよ」


クエストは大きく2種類


1.収集クエスト(素材集め系)

「錬金術師、鍛冶師、あと素材が欲しいパーティーとかが、素材収集の依頼を出してる」


・アプリで依頼をタップして受注

・集めたら協会窓口で納品

・報酬は自動で振り込み


「分かりやすい!バイト感覚!」


しずくは小声で。


「…納品だけなら…できそう」


2.調査・護衛クエスト(研究者系)

「ダンジョン研究者からの依頼。

フィールドワークの護衛とか、内部調査とか」


ミコトの目が真剣になる。


「情報が手に入るタイプですね。危険も増えますが」


「クエストボードは使いやすいわよ」

「例えばあなた達なら、3層をタップすれば3層の依頼だけが出る」


「自分達の到達階層までのクエストしか表示されない。無茶な依頼が流れてくることはない」


「なるほどね。初心者保護機能つき」


しずくは、胸の奥が少しだけ温かくなる。


(チュートリアルが終わっても…仕組みはちゃんとしてる)


「で、3層なんだけど、触りだけ説明する」


受付嬢は、指で空中に簡単な地図を描くみたいに説明を始めた。


「3層は礼拝堂」

「巨大な礼拝堂が、まるごとダンジョン化してる」


構造はこう。


地下に1階(地下墓所)

礼拝堂本体が1〜4階(礼拝堂が“4階建て”になっている)

ボスは最上階=4階の奥

あとは外周。


ほのかが目を丸くする。


「え、縦ダンジョン!?」


「そう。で、地下は寄り道エリア。地下墓所になってて、アンデットが多い」


ミコトが呟く。


「ホーリーライト…」


しずくが小声で繋げる。


「出番…」


「空がある。常に夜」

「でも月あかりがあるから、そこまで真っ暗じゃない」


「礼拝堂の内部は、燭台とランプの灯りがある」

「雰囲気は…まあ、幻想的。怖いけどね」


ほのかが腕を組む。


「雰囲気良すぎて逆に怖いタイプ」


「あとね。礼拝堂は湖の真ん中。大きな浮島の上に存在してる」


しずくが小さく言った。


「浮島…?」


「そう。外周の景色もある。落ちたらどうなるか?知らないほうがいい」


受付嬢がペンを置いて、結論みたいに言った。


「3層は、景色も構造も変わる。敵も変わる」

「ここから先は、潜る理由が必要になるわよ」

「金、名声、研究、修行、何でもいい」


ほのかが笑顔で答えた。


「うちらは友達作りと生活と、あと…ちょっとだけロマン!」


しずくは小さく頷いた。


「…うん…ロマン」


ミコトが静かに笑った。


「私は…修行と、皆さんが無事に帰るために」


3層、そしてクエストボード。


“本番”の扉が、もう目の前にある。



受付嬢が手を叩いて締めに入る。


「まあ、これで講義は終わり」

「カードの更新も終わってると思うから、カウンターで貰っていくのを忘れないように」


ほのかが元気よく立ち上がる。


「はーい!先生ありがとうございました!」


ミコトも丁寧に頭を下げる。


「貴重なお話、助かりました」


しずくは小さく頭を下げた。


扉が開いて、支部のざわめきが戻ってくる。

三人はカードを受け取ってから、外へ出た。


夜風が気持ちいい。

街灯がやけに明るい。


ほのかはもう、テンションが上がっている。


「よし!明日から3層!礼拝堂!」


歩きながら、くるっと回る勢い。


「その前にさ、クエストボード覗くのもいいね!」

「素材採取もあるんでしょ?光ってる草とか鉱石とか!ロマンじゃん、ロマン!!」


しずくは、前髪の奥で小さく頷く。


ミコトも静かに微笑む。


「よし!明日作戦会議!」


しずくが、小声で言う。


「図書準備室…」


「それ!放課後、図書準備室集合!」


二人の足取りが軽くなる。

次の冒険が楽しみで。


その時。


ミコトが、無慈悲に言った。


「中間テスト、近いですよ」


ほのかの足が止まる。


「…え?」


しずくも止まる。


「…え…」


「来週から範囲表、出ます」


ほのかが天を仰ぐ。


「ダンジョンより強敵きた…」


しずくは小声で現実に戻る。


「灰色の青春…テスト…」


ミコトが、にこっと笑った。


「勉強も、パーティー行動です。計画的にやりましょう」


「はーい」

「うん」


そして、三人の笑顔が夜道に溶けた。


冒険は続く。

でも現実も追ってくる。

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