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ながら勉強!!1

 

「やっぱこれ、おかしいよな。」

(おかしいです。)

「だよね・・・」

「(・・・・・・・)」


 現在、俺は建築に使うための木材を荷馬車から建物の修復現場まで運んでいる。

 午前中は、アルマが魔術を使って樹木の伐採と運搬、魔獣が襲ってきた際の対処を行った。アルマの魔力量が限界に近づいたので、昼休憩の間に俺に入れ替わった。


「昨日の作業から、おかしいなとは思ってたんだよな。異世界人は体のつくりが違うからなのかって」

(それはないです。私、こんな大きな木材もち上げられません。)


俺は今、2メートルほどある丸太を一人で持っている。

直径は30~40CMくらいだろうか。


「でも、同じくらいの木材を運んでる人もいるけど、」


 そう、昨日の作業中に疑問に思ったが、深く考えなかった理由は、村人の何人かは俺より重いものを運んでいたし、冒険者の3人に関しては俺の持っている木材の3倍くらいの重さはありそうな瓦礫を運んでいたからだ。異世界補正かと思っていた。


(いや、あれは身体強化魔術、もしくは・・適切な言葉がわかりませんが、言葉を作るなら、・・・【錬気術】を使ってるからです。冒険者の方に関しては何かしらの【リワード】の可能性もあります。)


錬気術、リワード?


「身体強化魔術はアルマが使ってたやつだよな。あと二つは?」


(簡単に言えば、錬気術は気・・・まぁ、実際は魔力なんですが・・それを使って身体を強化する技術です。リワードは身近な言葉にするなら、アビリティやスキルでしょうか。個人に発現する特殊スキルのようなものです。そのリワードの中には身体能力を向上させるものもあります。)


 なるほど、この世界、魔術だけじゃないのか。魔力と気が同じなら、身体強化魔術と錬気術の違いが分からん。でも、話が逸れそうだからあとで聞くことにしよう。

しかし、特殊スキルは熱いな。


「じゃあ、彼らはそれを使えるから力が強いってことか。」

(そういうことです。)

「俺はどれに当てはまるんだろう?」

(それは、用検討です。)

「だよな。それも兼ねての分担作業だしな。」


 どれかが偶然使えるようになったとかだろうか。なにが理由にしろ、力が強くなっているのはいいことだろう。


(動いているうちにわかることがあるかもしれません。)

「おう」


運び終わった丸太を修復中の建物の近くに下す。


「ふう」


 この丸太、どのくらいの重さがあるんだろう。

 本来の俺の体なら運べるだろうか、いや、一瞬持ち上げるのが関の山だろう。だとすると、女性のアルマが運べているのは異常だよな。細かったし。




そんなことを考えていると、修復中の建物で作業していた男性が話しかけてきた。

「■■■■ ■■■■■■■■■■  ■■■■■■■■■■■■■■■■■」

昨日までだったらお手上げの長文だが、今の俺は一味違う。


(この建物はもう木材は十分。次は右奥の半壊している二階建ての建物に運んでほしい。だそうです。)

「わかった。」


そう通訳がいるから。


(では、了解の意味の「■■■■■」で、)

「■■■■■」


そう言って、俺は親指を立ててグッドのサインをした。

すると、男性は笑顔で作業に戻っていく。

伝わったようだ。

 アルマが翻訳してくれるので、コミュニケーションは大幅に改善された。

俺もアルマの復唱で会話している。革命的だ。


 次の木材を取りに荷馬車に向かう。


「ところで、アルマはその、リワードとか錬気術?とか使えるのか?」

(錬気術は一応使えますが、得意ではないですし、練習もしていないので誤差くらいの強化幅です。リワードはありません。)


「そうなのか、身体強化魔術と錬気術の違いって何なんだ?どちらも魔力を使っているなら同じように感じるんだが」

(違いは多くあります。それぞれの特徴はーーーーーーー)



・錬気術

 前衛の魔剣士、剣士の必須技術。

魔力を体内に循環させることで身体能力を強化する。

発動中は魔力を継続消費するが燃費は良い。

 誰でも身に着けられるが、伸びしろは生まれもった才能の影響を強く受ける。

当人の身体能力×錬気術=強化後の身体能力。



・身体強化魔術

 後衛の魔術師が使用することが多い。

錬気術の苦手な魔術師が、その差を補うために用いる。

体内の魔力を魔術として出力した後、付与することで身体を強化する。

自分だけでなく、他者に付与することもできる。発動時に魔力を消費し一定時間で効果が消える。

錬気術より燃費は悪く、強化量も少ないが習得難易度は高い。

 強化量は術師の腕に左右され、誰に付与しても同じ強化量となる。

当人の身体能力+身体強化魔術=強化後の身体能力。


(―――というわけです。例えるなら錬気術が高性能のドーピングで身体強化魔術が低性能のパワードスーツという感じです。もちろん併用もできます。)


と、アルマは長い説明を締めくくった。

「なるほど、『他者に付与できるか』を除けば錬気術の方が優秀と言った感じか。」


(そうです。飲み込みが早くて助かります。ついでにリワードの説明もしましょうか?)


「それじゃあ、お言葉に甘えて」

読んでいただきありがとうございます。

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