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休息

 草原は徐々に農耕地帯に変化し、小さな小屋や遠くで働く人達が見えるようになる。

農作業中の人々の何人かはこちらを見ている。

どう考えても怪しいからな。スーツだし

まぁ、ともかく


(よかったー。これで一安心)

「はい。何とか生還できてよかったです。」


さすがにアルマの声にも疲れが感じられる。


(村にはこんな身なりでも入れる?)

「まちまちですね。排他的な村や治安の悪い地域なら、入れてもらえないかもしれません。」

(そうか、まぁそんなもんだよな。)

「入れてもらえなくても問題はないです。野宿をすることになりますが、人里近くは魔獣も近寄らないですし、これだけ大規模な畑があるなら、大きな町から行商人なども訪れるはずです。」

(確かに、この村がすべてってわけではないな。)

「そういうことです。」


何があってもポジティブに考えよう。

でも、村に入りたいなー。アルマにこれ以上、負担をかけたくないし・・・



 村の周りは木と岩による2mほどの外壁が作られていた。

特に検問のような物はなく、すんなり村に入ることができた。

しかし、村に入ってすぐ、農具を持った中年の男性に話しかけられてしまった。 

やはり、怪しまれたのかもしれない。

そう思ったが、アルマと男性は少し話したあと、男性は何か場所を教えるように町の中の建物をいくつか指さしていた。

そのあと、何事もなく、おじさんは村の外に出ていった。


(どんな話してたんだ?)

「はい、旅の途中だと話したところ、「休んでいくといい」と歓迎してもらいました。あと、宿と井戸の場所、採取した物を買い取ってもらえるお店を教えてもらいました。」

(案外、すんなりいったな。)

「はい。よかったです。」

(あと少しで宿で休めるのかー)

「そのためには、採取した物をお金に変える必要があります。」


もうひと踏ん張りである。

その後、村に停泊していた行商人に毛皮や角などの素材を売った。

ちなみに、この世界で最も普及しているのはベリル硬貨というドラグシア帝国が発行している通貨らしい。ほかにも金貨、銀貨などによる取引も可能とか。

行商人からもらったものも、このベリル通貨だった。

約5200ベリルだそうだ。

どれくらいの価値なんだろうか。

 次に食べ物を購入するために露店に向かった。

小さな村だと思っていたが、農具、衣装、小麦に、パンと干し肉、など、案外様々な露店があった。

 必需品は揃いそうだ。

アルマは丸いパンに干し肉とレタス、玉ねぎを挟んだハンバーガーを二つ買った。

360ベリル支払った。

 購入後、店主のおばさんとアルマが何か話していると思ったら、こぶしサイズのパンを3つ紙袋に突っ込まれた。

 親切な人間の集まる村なのかもしれない。


 パンを見つめていたアルマが決心したように「宿についてから食べます。」と言った次の瞬間に、おなかがキュルーと悲しそうに鳴ったのは聞こえないふりをした。

でも、顔が熱くなるのを感じた。


 そんなこんなで、おじさんに教えてもらった宿に到着した。

宿に一階は酒場になっており、ぽつぽつと食事をしている人を見かけた。

夜にはにぎやかになるのだろうか。

異世界のこういうのは少しあこがれるな。

まぁ、俺は飲み会なんて参加したことないが、

 というか、アルマはお酒が飲める年齢なのか?

俺の感覚では年下に見えたが、しっかりしてるし同い年くらいか?

でも、5年間、地球にいたって・・・

アルマ何歳だよ!! 怖いよ。

 そんなことを考えているとウエイトレスの少女に話しかけられた。

おお、コスプレみたい。かわいい


その後、建物の二階にある部屋に案内された。

 部屋は6畳ほどの広さに、木製の質素なベッドと机と椅子だけがあった。

ウエイトレスが一通り説明をし扉が閉まると、ベッドに腰掛ける。

それほどクッション性はないが、野宿より断然ましだ。

「ふぅ」

(お疲れさま。)

「はい」

・・・・・

・・・

 アルマは紙袋から干し肉を挟んだパンを取り出し無言で口に運ぶ。

ベッドの上で食べるんだ、、

 パン生地はフランスパンのように乾燥しており硬かったが少しの甘味がある。

挟まれている薄切りの干し肉は塩味が効いていて、パンの甘味とマッチしている。

 アルマはそれから、二つ目のパンも食べ終わると数秒目を閉じたあと、大きく息を吐き出す。


「食べ終わりました」

(はい、ご苦労様です。)

「まだ、夕方ですが寝ます。ところで、浅池さんも寝れるんですよね。」

(多分・・・寝れるはず。でも、あんまり睡魔感じないかも。)


でも、体を渡すときに一瞬、寝れたわけだし。


「そうなんですね。私は今にも寝そうです。」

(そっか、ここはいつまで、宿泊できそう?)

(明後日の朝までは大丈夫です。)

「ならゆっくり休めるな。お疲れ様。」

(はい、お疲れさまでした。)


 それから、アルマはベッドに横になり麻布のような薄い掛け布団を体に掛けると目を閉じる。それから、3分もしないうちに体の主導権が俺に移ったのがわかった。

これだけ動いて、丸二日間寝ていないのだから、当に限界が来ていて当然だろう。


目を開けたらアルマも目を覚ますのだろうか。

まぁ、今確かめることではないな。

俺も寝よう。


 古いの木造建築と、少し湿ったようなベッド、使い古した掛け布団は、なぜか心が休まるような匂いがした。


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