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遺跡5


「ははっはっはっ、くはっはっ、はっはっはっは、はっはっっはっくく、ははは、はっはっはっはは」


地面に落下した少女はゆっくりと起き上がったと思うと、先ほどまで鎖が巻き付いていた自分の手を見て大爆笑をしている。


 アルマと少女が何か会話をしていたが、そのあとも少女が笑い始め、その揺れで鎖がちぎれたように見えた。

 いったいなにを話していたかはわからない。

それよりもだ。

これは、封印が解けたとか、そういうパターンじゃないのか?

笑い終えた少女がこちらに顔を向けた。

アルマは動こうとしない。


(アルマ、逃げた方がいいんじゃ。)

「・・・無理です。」


無理ってなんだよ。

少女がゆっくりとこっちに向かった歩き出した。


 距離にしておそらく10メートルほど

アルマが何もしないなら、俺が入れ替わって逃げるべきか?

 でも、少し前にアルマに勝手に入れ替わらないと約束した。

 それに、俺が走って逃げれるようなら、アルマならどうとでもなるはずだ。

任せるしかないのか?

少女が近づくほど、アルマの足の震えが大きくなる。

 俺は、こんなにも役立たずでいいのか?

自問自答を繰り返しているうちに少女が目の前に立っていた。


 改めてみる少女は、どちらかと言えば幼女といったほど幼かった。

10歳にも満たないのではないだろうか。

服を着ていた名残はあるものの、大部分が破れ全裸に等しい恰好をしている。

 さらけ出された白い肌と長く光沢のある白い髪はあまりに美しく、現実離れしていて直視することが不遜な行いのように感じてしまう。


 そんな少女が顔を覗き込むようにこちらを凝視している。

その琥珀色の瞳からは表情は読み取れない。


「■■■■■■■■■■■■?」


 何か言いながら、少女は俺たちが来た通路の方を指さした。

それにアルマはゆっくりと頷く。


 少女はそれを確認するとこちらに背を向け歩きだした。

すたすたと俺たちから遠ざかっていく。

その後、一度もこちらを振り返ることなく俺たちが来た通路の暗闇に消えていった。

ついに足音も聞こえなくなり、遺跡内は再び静寂に包まれた。


え・・・・

はい!?

え、終わり?


 あれだけ、俺たちが警戒していた少女は、何もすることなくどこかに行ってしまった。


「ひぅーーーーーーーーーーーーー」


アルマは大きく息を吐き出したあと、ぺたんと地面に座り込んだ。

何もないに越したことはないんだけど、俺たちの緊張感はなんだったのか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(なぁ、結局あの子は何だったんだ?)

「うーん、悪魔だったような気もします。ですが、悪魔なら私は今頃殺されているでしょうし。違うような気もします。」


 現在、俺たちは階段を上っている。

というのも、少女が崖の方に向かったので、俺たちは当初の目的通りもう一つの扉の方に進むことになった。

そして扉を開けてみると、長い上りの階段があった。

地上に続く保証はないが、それを上っているというところだ。

まぁ、俺は見ているだけだが。


(ところで。あの時、どんな会話をしていたんだ?)


そのあと、俺はアルマとあの少女との会話の内容を聞いた。


(1700年前に閉じ込められたってことになるのか)

「おそらく、そうでしょうね」

(何もないところで生きれるものなのか?)

「普通の人間には不可能ですね。精霊や悪魔なら可能かもしれません。」

(精霊や悪魔かー)


アルマのチュートリアルによると、悪魔は人の感情から生まれた存在で精霊は自然現象から生まれた存在だったか。それが人や動物に取り付くことがあるという感じだった気がする。あの時しっかり聞いとけばよかった。


「しかし1700年も生きた存在の記録なんて残っていません。そもそもこの世界1600年前付近で急に歴史が曖昧になるんです。1700年前の情報なんて何も残ってないようなものです。」


1700年と1600年か。少し近くて嫌な感じがするな。

というか、どんなことをしたら、こんな地下深くに封印されるのか・・恐ろしい。


(これって、昔の人が地下に封印していたものを俺たちが解き放ったってことになる?やばくね?)

「やばいですね。案外、外に出てみたら世界が滅んでるかもしれません。ははは」


なんだ、そのブラックジョークは・・・


 特になんの変哲もない階段が続く


読んでいただきありがとうございます。

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