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遺跡2


それから、30分ほどが経過した。

雨は強くなり、外を出歩ける状況ではなくなっていた。

すでに手に持っていたたいまつは燃え尽きてしまっている。


無言が気まずい、、、

 

(あーーと、すごくどうでもいいことだが、道の駅なんかに、化石堀キットみたいなのが売られていることがあったなー。四角く固められた砂の中に化石が埋められていてそれを付属の採掘道具で掘っていく的なやつ。)

「はぁ、私も似たようなものを100円ショップで見たことがあります。というか、何の話ですか。」


魔術師も百円ショップに行くんだ。


(あれってさ、結構硬いうえに奥まで掘らないと化石にヒットしないんだよ。でも裏から掘るとすぐに化石を掘り出せるんだよ。)

「購入したことないのでわかりませんが、苦労して掘り出すのが醍醐味なのでは?」

(そうなんだけど、簡単に掘り出せる方法を知ったのに上から掘り進めないだろ。結局、ああいうのは後ろから掘ってみようなんて考える時点で楽しめない年齢になったってことなのかもな。)


変な結論を出してしまった。どこに着地したかったんだっけ?


「それでいうと、10個くらいのキットを水に溶かして一気に取り出している配信者の動画を見たことがありますが楽しそうに遊んでましたよ。」


魔術師もy〇〇tuber見るのかよ。


(いや、あれはさすがに邪道だろ)

「そうなんですか。あなたの行為と大差ないと思いますが・・」

(いや、ほら。おれは与えられた道具だけなのに対して、彼らは水を使っているだろ。ゲームでいうなら、俺はバグを利用しているだけで彼らはチートを使ってるってことだから。)

「それどちらも、BAN対象では」

(ぐぬぬ・・・)


出すたとえを間違えてしまった。

てか、魔術師もゲームをするのかよ。


「で、結局何が言いたかったんですか」

(なんだったけ?言語化しているうちに伝えたかったニュアンスをロストしたというか。)

「意味が分かりませんね」


それな!!

・・・・

・・

・・・

・・・・・

・・・・・・

・・・・・・・。

(結局、奥はどうなてるんだろうな。)


たいまつが消えたことで夜目が利いてきたが、遺跡の奥がどうなっているか見ることができない。


「そうですね。そろそろ奥を確認してみますか。」


そういうと、アルマは立ち上がりると、手のひらを上に向けるように右手を前に出した。

すると、手のひらに小さな光が生まれる。

 白く光るそれは、俺たちの周囲をほのかに照らしている。

なるほど、こんな魔術もあるのか。遠くまでは照らせないが探索はできそうだ。ところで


(魔術を使っても大丈夫なのか。)

「まぁ、このくらいの魔術なら消費魔力も誤差程度なので、それに維持し続けるわけではありません。」


 そう言うとアルマは光の玉を軽く包むように手を握り、軽く小石を投げるように遺跡の奥にむっかって右手を振った。

 すると光の玉はまるで重力が無いかのように一直線に暗闇を照らしていく。

 最初は周囲を壁まで照らしていたが、徐々に光は弱くなる。

 そして、放ってから5秒ほどした後、光の玉がピンッと小さな音を響かせ壁に衝突して弾けた。


 一瞬だけしか見えなかったが光が衝突した壁は両開きの扉だった気がした。そのことをアルマに確認しようとしたとき、暗闇に戻った通路の奥で大きな音とともに一枚の長方形の壁が倒れ光が差しすのが見えた。

何が起きたか確認する前に、土煙が舞い上がり視界を遮る。

アルマは即座に崖への出口に駆け寄ったあと、通路の奥を警戒している。

「(え?)」

 煙が晴れて、通路の奥を見た俺たちは同じ反応をしてしまった。

先ほどまで暗闇に包まれていた通路の最奥に四角い光が差し込んできていた。

 倒れたのは通路の奥にあった両開きの扉の片側だった。

離れているため詳しく見えないものの、扉の奥には広い空間が広がっていそうだ。

しかも、なぜか明るい。まだ日は昇っていないので日光ということはないだろう。

アルマの息遣いと雨音しか聞こえない時間が続く。

扉の向こうに動きはない。


「なにも起きなそうですかね。」

アルマがが恐る恐る声を出す。


(うん。え、あの光は扉を破壊する魔術か、なにか?)

「いや、そんな魔術を放つわけないじゃないですか。あれはただの光源です。」

(じゃあ偶然、扉が倒れたってことか?)

「倒れそうになってた扉に最後の一押しをしたとかじゃないですか。知らないですけど」

(そうなんだ。)

「指でつつくような威力しかないのに、扉が倒れるなんて」


 すこし、機嫌が悪いようだ。


(まぁ、そういう奇跡みたいなこともたまにはあるってことだな)

「偶然で片付けれないくらい不幸が続いているんですが」


 そういってアルマは溜息を吐く。

不幸には俺も含まれていることだろう。

 にしても、この通路が怪しい場所につながっている以上、そちらに進むのは得策ではないだろう。

ただの遺跡ならよかったが光ってるわけだし。

雨が止んで崖が登れる状況になるまで待機するしかないようだ。


(雨が止むまで待機か。いつになったらやむんだろうな。)

「いえ、一度扉の奥を確認します。」


ん?なんて言った?


「え、行くの?」

「はい、行きます。」

(でも、何があるか分からないし、危険なんじゃ)


今までのアルマの言動から、こんな危険に飛び込むようなことはしないと思っていたのだが、どうして今回は扉の方に行くんだろうか。


「正直、行きたくはないですが、あの扉の奥の状況を知らないのは、それ以上のリスクです。こういう状況だからこそ不安の種は取り除くべきだと思います。」


 なにも起きてない今のうちに確認しておくということらしい。

藪蛇にならなければいいが、彼女の言っていることも一理ある。


「それに、地上に続く道があるかもしれません。」

(そういうことか。それなら、俺も気が付いたことがあったら報告するようにするよ)

「はい、お願いします。」


俺たちは、ゆっくりと明るい空間のある方へと通路を進んでく。


アルマの不幸がこれ以上続かないことを信じながら。

読んでいただきありがとうございます。

一話のシーンに、いつになったらたどり着くのやら


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