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第二十六話 騒動を利用して

「―――というわけで、イア・アーゴントは討伐し、脅威はなくなりました」


 早々にダンジョンから出た俺達は、入り口付近でたくさん喋ろうぜくんを使ってファルク王達へ報告をしていた。

 ちなみにたくさん喋ろうぜくんは、ファルク王から渡されたものである。

 

《よくやった。だが、油断はできんぞ。報告だと同じところを襲撃することもあったようだからな》


 そのことは重々承知している。

 実際、リオントを二度襲撃されている。……正確には同じ場所ではないが。


《うむ! よくやったぞ! ヤミノ!! 迅速な対応褒めてやる!》

「ははは。どうも、ミウ」

《それで、闇の炎は?》


 と、マルクスさんが問いかける。


「とりあえずは、一度報告のためにダンジョンを出たんです。闇の炎―――リムエスとの対話はこれからしようかと思っています」


 それに、フォレントリアの時のようにリムエスは、トード。いや世界的にも必要な存在。ここで掘れる鉱石や魔石はリムエスのおかげで他と比べて良質なものが採れる。


「僕ら本体がいなくなっても、炎の分身を残せばそれなりに機能するからさ。気楽にいきましょうぜ」

「正直、数が減るのはこちらとして。いや世界として困るが……世界が滅んでしまってはそれ以前だからな。こちらも承諾している」

《俺が手回ししておいた!》

「さすが王様です!!」

《ミウとしては、少し……いや! かなーり!! 不満があるが。仕方ない。採れなくなるわけではないのだろ?》

「う、うん。大丈夫だよ」


 ヴィオレットの言葉を聞き、ミウはならばいいと返す。

 闇の炎達が長年居続けたところは、分身体を残せばいいと良いらしい。

 そういえば、ヴィオレットはエメーラのようにどんな影響を及ぼすのか? と聞いたのだが。


「い、一年中温かくなる?」


 とのことだった。

 確かに、今思い出しても、ヴィオレットの周りは雪が降っても全然積もらず、温かいというかそんな感じだった気がする。

 ちなみに、エメーラと違って影響力がそこまでではなかったのは、彼女の優しさゆえだった。

 一年中温かいが、草木も生えない。だから、休眠状態でも範囲をできるだけ狭めるように意識していたようなのだ。


《というわけで、さっさと家族になって戻ってこい! あ、いや戻るのは王都にじゃないからな?》

「はい。リムエスとの対話が終わったら、セリーヌ様達のところへ戻ります」

《そうだぞ。お前達には、色々手伝ってもらうことがあるのだからな。フィリアも寂しがっているぞ》

「了解です! 早く終わらせて戻りますと。フィリアお姉ちゃんにお伝えください!!」

《うむ。今は、昼寝をしているから。後で伝えておく》

「先輩にもよろしく言っておいてね」


 遠話が終わり、たくさん喋ろうぜくんのスイッチを切る。

 

「よし。さっそく」

「ひゃっほう! やっぱり採り放題だぜ!! お前ら、さっさと運んじまえ!!」

「……あらあら。なんだか別のお客さん達が来ちゃったみたいね」


 ダンジョンへ戻ろうとした刹那。

 上の方から男の声と、複数人の気配を感じ取った。視線を向けると、明らかにいい人という雰囲気ではない者達が、ぞろぞろと。


「やはり来たか」

「どういうことですか?」

「奴らは、この騒動を利用して鉱石を盗みに来た連中だ。ここのものは質がいいと有名だからな」

「なるほどね。普段は冒険者達が、守っているけど。今はイア・アーゴントのせいで警備が手薄。そこを狙ってきたわけか。まったく、困った連中ね」


 はあ……とため息を漏らしながら母さんは前に出る。


「ヤミノ。行きなさい。ここはあたしが受け持つわ」

「俺も手伝おう。トードのギルドマスターとして。アグリ鉱山を守って見せる」

「捕まえるのでしたら、私も手伝います!」

「三人とも……すぐ戻るから!」

「はいはい。いってらっしゃい」


 騒動を利用して鉱石や魔石を盗みに来た盗人達を捕まえるため、母さん、ララーナ、レガンさんの三人が残った。

 その間に、俺達は一気にダンジョンを突き進み、再びリムエスのところへ向かう。

 

(大丈夫、かな)

(心配し過ぎだって、ヴィオレットは。イア・アーゴントならともかく。あんな盗人共に負けるわけないって)


 ヴィオレットとエメーラには、俺の中に入ってもらっている。

 そのため、ダンジョンを駆け抜けているのは俺とアメリアの二人。

 

「戻ったら、ララーナちゃんをいっぱい褒めてあげないとだね、パパ」

「そうだな。そのためにも」


 力を調整しつつ、空間転移でどんどん進んでいく。

 すると、また魔物が行く手を阻むように出現する。が、もう俺達は止まらない。


「リムエスのところへ戻らないとな」


 緑炎の蔓で焼き切り、突破した。

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