第二十一話 ダンジョンの中にある闇の炎
本日で連載一ヶ月が経ちました。
いやぁ、早いものですね。
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「っと、あれが入口か」
「ああ。そうだ。ここは貴重な鉱石や魔石が採れるところだが、侵入者を阻む場所でもある」
最下層に辿り着いた俺達は、外からでは真っ暗で何も見えない巨大な入口を発見する。
「どういうことですか?」
ララーナはどういうことかわからず、首を傾げる。
だが、俺や母さんはどういうことなのか理解できたため。なるほどと入口をじっと見詰めた。
「ここはな。ダンジョンなんだ」
「やっぱりそうなのね。めんどうなことになったわね……」
ダンジョン。
それは、世界各地に突如として出現する。
神々が与えた試練の場などと言われており、多くの罠や魔物が侵入者を迎え撃つ。だが、ダンジョンには貴重な素材や古代の遺物などの宝が眠っている。
ダンジョンが発見されれば、人々は己を鍛えるため。富を得るために武器を取って挑んでいく。
中には、国が管理しているダンジョンもあり、兵士や冒険者達の育成に使われたりもしているのだ。
「ダンジョンってことは当然魔物達も襲ってくるってことですよね」
「ああ。その通りだヤミノ。しかも、闇の炎の影響なのか無駄に硬い魔物ばっかり出てくる」
「まあ、あいつ色々硬いからねー」
「そうなのか?」
黄色の闇の炎リムエス。
ここまでの話からわかったのは、真面目で色々と硬い。しかも、それがダンジョンにも影響している。エメーラの時もそうだが、闇の炎はそこに存在するだけ色々影響があるようだな。
「おっしゃあ! 気合い入れて挑むぞ、お前ら!」
「レガンさんは、ここのダンジョンに詳しいの?」
ダンジョン内を進むながら、アメリアは言う。
「いや、まったく!!」
まったくと言って清々しい回答に俺達は目を丸くする。
「で、でもほら? 新人の育成とか。鉱石を採る時とかに入るんでしょ?」
母さんも動揺しているようだ。
「もちろんだ。だが、このダンジョンは道が変わる」
「道が?」
「ああ。侵入者を奥へ進ませないためか。数日前に覚えたはずの道順で進もうとしても、まったく違う道ということは当たり前。それがこのダンジョンなのだ!」
だとしたら、相当厄介だ。
「そのため、ここへ挑む時は、いつも以上に準備を整える必要がある」
「戻る時は、どうする、の?」
ヴィオレットの問いかけに、ふむっと頷きながらレガンさんは口を開く。
「道が変わると言ってもすぐではない。二日、三日ぐらいだ」
「それでも、道が変わるのは厄介」
「私だったら、絶対迷ってしまいます!! 自信があります!!」
そんなことを話していると、最初の分かれ道に差し掛かる。
さて、どっちへ進んだものかと考えていると。
「こっちか」
俺は、左の道から炎の力を感じ取る。
「わかるのか?」
「はい。まだずっと奥ですが、闇の炎を感じます」
「さすがね、ヤミノ。あたしには、なにも感じないわ……」
母さんはまだ闇の炎に慣れていないか、永炎の絆によって得た者だからとか。色々理由はあるだろうが、感じ取れていないのだろう。
「パパ。これ」
俺が選んだ左の道。
少し進んだところに、なにかが落ちていた。なんだろうと拾い上げると……血が付着した鉄の塊だった。この形状から考えるに、おそらく鎧の一部。
「レガンさん。ここに居た冒険者の数は?」
「全部で十人だ」
ここまで来る間に出会ったのは、男女合わせて三人。
ということは、残りは七人になるが……来る途中で見つけた血痕と散らばった残骸から察するに、何人かはイア・アーゴントにやられた可能性が高い。
「急ごう」
おそらく生き残った冒険者が怪我を負いながらも敵を追いかけて行ったんだろう。
まだ間に合うかもしれない。
そう思いながら、俺達は駆けだす。
「止まれ!」
「急いでいるって言うのに」
少し開けた場所に差し掛かると、邪魔をするように魔法陣が展開。そこから魔物が出現する。
「ゴーレム? あまり見たことのない見た目ね」
出現したのは、頑丈な体を持つ巨人ゴーレムだ。通常のゴーレムは岩の体だが、環境によっては鉱石、土、溶岩と変わっていく。
今回は、見た目的には鉱石の体をしたゴーレムに見える。
そして、その周囲にはこれまた鉱石の甲羅を背負った四足歩行の魔物ガガゴンに、洞窟のような薄暗い場所によく生息する翼を持つ小さな魔物コーバットがそれぞれ数十体は居る。
「先手必勝!」
紫炎の矢を十本生成し、コーバット達へ撃ち出す。
だが。
「……やっぱりか」
「一撃で倒せていないのが居るみたいね。これも闇の炎の影響ってやつかしら?」
様子見、ということもありそこまでの火力ではなかったが、それでも普通のコーバットならば一撃で倒せていたはずだ。
比較的に防御力が低いコーバットでもこれだ。
他の魔物は、それ以上だろう。
「まったく厄介だね」
「でも、倒さないと先に進めない……」
空間転移で一気に突破しようにも、ダンジョン内に漂う炎の力が影響して、うまく魔法陣を展開できない。
「やるしかないようね!」
「よーし! 私も今回は戦っちゃいますよー!!」
さっさとここを突破して、先に進む。
奴らが何をしようとしているのかまだ正確にはわからないが……闇の炎には手出しはさせない。
「いくぞ!!」