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第十四話 子供達と探索

「わあ、いっぱいあるね」

「キラキラした石がたくさん!」

「全部魔石みたいだね。下手に触っちゃだめだよ。爆発するから」

「ば、爆発!?」

「そんな危険な石なんですか!? お母さん!?」

「全部が全部じゃないけどね。中には、熱いのや冷たいのもあるんだよ。ほら、石毎に保存方法が違ってるっしょ?」


 ヤミノ達と分かれ、屋敷内を探検しているエメーラ達は、素材保管室に訪れていた。

 ミウに許可を得ているため、ミウズの監視の下、物珍しそうに眺めている。

 まず訪れたのは、魔石の保管室。

 木の箱、鉄の箱、はたまた魔道具の箱と魔石の種類によって保管方法が違っている。


 魔石は、大気にあるマナが石と融合した特殊な鉱石。

 属性によって色や性質が違っており、火マナならば赤色で触るだけで熱いものや少しの衝撃で爆発するものもある。

 

 人々は、それを加工することで武器や防具。はたまた装飾品などにはめ込む。

 お洒落で付ける者も居れば、戦いを有利にするために付ける者も居る。

 魔剣も、特殊な魔石と名のある鍛冶師によって作られるのだ。


「この小さな箱にはどんな魔石が入ってるの?」


 多くある箱の中で、明らかにひとつだけ特殊な製法で作られただろう小さな箱を見つける。

 箱自体にも魔石がはめ込まれており、魔法陣が刻まれていた。


「秘密です」

「秘密ですか。余計に気になってしまいます!」

「それだけ重要なものってことでしょ。はいはい、そろそろ出るよー」

「き、気になる……」


 大抵のことは教えてくれるミウズでも、言えないものが入っている。

 ララーナとフィリアは、余計に気になってしまい中々部屋から出ようとしない。

 そんな二人をめんどくさそうな表情をしながら、元の大きさになってエメーラは無理矢理引っ張っていく。


「え、エメーラちゃん?」


 ミニサイズのエメーラしか知らないフィリアは、驚きの表情を浮かべる。

 

「そうです。エメーラちゃんですよー。これが本当の姿なんで、覚えて……おかなくてもいいですよー」

「おっとと」


 部屋を出るとすぐミニサイズになる。

 それを、慌ててララーナが空中でキャッチした。


「あ、小さくなった」

「お母さんは、現実世界だと少ししか大きくなれないんです」

「別に僕としては、全然問題ないんだけどね。こっちの方がだらだらする時色々便利だし。元の姿は、体が重くてしょうがないんだよ」

「お母さん、髪の毛多いですもんね。おっぱいも大きいですし」

「あはははー、そういうことー。さあ、次行くよつぎー」


 その後も、屋敷内の探索は続いた。

 目をきらきらさせる二人を、エメーラはだらーっと見守る。

 屋敷内には、どこへ行っても必ずミウズが居るため、問題を起こせばすぐ対処されるだろう。だが、基本的にミウズは無害。

 何もしなければ、ただただその場にいる人形のような存在だ。


「あう……お腹、空いちゃった」

 

 時間帯的に、そろそろ昼食時。

 動き回ったのと、食べ盛りということもあり、可愛らしい腹の虫が鳴いた。


「たくさん動きましたもんね! あの! なにか摘めるものとかないでしょうか!」


 フィリアのためにララーナは近くに居たミウズに話しかける。


「あれ? そういえば精霊って食事を必要としないから……あるの? 食べ物」

「あります。あなた方のように訪れる方々をもてなすために備蓄しております。摘めるもの、ということでしたらこちらをどうぞ」


 そう言ってミウズが取り出したのは、飴玉が詰められた瓶だった。


「で、でも食事前にお菓子はだめってお母様が」

「え? そうなんですか!? お母さんなんて食事前でもお構いなしにお菓子がバリバリ食べていますよ!?」

「僕は、人間じゃないから色々あるんだよー。それよりも、その飴玉は大丈夫なやつなん?」


 赤、青、緑、と色鮮やかな飴玉が詰められている。

 

「ご心配はいりません。これはマナを補給するための飴玉。人工精霊である我々は、ミウ様のように大気のマナをうまく吸収できません。そのためマナの集合体である我々は、徐々に動けなくなっていきます。そこで開発されたのが、この飴玉。食事とは体内にマナを補給することとミウ様がおっしゃられていました」


 説明しながら、ミウズは瓶から赤い飴玉を取り出し、口に放り込む。


「どうぞ。ちなみに、先ほど食べたのは鶏肉味です」

「え? そこは甘い味とかじゃないんですか!?」

「うへー、鶏肉味の飴玉って……あんたよく平気な顔で食べられるね」

「慣れました」

「僕は慣れたくないねぇ……他はどんな味あるの?」


 うへー、と嫌な表情をしつつまともな味はないのかとエメーラは問いかける。


「でしたら、こちらのミルク味はいかがでしょうか?」


 と、白い飴玉を取り出す。


「まともですね。では、そちらを頂きましょう。三つお願いします」

「畏まりました」


 ミウズからミルク味の飴玉を受け取り、三人は口に含む。


「あ、本当にミルク味だ」

「甘いですねぇ」

「うん、まあまあ。あんがとね」

「いえ。また何かありましたら、いつでもお声かけを」


 口の中に広がる甘いミルクの味を楽しみながら、三人の探索は再開する。

 

「他にどんな味があったんでしょうか?」

「ミルクだけがまともな味だったりしてねー」

「と、鶏肉味とかあったもんね……うぅ、想像したらちょっと気持ち悪くなってきたかも」

「す、すみません! フィリアお姉ちゃん! 私のせいで!」

「えへへ、気にしないで。大丈夫だよ」

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