第十一話 天才発明家精霊ミウ
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突然の襲撃で驚いたが、俺達は本来の目的通り無人島に住む発明家のところへ向かっている。
案内をしてくれているのは、その発明家が作ったという人工精霊達。
意図的なのか。
全員同じ顔。だが、それなりに個性を出そうとしているのか髪型はまちまち。
まだまだ気になるところはあるが、その辺に関しては、制作者に聞くのが一番だ。
……聞いても理解できないかもしれないが。
「ヤミノ」
「母さん?」
人工精霊達の後を、少し距離を空けながら移動していると母さんが声を潜めて耳打ちをしてくる。
「さっきのこともあるし。一応警戒はしておくわよ」
「……ああ」
闇の炎の力を確かめたい、ということで襲ってきたと説明されたが。
また何かをしてくる可能性もある。
油断はできない。
「それにしても、こんな自然豊かな場所で、あれだけの魔道具が作られていたなんて驚きね」
そうセリーヌ様が呟くと、俺達は確かにと周囲を見渡す。
かなり大きな島だ。
火山もあり、草木も鬱蒼としている。フォレストリアの森と比べても、なかなかのものだ。
「いったいどんな人なんでしょうね」
「凄く元気な人、て感じかな?」
「確かに、凄く元気だったわね」
「元気なら私も負けませんよー!!」
後ろでは、なんとも微笑ましいやり取りをしている。
こちらは、周囲の警戒を怠らないようにしないとな。
「到着しました」
今までずっと喋ることがなかった人工精霊の一人が口を開く。
剣を持っていた長髪の人工精霊だ。
屋敷だ。
王都などにもあるような大きな屋敷。長髪の人工精霊は、出入り口の扉を開ける。すると、他の人工精霊達は、ようこそと言わんばかりに整列した。
「よく来てくれたな。人間達! いや、闇の炎の化身は人間じゃないか? いや、どうでもいいか!」
扉の向こうには、魔道具から聞こえてきた人物と同じ声の小さな影が見える。
子供が白い大きなコートを身に纏っている。
真っ白な髪の毛は肩まであり、左は青、右は赤と色が違う瞳。
そして……なんかこう、四足歩行のなにかに乗っていた。うん、俺にもよくわからないんだ。おそらくトカゲなんだろうが。スライムみたいに体がつるつるしている。
背中には、丁度座れるような椅子があり、そこに件の天才発明家が乗っている。
「あなたが、ミウさん?」
俺が、先陣を切って問いかける。
「さんづけなんていらん。ミウはミウだ。お前達のことも名前で呼ぶからな」
出会う前からわかってはいたが、なかなかフランクな性格だ。
「それで……ミウ。今日は、相談があって来たんだ」
「ああ、連絡は受けている。お前達、空間転移を使えるそうだな?」
興味津々とばかりに、にやりと笑みを浮かべる。
「よし! さっそくミウの制作部屋へ来るんだ! そこで、色々と話し合おうじゃないか。ついて来い!」
そう言うと、奇妙な生き物が動き出す。
「あれ、何なんだろうね?」
移動しながらアメリアが呟く。
「多分、人工精霊、だと思うけど」
「ん? こいつが気になるのか?」
どうやら聞こえてしまったらしく、ミウがこちらを向く。
「こいつも人工精霊の一体で、ミウの移動手段として作った」
「名前とかあるのか?」
「あるとも! イド―だ!」
……なるほど。移動のイド―か。
どうやら名づけはちょっとあれなようだ。