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第三話 闇の炎会議

 青の闇の炎リア―シェンからの手紙を貰った後。ヴィオレット達は、ヤミノの中……精神世界で休息をとっていた。

 

「ふむ。個人の部屋があるだけでなく、こうして部屋同士を繋げることができるとは。中々便利じゃのう」

「自分はいらない要素だと思います」

「なぜじゃ?」

「こうして、一人で考え事をしたい時に、あなたのような騒がしい者が邪魔しに来るからですよ」


 一人一部屋だが、部屋同士を繋げることができる。

 そうすることで、部屋がより広がるのだ。

 今は、全ての部屋を繋げているため周囲の炎の色が、赤、緑、黄、紫と鮮やかに入り混じっている状態となっている。

 

「どうやら拒絶することができないようですしね」

「なんじゃなんじゃ。部屋は広い方がいいじゃろ?」

「自分は狭い方がいいです」

「僕は寝転がれるところがあればどーでもいいかなー」

「私は……広い方がいいかも」

「ヴィオレットは、背が高いからのう」

「う、うん」


 フレッカの言葉に、ヴィオレットは膝に寝転がっているエメーラを撫でながら頷く。


「―――さて、お前達」


 他愛のない会話を区切るように、フレッカは外の様子が映っている巨大な四色の炎を見詰めながら呟く。

 精神世界からでも外の様子を確認できるため、先ほどまでヤミノ達の会議を彼女達も見ていたのだ。


「先ほどのヤミノ達の方針じゃが、どうじゃ? 特にリムエス」

「なぜ自分が特になんてすか」


 意味がわからないと言う風に、リムエスは腕組をしながら呟く。


「わかっておるくせに。お前は、ヤミノから離れろと言えば自分は主の盾! 絶対離れません! とかなんとか言うじゃろ?」

「ぐぬ……」


 フレッカの言い分に反論できずリムエスは口を紡ぐ。


「まったくリムエスが、ここまで一人の男を好きになるとはのう」

「ば、馬鹿なことを言わないでください! 自分はただ主の盾として!」

「はいはい。主の盾主の盾」


 小馬鹿にするようにフレッカが言うと、リムエスは拳を握り締める。


「くっ! わかっていますよ! 主だけを護るだけじゃだめだって!」

「ならば、どうする?」

「……救援があれば、自分も世界中を飛びます」

「うむ。ヴィオレットとエメーラはどうじゃ?」

「私は……今回は、残ろうと思ってる」


 意外な返事にリムエスとフレッカは声を漏らす。


「本当は、ヤミノと離れるのは寂しい、けど。私の力は、絶対必要になる、から」


 空間転移を使える魔道具があるとはいえ、一日に使える回数は二回。もう一度使うための魔力回復には丸一日を要する。

 ミウが大量生産を試みているとはいえ、やはり時間はかかる。

 

「今の私なら、少ない消費で何度も空間転移が使えるから」


 魔道具による転移先は、本来使用者が一度行った場所でないと転移できない。しかし、ヤミノやヴィオレット、アメリアは他人の記憶を見ることで転移先を増やすことができるのだ。

 すでに、ファルクやセリーヌ。カーリー達などの協力もあり、転移先はかなり増えている。


「じゃな。では、エメーラはどうじゃ?」

「んー? 僕かー。僕はねー」


 本来怠惰なエメーラがザベラ砂漠へついてきたのは、彼女達にとって意外だった。だが、今回は状況が変わったため、どうなるかと視線が集まる。


「……」

「エメーラ? ……これは」


 突然静かになったのを怪しみリムエスは確認のため顔を覗き込むと。


「すぴー」


 心地よさそうに寝息をたてていた。


「ガチ寝ですね」

「さすがエメーラ。いや、ヴィオレットの膝枕か?」

「ど、どうなんだろう?」


 やはりエメーラはエメーラかと思いつつフレッカは話を続けることにした。


「ちなみにわしも残る! と言いたいところじゃが、状況によるじゃろうな」

「どういう、こと?」

「砂漠の時のように連中が大群で押し寄せてくるのならば、殲滅力のあるわしが適任。じゃが、ヤミノがリア―シェンに会いに行く時。闇の炎の化身たるわしら誰か一人はついて行かねばな」

「確かに。侵略者達は、どうやら自分達のことを狙っているようですからね」


 これまでの侵略者達の行動を考えると、次はリア―シェンを狙う確率は高い。ゆえに、ヤミノ一人だけを行かせるのは得策ではないだろう。


「それもあるが、あのリア―シェンじゃぞ?」


 リア―シェンのことを知らないヤミノと子供達では対処に苦労する。それを考えれば、リア―シェンのことを知る自分達が一人でもついて行くべきだろう。


「ですね。ただフレッカ。あなたはだめです。これはマジで、ガチで言っています」


 リムエスの表情は、言葉からもわかるほど真剣そのものだった。


「あなた自身が一番わかっているはずです。あなたとリア―シェンが出会ったらどうなるか。確実に、主の迷惑になります」

「……わかっておる。わしだって子供ではない。有無を言わず争ったりはせんよ」


 さすがのフレッカも、ふざけることなく言葉を返す。その言葉を聞いたリムエスは、静かに目を閉じる。


「その言葉、信じますからね?」

「信じよ。そもそも、大抵はあいつの方から仕掛けてくるんじゃぞ?」


 まったく困ったものだと、フレッカは首を左右に振りながらため息を漏らす。が、それを聞いたヴィオレットは小首を傾げ、リムエスは眉間に皺を寄せた。

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