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44話 選考試合 決勝戦②

光の鎧(ホーリーアーマー)!」


 リア様の体が光り輝く。


 そして俺の加速された蹴りはいとも容易く弾き飛ばされる。


 光の中から出てきたのは輝く光の鎧を着たリア様の姿。


「そのお姿を見るのは初めてですね」


「これが初めてだからね」


 ニコッと笑うと、シュンッとリア様の姿がその場から消える。


「こっちよ」


 俺がリア様の姿を見失った瞬間、後ろから声が聞こえる。


「速すぎですね……」


 先程までとは段違いの速さで移動し、そのまま振り抜かれた蹴りにより、俺はガードが間に合わずにもろに食らう。


 強くなり過ぎじゃないか?


 光の鎧を纏ったリア様の速さも力も全てが一段階レベルアップしている。


 久しぶりにまともに攻撃を食らった気がする。これも、リア様の『光の破片』という能力のスピードにある。


 俺ですら集中しないと目で追えない程の速さだ。


「流石に少しは力を解放しないと勝てなさそうですね」


 体の周りを破壊の波動が纏っていく。


「やっと少しは本気を見せる気になったのね」


「そうしないと負けてしまいますから」


 空間を破壊して加速し、一気に詰め寄ると、その光り輝く鎧に破壊の波動を纏った蹴りを放つ。


「光の波紋!」


 リア様がそう言うと、突如として目の前に光の円盤が現れる。防御の能力だろうか?


 しかし、今の俺に防御は関係ない。


 破壊の化身となった俺はその光の円盤を軽々と打ち砕く。


「キャアッ!」


 そうしてその破壊の衝動は空気を伝ってリア様に届き、そのまま吹き飛ばす。


「なんで効かないのよ」


「私にとって防御は無意味なものですから」


「ふ~ん、じゃあ攻撃するしかないってわけね」


 リア様から能力の高まりを感じる。


「この技で決めきるわ!」


 そう言うと、リア様の手に高エネルギーが集約された光でできた剣が出来上がる。


「覇光!」


 リア様が光の剣を振り下ろした瞬間、いつもの十倍の大きさの光の柱が放たれる。


 それは正に必殺の一撃。


 俺はその光に向かって空間を破壊しながら加速して突っ込んでいく。


 単純な力比べ。それが一番性に合っている。


 破壊者の能力を更に一段階上げ、体に纏っている破壊の波動が徐々に黒くなっていくのが分かる。


 両者が触れ合った瞬間、全ての音が消えた。


 そうして、一拍置いて大爆発が起こる。


「や、やりすぎちゃった?」


「大丈夫ですよ」


 爆発によって引き起こされた煙の中から破壊の波動を纏った腕が飛び出す。


 そして、リア様の眼前でピタリと拳を止める。


「そしてチェックメイトです」


「ハハ、また負けちゃった」


 そう言うと、リア様の光の鎧が解け、そうして体をフラッとさせる。


 俺は倒れそうなリア様の体を受け止める。


「強くなりましたね」


「当然よ。私はあなたのご主人様なんだから」


 そうしてリア様は力を使い果たしたのだろう、意識を失ってしまわれる。


「勝者! クロノ!」


 審判が大きな声でそう告げると、二人の試合を見守っていた者全員から今までで一番大きな歓声が巻き起こる。


 かくして闘神祭を制したのは公爵家令嬢の地味な付き人である少年であった。



 ♢



「あれほどまでに強くなっているとは」


 シノ・エルザードは特等席から見守っていたクロノの試合を見て、ポツリと零す。


「そうだな。まさかあの少年が勝つとは夢にも思わなかった」


 国王はシノの言葉にそう返すが、シノにはその言葉は届いていない。


「何としてでもあ奴をこちらに戻さねば。そのためには」


 ジイッと少年の腕に抱かれている金髪の少女の姿を見つめる。


「手段は選ばない」


 シノ・エルザードはゆっくりと座席から立ち上がる。


「ん? どこへ行くのだ?」


「少し用事を思い出しまして」


 当代勇者の黒い思惑が動き出す。

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