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238話 光の聖女と黒の執行者

「なるほど、ゼルン王国もそんな事になっていたのですね」


 俺はゼルン王国のリア様とガウシアと合流すると今までの動向についての話を聞く。

 なんと二人で七罪魔王の内の二柱を倒したらしく、今はただ残党を狩り続けているだけだという。


「取り敢えずリア様がご無事で何よりです」


「そんな事よりクロノ! どうしたのその怪我!」


 そう言えば忘れていたが、魔神に吹き飛ばされてかなりの怪我を負っていたのであった。でもまあ何でか分からんが、なんともないからそんなに心配するようなものでもない。


「ご安心を。全く痛みはありませんので」


「そうなの? なら良いけど」


 俺の言葉を聞いてもなおリア様は不安そうに俺の方を見つめてくる。


「クロノさん。突然魔神族の軍勢が襲ってきたという事は……」


「ああ。魔神が甦った」


「――やっぱりそうでしたか。あの悪夢がまた始まるのですね」


 静かにそして悲しそうにガウシアがそう呟く。五大勢力のうちの一つであるゼルン王国。

 大国が故にその戦争によって亡くなった者は数多い。

 俺も今でも思い出すのは戦士たちの遺族の鳴き声だ。あの時は突然現れた未曽有の大災害だったから、多くの人が嘆き悲しんでいた。

 だからこそ『黒の執行者』なんていう偶像を作り出し、あたかもヒーローの様に崇めることで民を鼓舞し続けていたのであろう。


 そう、『黒の執行者』としてこの地でまだやることが残されている。


「黒の執行者様がまた現れてくだされば良いのですが」


「あー、その点は大丈夫だぞ」


 そう言うと俺は破壊の力を身に纏っていく。黒い鎧として具現化されるほどの濃密な破壊の力はやがて俺という一人の人間の体へ集約されていく。


「まさか……」


「ああ。俺が黒の執行者だからな」


 暫し目を丸くしてこちらを見つめてくるガウシア。心配になるくらいに口をポカンと開けたまま一言も発さない時間が過ぎ、やがて安堵したかのような笑みを見せる。


「……とっても驚きましたけど、クロノさんなら安心ですね。だっていつでも駆け付けてくれるんですもの」


「ん。ガウシアは黒の執行者の事、好きなんじゃなかった? だったら告白すれば良い」


 そして突然ライカが衝撃的な事を口走る。


「おいライカ! いきなり何を言い出すんだよ!」


「確かに私は黒の執行者様が好きです。愛しています」


 ガウシアはガウシアでまた語り始める。いや、目の前で愛していますとか言ってる時点でもう既に告白じゃないか? それ。

 そして若干、リア様がドスッと俺の脇腹を肘で小突いてくるんですけど!? いや、俺のせいじゃないんですって!


「ですがクロノさんにはもう既にお似合いの方がいらっしゃいます。私には到底、手出しは出来ません。そして手出ししようとも思いません」


 お似合いの方……か。俺は自分の恋愛なんて一度も考えたことなかったけど、そんな人がいたか? リア様の事ならリア様はご主人様で恋愛対象ではないだろう。

 公爵家の令嬢と一家を追い出された孤児とでは身分の違いも甚だしい。


 ならカリンの事を言っているのだろうか? でもカリンはただの幼馴染って感じだし、恋愛となるとよく分からなくなってくる。


「人間、早く我の背に乗れ。奴は今もなお世界を破壊する力を蓄えておる。いずれその力が解き放たれた時、我らの姿はこの世にはないぞ」


「赤王、分かってる。すみません、リア様。少しの間、魔神を討伐しに行ってきます」


 俺はリア様にそう告げると赤王の背に乗ろうとする。無論、カリンとライカと一緒に。


「クロノ、待って。私も行くわ」


 そしてリア様の方から思いがけない言葉が発される。いや、思いがけない事は無い。最初に瞳を見た時から気付いていた。

 リア様が俺と共に魔神の下へ向かおうとしているという事に。


「リア様。魔神は魔王とは比べ物にならないほどに危険な存在です。正直、私でもリア様を守り切れるか分からない」


「クロノは守らなくてもいいわ。それぐらい強くなったから」


 リア様の身体から漲る力は今まで見てきたリア様の比ではない程の輝きを見せている。


「特異点よ。その者を連れていくが良い」


 そしてリア様の意見を補助するかのようにガウシアの肩にとまっていた鳥姿の世界樹がそう言ってくる。


「その者は先程新たな『聖女』として生まれ変わった。聖女の力なくしてあの特異点を倒すことは不可能だ」


「リア様が……聖女」


 聖女。フィー、いやフィーデルが言っていたものと同じ言葉が世界樹の口から告げられる。

 そうか、リア様が聖女なのか。


「聖なる力が無ければ魔神を滅することは出来ぬ。お主も戦ったことがあるのなら分かるであろう?」


 魔神はどれほど破壊しようと、すぐに再生し、それまでよりも更なる力を手に入れて蘇っていた。

 俺ですら倒しきることが出来ず、最後の最後でヒルトンさんが封印してくれて平穏を保てたのだ。


「お願い、クロノ。私も連れて行って」


 リア様、そして皆の視線を一身に受ける。聖なる力が無ければ魔神を滅することは不可能。

 そして今回の魔神は前に俺が戦っていた時とは違い、理性を持つほど完璧に蘇っているとのこと。


「……承知しました。リア様。私と共について来てください……いえ、リア様と共に参りましょう。魔神を打ち倒しに」

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